近所で鯉のぼりを立てる家を見なくなって久しい。
よくテレビで川の両岸に綱を渡し、たくさんの鯉のぼりを泳がせる光景は見るが、個人の家で鯉のぼりを揚げているのを、ここ東京で目にすることはほとんどない。
都会の住宅事情があるのは分かるが、何とも味気ない世の中になったものだ。
そう言いながら、我が家も息子が30歳を越した今、鯉のぼりもないのは世の常識だが、孫でもできたらと密かに思っていたところ、初孫が女の子ときた。
そこで雛の初節句を3月に行ったことは、先般、当ブログにもアップしたところである。
5月は端午の節句。主人公の登場が待ち遠しい節句である。
疾うに息子は嫁取りをし、家を離れており、さすがに鯉のぼりというわけにもいかないが、数年前から節句のお飾りだけはしようということになった。
何だかこの齢になってくると、日本の伝統といったものの良さが分って来たのか、各地の伝統の祭りや節句の風習など季節の行事に心を配るようになったのである。
ちょっと佇まいを正して物申すと、こうした伝統、日本人の心や精神文化を、我々の年代はとくに大切に後世に伝えてゆく責任があると考えている。
ただ、家内に訊いたところ、鯉のぼりに関しては、鯉のぼり自体は残してあるが、それを揚げる高いポールはかなり昔に捨ててしまったという。庭に地中に突き刺したポールの一部が錆びついて残っているのみだそうだ。
次に男の孫が出来たらよいなぁ、その時にはポールを買い直そうなどと思いながら、主人公を待つ鎧兜を一人眺めているわたしである。