辞任する必要などない、中山国交相

 

 27日夜、テレビ各局は、「中山成彬国土交通相が日本教職員組合(日教組)や成田空港の拡張問題に関する一連発言で招いた混乱の責任を取り辞任」と、ニュース速報で伝えた。

 

 25日の成田空港の拡張に関する「ごね得」発言は、国交大臣として慎重さを欠いたもので、言わんとすることの真意をもう少し丁寧に説明すべきであったと、わたしも感じる。まさに事務局が後に説明したという成田闘争の歴史を紐解くまでもなく、もっと配慮のある発言であって欲しかった。そして中山大臣も言われたように、日教組問題は国交大臣が大臣として国交省内で話す内容としては、不適切であった。

 

 しかし、こうした感想を持ったわたしでも、中山大臣が辞任せねばならぬとは、決して思わない。そう考える理由は二つある。

 

ひとつは、日教組と成田に関する発言の真意が、ある面でひとつの真実を語っているからである。

もう一つの理由は、「言葉狩り」の悪しき風潮が「思想および良心の自由」を脅かすところまで今の社会が来ていると感じているからである。その国民の権利を本来守るべき立場にあるメディアが、あろうことかその風潮を後押しする嫌いがあるからである。

 

 今回(25日の国交省内での発言)の場合、国務大臣という立場での発言であるため、メディアは即刻、中山発言に飛びつき、「辞任の考えは?」「辞任については?」と質問攻めである。この光景だけを見ると、執拗ないじめの場面を見せられているようで気分が悪くなる。そして、こうした取材風景がテレビ画面で頻繁に流されることが、世の中の「言葉狩り」や「いじめ」の傾向に悪影響を及ぼし、さらに拍車をかけているように感じられてならない。

 

 同氏は、成田拡張問題と観光振興に関連した「単一民族、内向き」発言については、翌日の26日になり、撤回をし、謝罪をしている。撤回をしなかった日教組発言も、(自らが大臣である)国交省内という場所で発言したことは、適切ではなかったと述べた。

 

 ただ、撤回しなかった日教組問題については、27日に、中山成彬大臣の選挙区である宮崎県(第1区)で、「何とか日教組は解体しなきゃいかんと思っている」、「日本の教育の『がん』である日教組をぶっ壊すために私が頭になる決意を示した」とボルテージを上げた。

 

 それ故に、この発言は一部、慎重さを欠いた感情的な表現があったことは否めぬが、その真意は、文部行政に詳しい同氏のまさに政治的信条とも言えるものであろう。

 

 わたしの親戚、知人にも小学校の教員がいる。彼らはいわゆる日教組の人々がいう「非組(ヒクミ)」である。以前に彼らから「ヒクミ」であることの教育現場での厳しさを伝えられたことがあり、正直、驚いた覚えがある。日教組組合員たる教師が「ヒクミ」たる教師をシカトし、村八分にする様は、まさに陰湿ないじめそのものである。いじめをなくそうと社会が大合唱している時に、その教育現場において教師自身が同僚に対する陰湿な「いじめ」を行っている。そんな人々が子供たちに「いじめはいけません」と言っても、胸に響くはずがないし、そんな欺瞞に満ちた教育はご和算にしてもらいたい。

 

 戦後の文部行政は日教組との戦いであるとだいぶ前に聞いたことがある。児童の方に目を向けて行政を行う余裕も力も旧文部省になかったのは残念である。いまさら、そんなことを言っても始まらぬ。これから、どうするかなのだと思う。

 

 だからこそ「日本の教育の『がん』である日教組をぶっ壊す」との中山成彬議員の言葉はわたしの胸に強く響いた。その必要が確かにあるのだと、このわたしも信じる。日教組はひところと比べて組織率が低下し、弱体化したと聞くことがあった。しかし、「2ちゃんで拾った日教組先生の実態」に目を通すと、そこには濃淡があり、現実はそう甘くないということが分かる。由々しき教育の実態の一端が垣間見えるのである。

 

 そうした実態を知悉する中山成彬議員の政治信条に基づいた発言こそが、ここ連日の日教組発言であると思う。

 

 失言については撤回、謝罪をした。しかし、失言ではない政治信条については堂々と発言すれば良い。25日の場所の不適切はあるとは思うが、言っていることの真意は、わたしは間違っていないと考える。だからこそ辞任などすべきではないと言っているのである。

 

 ちょっと「口が滑って」、「筆が滑って」という表現が日本語にはある。最近の「言葉狩り」は、そうした日本社会がかつて持っていた「ぬくもり」を奪い、殺伐とした社会を作り出していっているようで悲しい。そして「言葉狩り」は思想や表現、信条の自由を侵す恐ろしいウイルスのようでもあり、恐怖感すら覚える。そして、それを後押しするかのようなメディアの報道姿勢にも、だからこそ批判的にならざるを得ないのである。

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