7月7日、子供たちの合同誕生日を祝うため、新宿の息子のマンションを訪ねた。


この日の都心の最高気温は35.4度。まさにその灼熱の時間帯、わずかな時間ではあったが、人気も少ない、陽炎がゆらぐかのような熱のこもった舗装道路を歩き、マンションへと到着した。

炎天下に人気も少ない都心の歩道

6時からすぐ近くのイタリアンで食事会の予定であったので、それまで息子の家で、ああでもないこうでもないと他愛もない話をしていたところ、突如、新宿の空に遠雷がとどろいた。


にわか雨でもくるのかなと思う間もなく、まさに驟雨が見舞った。


大粒の雨がマンションの窓をたたく。晴れ渡っていた空は突然、白いレースのカーテンが引かれたかのようである。近くの高層ビルも雨煙のなかにおぼろげで、そのシルエットを確認することも難しくなった。


そして、夏の雨は30分ほどもせずに小止みとなり、上がった。


これから外出という矢先の大雨であったので、みんな、ほっと胸をなでおろした時、


わ〜、きれい!!


との叫び声。指さす窓の向こうに、それはそれは大きな虹が出現していた。

都心の虹

13階の窓から見ると、虹が真正面に弧を描くようで、道端から見上げるものとは明らかにそのスケール感が違い、臨場感が異なった。


大きくてきれいな完璧な孤を描いている。まるで、みんなで空中散歩をしているような錯覚にとらわれた。


高いビルの上を悠々と跨ぐ虹。

ビルを超えて虹の橋

自然の絵筆で描かれた完璧な虹のアーチ。その下に広がる人造の街。その光景を目の当たりにすると、所詮、人間の智慧なんてこんな程度のものとの思いを強くした。

自然ってすごいなぁ

そんな自然の造形の刹那を写真に収めようと、みんな、携帯やスマフォ、もちろんわたしは持参のデジカメで、しばし無言の撮影会を繰り広げた。


ビルの谷間から発した虹は、ある一軒の人家へと降り立っているようで、その光景を目にすると、そのお宅には幸せの使者がきっと天から舞い降りてこられるに違いないと思ったものである。

虹橋のたもとのお宅には幸せが訪れるに違いない

その夢のような空中散歩も、ものの数分で終焉を迎えると、そこにはまた夏の空が何事もなかったかのように広がった。

夏空が戻りました

それから、天の恵みで熱が冷まされた舗装道路を歩き、おいしいイタリアンのお店へと向かった。