昨年12月14日、都自民党の高島直樹政調会長の祝賀会において石原都知事が挨拶した「いじめ云々」の正確な発言内容が19日付けの朝日新聞東京版に載っていることをある方から教えられた。その内容の一部は以下の通りだが、この発言主が一千二百万人都市の首長とはとても思えぬのだが、その品のなさには呆れるばかりであるがそれは横に置いとくとしても、現在、自分の置かれている立場がまったく分かっていないことに、心底、愕然とした。そしてこのような首長を地方行政府の長として戴いていることを心の底から、恥じた。

 

「私いま、共産党にあることないこと言われ続けて、頭きちゃうんだけど。敵だからしょうがないんだけどね。これに便乗してメディアが、わけのわからんこと言って、あんまり愉快じゃないんですが。いじめられていますが、決して自殺しませんから」

 

 この方の話はよく切り分けて熟読玩味しないと、何のことやらよく分からないことが多い。いつぞやの「余人に代え難い」四男氏の件も、当初の記者会見での発言はその文脈から通常に理解すれば、その作品を描ける芸術家として「余人」がいないとわたしは解した。しかしその後出演したテレビでの説明では、無償で作品を書いてくれる人がなかなかいないという意味で申し上げたのであり、誤解を生んでしまったと発言された。無償で作品を書いてくれる人は、芸術を志す若者いや人々のなかにはその気で募集すればわたしはいくらでもいると思うのだが・・。言葉に命を削るはずの文学者でもある石原氏にとって「余人に代え難い」という日本語は適切には使いづらい言葉らしい。

 

それはさておき引用した都知事発言に戻ると、ゞ産党は(私のことで)あることないこと言い続けている、∋笋療┐篭産党である(共産党の敵も私)、だから(共産党に)いわれても仕方がない、い靴し、それに便乗してメディアがわけのわからないことを言っている、セ笋蓮丙)、愉快じゃない、Α覆錣韻里錣らないことで)いじめられているが、(私は今、方々で起きているような)自殺(など)は決してしないと、六点に言いたいことを整理できる。

 

いやはやわかりづらいと言おうか、もう少し頭のなかを整理してから発言していただきたいものである。そしてこう整理してみると、この発言については幾つかお答えいただかねばならぬ重要な点、石原慎太郎氏が不用意に本音を洩らしたからこそご説明いただかねばならぬ点が存在するのである。

 

第一点目は共産党が問題として取り上げたことで「あることないこと」があると知事は認めた。「あることないこと」とは換言すると「本当と嘘」ということである。問題とされた超豪華出張や四男の問題で本当の部分はどの点だと認識したのか明快に説明して欲しい。

第二点目は「(あることないことを言う共産党に)便乗してメディアがわけのわからないことを言っている」とは、次々に噴出してきた夫人・息子絡みの公私混同問題、三男の政治資金疑惑などを指したものだと思うが、そのどこが「わけのわからぬこと」なのかを、きれいに切り分けて都民に明快な言葉で語って欲しい。

第三点目は公的立場にある人間がやった不透明・不適切な行為だとわれわれが感じ、その疑問について答えて下さいという行為を、なぜ「弱いものを苦しめる」同義語である「いじめ」と表現するのか、その日本語力の貧困さには唖然とする。またその後に続く「自殺はしませんから」との言葉に含まれる当事者の心の傷みへの配慮すらない痩せこけた精神に対しては、わたしは救いがたい怒りを覚える。到底、人の上に立つ為政者の口から発された言葉だとは信じられぬからである。

 

知れば知るほどこの石原慎太郎という人物は、驚くほど言いたい放題のことを言っているのである。それこそわけのわからぬことを言っているのは知事自身であり、「あることないこと」を都民にわかるように「実際にあったこと」と「なかったこと」を整理して、説明すべきときに来ていると思うが、いかがか!

 

「すっきりわかれば、誰も便乗してわけのわからぬことなど言わぬ」、そんな簡単なことすら石原都知事はわからぬようである。