「しつこく特殊指定廃止問題」

 

 25日の毎日ニュースで、また自民党の中川秀直政調会長が、竹島公取委委員長に「特殊指定維持」について要請したと報じられていた。24日に党本部で竹島委員長と会談し、「国会が終わったら(公取委が指定解除を)抜き打ち的にやると、新聞業界は心配している。国会議員もこれだけ反対していることを受け止めて欲しい」と、指定維持を要請し、これに対し竹島委員長は「」国会が終わってすぐにやることは考えていない」としたが、「筋が通らない」と述べ、見直しの方針に変わりがないと応えたという。

 

 会談と報じるが、要は中川政調会長に呼び出しを食らい、「特殊指定を継続せよ」と政治的圧力をかけられたわけである。この圧力に屈せずに、「公取委の方針が変わらない」と委員長が応じたことは、至極当然のことであると評価したいし、その勇気と見識に対しは深い敬意の念を表したい。

 

しかし、この報道自体、一体、何を目的とし、そして問題はないのか、大きな疑問を感じざるをえない。これは世に言う「圧力団体からの陳情」をその業界から利益を享受する政治家が、その団体の利益を毀損しようとしているものに「政治的圧力」をかけていますというあまりにも明け透けで、破廉恥な報道なのではないか。「社会の公器」と自らを呼んで憚らぬメディアが、自身の利益擁護のためにその「公器」たる紙面を通じて行なう行為。これを破廉恥行為と呼ばずして、何を破廉恥と表現すればよいのだろうか、わたしは残念ながらその言葉を探し出すことができない。

 

一方、「特殊指定」については、中川秀直政調会長に限らず、与野党の政治家がこぞって新聞業界側に立った意見を述べているように見える。志位和夫日本共産党委員長、福島みずほ社民党委員長然りである。おそらく、特殊指定排除に賛成する議員もいると信ずるが、新聞業界を敵に回すのは得策でないとの判断から、沈黙を守っているのか、そうした発言をしても新聞業界が意図的に報道を控えているのか、何しろ国民の目には、全政治家が「特殊指定排除」はおかしいのだと声を揃えている、独断専行の公取委委員長はけしからぬとしか見えてこない。そう映るようにしか報道がなされていないのではないか。与野党こぞって同じように声をあげるのが、わたしには不思議に思えてならないのである。「野党の中の野党」と胸を反らす日本共産党までも、自民党と同じことを口にする。不思議だ!

 

これこそ、自らに利益を誘導することを目的とした報道姿勢なのではないか。ネット上で展開されている「特殊指定排除」に賛同する声や「再販制度廃止」を妥当な判断という国民の声が溢れていることを新聞は決して報じない。新聞業界の姑息な歩道姿勢に対し厳しい声が充ちていることを紙面で語ろうとしない。これが「社会の公器」である、「事実を知らしめる使命を帯びた」と自らを称するメディアの客観報道なのであろうか。「噴飯ものである」と、わたしは大声で一喝するしかない。

 

他人を評する者は、まず当然であるが、自らを常に客観的に分析・評価するという厳しい姿勢であらねばならぬはずである。そうでなければ、どんな立派なことを言おうが、どんな正しいことを言おうが、誰もその者の言葉に耳を貸さないし、向けようともしない。自分が出来ぬことを他人に求めるほど、この国の民は破廉恥、厚顔無恥ではないからである。