「民主党代表選挙」

――国会会期はまだ残っている

 

 この47日に新しい民主党の代表が民主党国会議員の投票により選出される。216日の永田寿康議員の「メール」質問に始まり、41日の前原代表の辞任表明までの一ヵ月半におよぶ「偽メール事件」の韓流(はんりゅう)ならぬ三流ドラマに漸く終止符が打たれようとしている。

 

 抑々今回のことは、国民という観客が、永田議員のお粗末な人物眼と情報の真偽すら検証せず功名心にのみ逸った軽薄な行動により作成された低俗ドラマを予算委員会という国政の最も大事な劇場で、高い木戸銭を払わされ見せられたのに等しい。そこでまずは、民主党にこの高くついた木戸銭の払い戻しをしてもらいたい。平成18年度予算は国民の目の前でしっかりとした論議もされぬまま、すんなりと通過した。

 

また、行政改革推進法案、教育基本法改正案、アスベスト健康被害者救済法案、医療制度改革関連法案、建築基準法改正法案、防衛省設置法案、官製談合防止法改正案、国民投票法案など国民の関心が極めて高くかつ我々の将来にとって重要な法案が目白押しの状態であった。その法案について国民は目隠しをされた状態のまま、この国の将来にとって大事な審議が淡々と進められていった。そしてメディアも偽メールのみに泰山鳴動させ、国民に重要法案の審議状況を伝えようともしなかった。その責任も大きいといわざるを得ない。

 

しかし今国会の前半は冒頭の「偽メール騒動」で国会を混乱させた民主党の責任が最も重いことは云うに及ばない。その責任の重みを民主党の議員ひとりひとりが肝に銘じ、国民に対し謝罪すべきであるし、今後の議会活動こそがその謝罪の真偽を測るリトマス試験紙であると考えるべきである。

 

331日に公表された民主党「メール」問題検証チームの報告書は本文39頁、添付資料2頁からなるが、これはあくまで偽メール事件の経緯と民主党自身の内なる反省を綴ったものでしかない。国民に対する直接的な謝罪はここには記載されていないし、この報告書に基づいた公党としての正式な謝罪は国民に対してなされていないと私は認識しているからである。

 

120日から始まった第164回通常国会は、まだ618日の期末までまだ2ヶ月余の会期を残していることを我々は忘れてはならぬ。民主党代表の選出を機に、小泉政権五年間の政策の総括チェックを是非、野党第一党たる民主党に期待したい。