21日、四年制大学の2009年度の就職率が2年連続で低下、91.8%(前期比マイナス3.9%)であったことが、文科省、厚労省両省の調査で分かった

 

その一方で政府は、同日の閣議において、2011年度の一般職国家公務員の新規採用人数を2009年度(7,845人)比で39%削減し4,783人とすることを決めた。

 

 2213月期平均の完全失業率は5.1%と前年同期に比べ0.5%の悪化、大卒の就職率も91.8%。日経平均株価も一万円を割る(5/21終値9,784.54)といった厳しい経済環境、社会不安の時だからこそ、公務員の採用数は最低でも前期並み、さらには増員とすべきである。

 

 政権公約に掲げた国家公務員人件費の2割削減を守るために、こうした削減を閣議決定したのだろう。

 

 しかし、この民主党政府、鳩山首相はどうも政治の根本を履き違えているとしか思えぬ。

 

 普天間問題で「最低でも県外」という自らの党首発言を守れぬことで、窮地に追い込まれたことに懲りたのか、事もあろうに若者の雇用機会を国が奪って、公約を守ったとでも言うつもりなのか。

 

 人件費2割削減が公約であれば、まずは国が率先して一人当たり人件費を削減し、ワークシェアリングを行なって見せるのが筋ではないか。それでこそ、経世済民という民のための政治なのではないのか。

 

 若者の雇用機会を奪って公約を果たすというのは、本末転倒である。

 

 そして、雇用機会を奪い国家公務員の新規採用をここまでドラスティックに削減するのであれば、もっと先に率先垂範すべきことがあろう。

 

 国会議員の定数削減である。一人当たりの議員歳費は年間、一億円を超える(政党助成金を含む)。議員定数の削減がどれだけ国家財政に寄与するかはいうまでもない。

 

なぜ、永田町は議員数の削減を実施しないのか。司法においても一票の格差の観点で現状が違憲であるとの判決が出ている。

 

すなわち、2010125日、広島高裁は、一票の格差が最大2.30倍となった昨年8月の衆院選について「1票の格差が2倍を超すのは法の下の平等を定めた憲法に違反する」とし、国会はその「是正を怠った」と批判した判決を下したのである。

 

 今度の参議院はそうした司法の判断をも無視し、意図的なサボタージュで、現状の選挙区で実施しようとしている。

 

 議員数削減という自らの血を出してみせるリストラがあって初めて、国民は政治家が言う社会保険料の負担増や消費税のアップといった痛みに耐え得る、納得をするのではないのか。

 

 米国の上院議員定数は100名、下院定数は435名である。それに対し日本の参議院定数は242名、衆議院定数は480名である。

 

 米国の人口は32千万人、日本が13千万人である。人口1単位当り、日本は米国の3.3倍もの議員を抱えているのだという現状をもっと国民は知るべきである。