6月2日、鳩山首相がようやく退任を発表した。両院議員総会での退任挨拶で、また、ずいぶんと無責任な、自分が負うべき責任の意味が分かっていない、能天気な言葉を発した。「ただ、残念なことに、そのような政権与党のしっかりとした仕事が、必ずしも国民の皆さんの心に映っていない。国民の皆さんが徐々に聞く耳を持たなくなってきてしまった。そのことは残念でならないし、まさにそれは私の不徳の致すところ」だと・・・。

 なんか国民が首相の言葉をしっかり理解し、受け止め切れなかったのが悪いとでも、言っているかのようである。

 子ども手当て、農家の個別所得補償、高校授業料無償化といった「素晴らしい」バラマキ政策を行なっていたのに、国民の理解力が足りず、その良さが分らぬままマスコミの声に愚かな民が煽られて、退任に追い込まれたのが無念でならないと、言わんばかり。

 そう、この鳩山という人物は、最後までKYどころでない、事の実相を見極めることのできぬ男であったことを、恥ずかしげもなく、さらけ出して退任するはめになった。

 日米間の信頼関係をぶち壊し、沖縄の人々の心を弄び、傷口に塩を擦り込むようにして、いろんなことをこの八か月余で滅茶苦茶にしてしまった。その修復は並大抵のコストと時間でも解決しないという、懺悔と反省の欠片もない、あの寸豪の軽さの言葉であった。

 まぁ、それが分かる人物であれば、そんな器量で首相、いや、政治家になどそもそもなっているはずはなかったのだ。国家にとって国民にとって、一人の人物の大きな勘違いが、こうも簡単に国益を大きく毀損するのだと、ずいぶんと高い授業料を払って教えられたものだ。

 そう言えば、「謎の鳥」が日本にいると、一時期、ネット上で話題になったことがあったが、結局、自分を「ハト」だと言い張った鳥は、最後の「トキ」を迎えたのだと思うと、結局、やはり、「謎の鳥」は「謎」のままで終わったのかも知れない。