茅野市北山字鹿山4026-2 東急リゾートタウン蓼科内
0266-69-3109
“フレグラント(Fragrant)”は蓼科東急リゾートのメインダイニングであるが、もちろん、ホテルの宿泊者でなくとも利用が出来る。
大きな暖炉が中央に位置するロビーラウンジ・アゼリア(Azalea)でアフタヌーン・ティーを愉しむのもよいが、たまにはリッチに夫婦二人でというときに、このフレグラントは最適である。
ただ、当レストランはリゾートホテルの宿泊客の利用が多く、これまでもアポなしで訪ねた際は、ことごとく満席で入店が叶わなかった。利用の際は、少なくとも数日前には予約を入れておかれることをお薦めする。
当夜は6時の予約で伺ったので、窓外の緑がまだ目に映えて、リゾート気分はいやがうえにも昂まってくる(トップシーズンは6時と8時の予約受付となる)。
できたら、前半の予約で行かれると、みずみずしい緑の木立が日の陰りとともに徐々にその緑翳を増し、やがて夕闇の底へと埋没してゆく。
・・・大きな窓にはいつしかレストランの光燭が映り込み、時おり、火影のように妖しくゆらめきをみせる。
そんなうつろいの時を過ごすうちに、まずは、“蓼科浪漫”という黒麦酒で喉を潤す。
次は赤ワインにと・・・、食事がいよいよスタート。家内は運転があるので、お水で我慢していただく。
そのかわりといってはなんだが、わたしはソレイユ、家内は一ランク上のエトワールのコースとなっている。
メニューに詳しいが、エトワールはまずオードブルが二品と一品多い・・・、それから・・・
次にスープがサーブされる、う〜ん、なんか家内の方が・・・
魚料理もこちらが甘鯛に対し・・・
相手は車海老・・・である・・・
ここらあたりで、行儀は悪いが相手のさらに箸が・・・、いや、フォークが延びて、味チェック・・・、う〜ん・・・、なかなか・・・
口直しのシャーベットで一旦、口内を爽やかにして・・・
メインのフィレ肉へ。お肉も微妙にメニューの表現が違うのでありますな・・・。
エトワールは極上和牛フィレ肉のポワレ・粒マスタード風味
ソレイユは柔らかい和牛フィレ肉のステーキ・緑胡椒風味・夏野菜添え・・・
家内のお肉もちょっとつまみ食いをさせてもらったが、どちらも軟らかくておいしいのでいたって満足!!
そしてお楽しみのデザートですが、
家内にはいかにも女性好みの、“あっ、可愛い〜”のデコレーション。
てんとう虫にト音記号に五線譜・・・、てんとう虫のサンバだ〜!!
わたしには、でも大好きなアイスクリームが。もちろん、大満足。
お腹も膨れ、テーブル上をさまよい続けた視線を久方ぶりに正面へ戻すと、外は疾うに深い夜の帳が下り、大きな窓は一面のスクリーンへと変じていた。
ほろ酔いの瞳に、そのスクリーンはレストラン内に憩う人々の人生を早送りに見せてくれているように見えた。
そして、そのどこか蜃気楼のように少し滲んで見えるコマ送りのシーンは、30数年の間、共に歩んできたわたしたち夫婦の人生を温かく包(くる)んで映し出してくれているかのようである。
何だか、しんみりとした、でも、しみじみとした時間がここフレグラントには流れているのだと感じた。
一流のスタッフによる心のこもったサービス。
尾方勇雄料理長によるアイデア溢れる美味しい料理。
リゾートの大人たちの夜は、あくまでもおだやかに、でも、心のひだの奥底に潜んでいたかつての軽やかなときめきを呼び覚ましながら、しずかに更けてゆくのであった。