昨年はコロボックル開設以来初めてという「ニッコウキスゲ開花せず」という状態だったが、今年の夏はどうなんだろうと心配しながら車山肩へ向かった。
7月末、夏休みが始まって直ぐと云うこともあり、車山肩の人出は多かった。
そして、お目当てのニッコウキスゲは・・・・、「あった!」
コロボックルの手塚さんに訊ねたところ、今年は二週間ほど前の「海の日(7月18日)」あたりが開花のピークだったということだった。ただ鹿の害が大きくなったので、無粋だが今年は防護のための対応(侵入をふせぐ紐のバリケード)をしたという。見栄えでいえばそうだが、開花してくれただけで感謝すべきなのだと、去年の惨状、落胆を経験している私には黄色い花がばら撒かれたような草原は爽やかで美しかった。
蓼科にまたニッコウキスゲの夏が戻って来てくれたんだなぁと、正直、ホッとした。
そして色鮮やかなニッコウキスゲに隠れるように高原の可憐な花がそこここに顔を出していた。いつもの、いつもらしい、蓼科の夏がそこにはあった・・・
そして蓼科の樹林では蝉時雨が一日中、かまびすしい。
木漏れ日がわずかに射す緑陰に響き渡る蝉の鳴き声は、都会のコンクリート壁に反響する猥雑な騒音とは異なり、どこか涼感を呼び醒まし静寂さをかえって引き立てるようで、心のしこりのようなものがいつしか融け、ゆったりとした心持ちになってゆくから不思議だ・・・