東北関東大震災のマグニチュードが9.0と訂正された。歴史的に見ても超弩級の巨大地震である。テレビで観る被災地の惨状はまさに地獄絵図である。そうした現地にようやく自衛隊などが入り必死の救助作業が開始されている。

 

 そうしたなか、福島第一原発のメルトダウンの懸念等憂慮すべき重大事態が続出している。矢継ぎ早の具体的指示がなされるべきこの時機に、頻繁に菅総理をはじめとする重要閣僚の会見が行われている。国民に直接語るべき内容であれば、何度でも必要なだけ会見を設けるべきだし、そうあってしかるべきなのは当然である。

 

しかし、今夜(313日午後8時)の首相会見を含め、その内容は驚くべきほどのお粗末さである。すなわち、こうした巨大災害の際に発信すべき災害情報、災害支援状況、それを克服するための強い国家の意思が全くといってよいほどに伝わって来ないのである。

 

福島原発の炉心溶融の不安が高まる中での今夜の首相会見。当然、新たな事実、対応、国民への説明がなされると思った。しかし、菅首相が必死の形相で語ったのは、電力が足りなくなるので計画輪番停電を行なう。この国難に節電をもって国民は対応して欲しいという。

 

何をこの男は考えているのか。国家の未曾有の危機のこの時に、停電へのお願いのためだけに首相会見を開催するこの政権の非常識、幼稚さ。

 

政権維持はもう限界である。各県別の被害状況、住民の避難状況の情報は、政府の公式会見で語られてはいない。国民はNHKニュースが流す「各局のまとめ」による数字を見て、今次災害の概要を徐々に知りつつある。災害の全体像を国民はテレビの報道をつなぎ合わせて知るのである。あまりに哀しい、あまりに滑稽である。

 

もはや国家を統治する機能、能力をこの民主党政府は有していないと断言してよい。

 

首相の後に、枝野官房長が福島原発の状況について述べた。国民がいま知りたいのは、第三原発の状態は先の会見の時とくらべて状況が改善の方向にあるのか否かであり、彼が語る言葉は何もその不安に答えていない。政治主導か何か知らぬが、これほど高度に技術的な問題であれば、技官等責任ある専門家に政府は会見を委ねるべきである。

 

さらに海江田経済産業大臣の計画停電の依頼は、昼間の会見からまったく具体性において内容は掘り下げられていない。いま、自治体のスピーカーで停電時間が知らされているが、はっきり聴こえない。これが首相が云う国民に強いる危機管理なのか。

 

この政府は「危機管理」のイロハすら理解せぬ愚かでお粗末であるというしかない。これまでのヘリコプターでの視察といい、今夜の菅直人の会見を聴いて、まったく検討外れのことを行なうこの菅以下の政治家、いや男たちに、この時点では、驚きというよりただ侮蔑の視線を送るしかない。

 

そして、被災地の人々にはただ何とかこの危機を凌いでいただきたいと祈るばかりである。