「特殊指定問題に見る新聞社の手前勝手」
以下の毎日新聞の五月一日付けの社説を読んで欲しい。この手前勝手さに呆然となってしまった。わたしはこの新聞を購読していないので、From Cambridge, MA (http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/9844940)さんのブログを読んでこのことを知った。
(毎日新聞の五月一日付けの社説)
社説:特殊指定廃止 公取委員長の独断で決めるな
「独立した行政組織のトップとして、広く国民の意見に耳を傾ける姿勢に欠けるのではないか。新聞の「特殊指定」を廃止しようとしている公正取引委員会の竹島一彦委員長のことである。
特殊指定の廃止は新聞の宅配制度を崩しかねないと、新聞業界だけでなく、政界、財界、言論界などから反対の声が高まっている。しかし、竹島委員長はインタビューに「戸別配達が大変だとか、知る権利のために必要だとか、ピントのずれた、ワンパターンの話ばかり出てくる」と語っている。
3月27日には、学識経験者や財界人らが意見交換する独占禁止懇話会の席で「皆さん完全にマインドコントロールにかかっている。戸別配達のためには特殊指定が必要だという議論をうのみにしている」とまで言い切った。公的な場で「マインドコントロール」を持ち出して反対論者を非難するのはあまりにも礼節を欠き、不穏当だ。
特殊指定は独占禁止法に基づき、公取委が「不公正な取引方法」に当たるとして、特定の事業分野の取引方法を告示によって禁じる制度だ。新聞の場合、1955年の告示で、新聞社や新聞販売店は地域や販売相手にかかわらず値引き販売することが禁止された。99年の告示見直しで、新聞社が教材用や大量一括購読者向けなどに値引きすることは認められた。
独禁法は新聞社が販売店に定価販売を求めることができる「再販制度」も認めている。特殊指定と再販制度の双方によって、新聞は原則として同一紙なら全国どこでも同じ価格で宅配されるシステムが守られてきた。
竹島委員長の考えはこうだ。独禁法は価格競争を促進するための法律なのに、特殊指定では値引きすれば独禁法違反になり、おかしい。新聞には再販制度があり、特殊指定がなくなっても宅配がなくなることはない−−。この50年間、特殊指定の法的根拠がないとの理由で公取委が撤廃を言い出したのは初めてだ。委員長が就任後自ら考えつき、見直しを指示したことを認めている。
しかしこの間、特殊指定制度に不都合が生じたことはなく、7年前の見直し以降の環境にも変化がないことは公取委も認めている。政策は市民生活に支障が出た場合などには当然変更すべきだが、そうでない時の見直しには大きなリスクが伴う。再販制度は値引きそのものを禁じてはいないため、特殊指定の廃止で販売店間の値引き競争が始まり、国民に必要な情報をくまなく提供する宅配制度が揺らぐことは予想がつくはずだ。
結局、竹島委員長は独禁法という狭い枠の中だけで判断し、国民の知る権利に応え、民主主義を支えてきた新聞の公共性への理解が足りないように映る。
特殊指定廃止は公取委の判断だけでできるため、反対する与党の一部が廃止には国会議決を必要とする議員立法の検討に着手する異例の事態となっている。先人たちの知恵で築かれてきた日本の活字文化が、委員長の独断で壊されるようなことになっては困る。」
以上の社説を目にして、わたしは今回もとうとう新聞社はこの最後の手段に討って出たかと思った。「新聞の公共性」と謳うのであれば、その社論であるべき「社説」には客観性と国民の良識を是非、反映させて欲しいと願うのはわたしだけであろうか。この問題については、三月二十日付けのブログ「新聞の独禁法特殊指定と再販制度の時代錯誤」に詳しく述べています。(http://app.blog.livedoor.jp/hero1945/tb.cgi/50069199)