東尋坊からわずか3kmのところ、九頭竜川河口に三国湊はある。

継体天皇が男大迹王(おおどおう)と呼ばれていた頃、福井平野は九頭竜川、日野川、足羽(アシワ)川が注ぎこむ大きな湖沼であった。度々洪水による水害に見舞われていたその一帯を、男大迹王が堰を切り壊すことで湖水を日本海へ流出させ、その泥地を肥沃な田園に変えたり、澪筋を浚渫し湊を築いたと伝えられている。

ゞ綟竜川
九頭竜川の河口
その湊こそ三国湊である。古来、水運による物流拠点として発展し、江戸時代には北前船交易の中継地という地の利を活かし物流の一大集積地として町は大きく発展した。その礎を築いた人物こそ継体天皇というわけである。

現在の三国は、全国にある中世に栄えた港町の景観と違わず、かつての繁栄を偲ぶ縁(よすが)は、僅かに残る豪商の旧宅を資料館として保存する人影も少ない“古い街並み”と呼ぶひと筋の往来のみである。

〇姐駝座
三国湊座
そこにならぶ「三国湊座」という字もかすれた看板を掲げる食堂で、われわれはご当地グルメと紹介されていた“三国バーガー”を注文し、ランチとした。

〇姐颯弌璽ー640円
三国ハンバーガー
その後、九頭竜川河口にたたずみ、往時、殷賑を極めたであろう湊の情景をしばし想った。

ゞ綟竜川河口と三国港
かつて殷賑を極めた三国湊はこの先の河口あたり
三国湊から内陸へ22km入ったところに、継体天皇ゆかりの「高向(たかむこ)宮の跡地」がある。

々盡神社社殿裏を走る県道160号板倉高江線
鄙びた県道160号線沿に高向神社
「日本書紀」によれば、五世紀の中頃近江国高島郡三尾に住んでいた彦主人王(ヒコウシオウ)は、越の坂名井(さかなゐ)から振媛(ふりひめ)を妻として迎え、その間に男大迹王が誕生する。がまもなく彦主人王が亡くなったので振媛は幼い男大迹王を連れて一族が支配する高向の郷に帰り養育したとある。

‥脹爐広がる高向の郷
田園地帯が広がる高向の郷
その跡地は現在一帯が田園地帯であり、まばらな人家のなかに紛れ込むようにして建つ式内社・高向神社(坂井市丸岡町高田)はまことに小さな神社であったが、古来、四字久保庄あたりで『古堂様』と呼ばれ、振媛一族の氏神を祀る高向郷の総社であった。現在のご祭神は振媛・継体天皇・応神天皇の三柱である。

々盡神社社殿と境内
小さな高向神社
狭い境内の一画には高向宮の跡地を標す石碑がぽつんと建てられ、この地が現在の天皇家につながる古い、古い縁の地であることを控えめに伝えていた。

々盡宮跡石碑
高向の宮跡を伝える石碑
そして、いよいよあの有名な継体天皇像を拝むために福井市内の中心近くにそびえる足羽山へと向かった。

継体天皇石像
継体天皇像
その足羽山山麓に祀られる足羽神社は男大迹王が越前平野の大干拓事業を興す際に、宮中神の「大宮地の霊(オオミヤドコロノミタマ) 」(=宮中の座摩5座の神(座摩巫祭神五座(イカスリノミカンナギゴサイジンゴザ)、足羽神はその1座)を勧請して創建したと伝わる。

足羽神社拝殿 修正
足羽神社拝殿
当社のご神紋は日と月と星をあしらうきわめて珍しい「三光の紋」であり、わざわざ宮中に祀る神々を継体天皇がこの地に勧請した事実に加え、天地を統べる天皇である証のような意匠はわたしに何かを暗示しているようにも思えた。

’凖惰癲神紋”三光の紋”
三光の神紋を飾る拝殿内
現在は、宮中で祀られる大宮地の霊(オオミヤドコロノミタマ)に加え、主祭神として継体天皇が祀られている。

足羽神社・社殿
足羽神社
そこから標高116mの福井市内を見下ろす足羽山頂上へと登ってゆく。頂上には福井市自然史博物館の建つ足羽山公園が整備されている。

足羽山公園・三段広場
足羽山公園
その三段広場の頂上に、足羽山でのみ採掘される青緑色の笏谷 (しゃくだに) 石で造られた継体天皇像が建っている。

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笏谷石の継体天皇石像
三頭身の特徴ある継体天皇は威風堂々、あたり地をはらう雄姿を見せていた。

〃兮療傾弔里顔
継体天皇
そして、その大きく見開かれた眼は遠くに視線を投げ今もそしてこれからも福井平野の発展を願うように、その両肩に越の国の悠久の山風をおだやかにたなびかせていた。


陽も西に傾いてきた頃、最近、地方に行くと愛用している大浴場完備のドーミーインホテルチェーン、ドーミーイン福井(天然温泉「羽二重の湯」)へと向かった。

‐討鯖寿司完売の越前田村屋_LI
越前田村屋
夕食はJR福井駅直結の「プリズム福井」に入っている「越前田村屋」で名物・焼き鯖寿司を購入し、ホテルで摂る予定であった。

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北の庄址に建つ柴田神社
駅までの途中、戦国武将柴田勝家の居城であった北の庄址に建つ柴田神社にお参りした。雨も降り暗くもなっていたので、遺構をくわしくみることは叶わず、残念であった。
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境内の北の庄遺構がきれいに整備されている
駅中のショッピングモール「プリズム福井」でお目当ての田村屋に辿り着いたが、人気店とあって焼き鯖寿司は既に完売、他店で購入し、夕食とした。それでも、結構、おいしかったので、夫婦ともに満足の態で越の国の一日目が過ぎた。