海江田万里経済産業相は8日の閣議後記者会見で、計画停電について「実施するのが原則から、実施しないことが原則になる」と、同日で原則打ち切りを表明した。

 

そのなかで、今後の不測の大停電を生じさせないための「緊急措置」として、計画停電の枠組みは残すとした。

 

 計画停電についてはそのグループ別けで都内区部(除く荒川・足立区)が計画停電の除外地域となり、その不公平な扱いに大きな不満の声が挙がっていた。


停電中に蝋燭の灯が液晶パネルに映る

 

 被災地の多くの方々が避難所での不自由な生活を強いられているなかで、たかが3時間の停電が我慢できないなんてと言われるかもしれない。しかし、事はそう簡単ではない。

 


 計画停電の地域内にある基幹病院では自家発電を有していても、心臓病など時間のかかる大きな手術は原則、延期の已む無きに至ったという。

 

 これは23区内の病院に駆け込める人たちとそれ以外の計画停電地域にある病院に搬送される病人とで、緊急時の命の扱いに不公平が生じるということである。実際にこのひと月の間に計画停電による影響で亡くなった方がいたかどうかは知らない。だが、医療関係者が計画停電のあり方に非常な危機感を持っているのは明らかである。


丸ビルエレベーターも停止

 

憲法はその25条で、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と、「生存権」について規定している。

 

節電努力と火力発電の再稼働等供給力の積み増しにより、計画停電が原則終息するのはまずは一安心ではある。ただ、今後の「緊急措置」として計画停電の枠組みを残すというのは、あまりに便宜主義であり、「生存権」の軽重がその住む地域によって異なるというのは、憲法13条に謳っているすべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」の「生命追求に対する国民の権利を国政の上で最大の尊重を必要とする」に明らかに反する行為である。


電車内も蛍光灯は消灯・もちろん暖房もオフ

 

現在の不公平なグループ別けを温存した計画停電のあり方は、そういう意味において大きな問題を抱えており、その枠組みを安易に残そうとする政府、就中、海江田経済産業相の姿勢は厳しく問い質されねばならぬ。

 


丸ビル地下道も節電で薄暗い