茅野市北山鹿山4026-2 東急リゾートタウン内

0266-69-3117

アンファミーユ
欧風料理・アンファミーユ

井上政己さんがこの“欧風料理 アンファミーユ”のオーナーシェフである。井上さんは何せ気の置けない御仁で、これから紹介する料理へのこだわりとその凄腕はもちろん脱帽ものだったが、このお店の一番の売りはどう考えて見てもオーナーシェフである井上政己氏ご自身である。

生ハムをカットする井上政己氏
生ハムをカットしてくれるオーナーシェフの井上政己氏

当日は平日でもあったので予約もとらずに“アンファミーユ”を訪ねた。5年前にオープンしたレストランで、前々から気にはなっていたが、食事で入ったのは今回が初めてである(ケーキを買いに2度ほど・・)。以前ここにあったお店が軽食を中心としたお店であったため、同種のコンセプトで作られたものと勘違いしていたこともその理由のひとつである。 

アンファミーユ店内
7時半に入った時には平日のため4組のみのお客様でした(閉店時間の9時過ぎの写真です)

当日は辰野を出て、辰野美術館で仮面土偶を見て、小野宿の小野酒造店で地酒“夜明け前・憑の華”を購入、弥彦神社にお参りし、江戸初期の中山道を通り、途中の天然記念物・枝垂れ栗(森林公園)を観賞し、諏訪湖の釜口水門(天竜川のはじまり)を見て、さらに諏訪の神長官守矢資料館で説明を伺い(栞を購入したかったので)とほんとうに盛りだくさんな見学とお勉強をした。

  
小野酒造店(左)・枝が奇怪な枝垂れ栗(右)
小野峠辺りから諏訪湖を見下ろす
塩嶺王城パークラインの小野峠辺りから諏訪湖・岡谷JCを見下ろす

そしてリゾート内の温泉“鹿山の湯”で汗を流し、さて食事はと考えた時にはもう午後7時を過ぎており、手近なレストランとして、かねて懸案であった“アンファミーユ”を訪ねたというわけである。

窓ガラスより
ガラス窓より店内を

だから井上氏には申し訳ないのだが、あまり・・・、いや、ほとんど期待せずに入ったというのが、大仰な表現ではあるが・・・“事の真相”である。


アンファミーユ入口を入った時は・・・

しかし、人生というものは面白い。期待度が低いと、本物に遭遇した時の感激は尋常ではない。

店内に入ってすぐに大きな生ハムのブロックが目に入った。家内はメニューを見る前に既に、この生ハムに目をつけ、まずオーダーをした。

絶品の生ハム
店内に入ってすぐに生ハムのブロックが置いてある

それがオーナーシェフ井上政己さんの料理人としての魂をきっと揺さぶったのだろう。他のオーダーをしている間に、早速に、この豪勢に盛り付けられた生ハムが運ばれて来た。

生ハム
運命を変えた生ハム

そして生ハムが、井上さんが2年間丹精込めて作り上げた絶品であることを語り始めた。このブロックがなくなるともう今年は終了なのだという。その生ハムについて熱く早口で語る時の子供のような無邪気な顔を見ていると、何だかこちらも愉快になってきたのである。

「そりゃ、今夜は僕らはレアものに当って運がいいね」とか、軽口もつい出たりして、オードブルがもちろん供されたのだが、“アンファミーユ”にはこの井上シェフの料理に対する姿勢と語りが、何にも増して、絶妙なオードブルとなって、以降の料理を一段と引き立ててくれるのだと感じた。


オードブル

何しろ、話が楽しいのだ。料理の素材について、ワインについて・・・、色々と説明をしてくれるのだが、決して押しつけがましくなく、こちらの方からもっと話して頂戴とせがんでしまうほどの話し上手なのである。料理を作るのが楽しくて仕様がない、ちょっと工夫をしてみるのが嬉しくて仕様がない、お客さんの喜ぶ顔を見ると、もう無邪気な子供の顔になってしまう・・・、そんなオーナーシェフの手作り料理が美味しくないわけがない。 

  
スープとサラダもおいしい

素材もその日ごとに産地直送でやって来るのだそうだが、その材料を見てから当日のメニューを考えるという。料理へのこだわりが半端でなければ、そんな芸当を毎日、続けるのは容易でない。

だから、まず本日入荷とあった“サザエのブルゴーニュ風”を頼んだ。

サザエのブルゴーニュ風
当日入荷の”サザエのブルゴ−ニュ風”

なるほど、こんな味付けもあるのだと納得。おいしかった!! 


そして当夜のメインは“本日のおすすめ”からもちろん選ぶことにした。わたしは当日、博多から届いた鱸(すずき)のポワレにした。

本日のおすすめ鱸のポアレ
鱸(すずき)のポアレ・・・、何とかソース・・・

家内は“和牛のタンの赤ワイン煮”をオーダーした。

和牛タンの赤ワイン煮
これも柔らかくておいしかった、和牛のタンの赤ワイン煮(少し摘まんじゃいました)

注文を終えて、オードブルと赤ワインが運ばれて来たが、おすすめメニューのなかに気になる一文があったので、再度、メニューを確認。

赤ワインとオーナーシェフ
赤ワインのなかににシェフが写っています・・・

本日のおすすめメニュー

“ワインのお供にぴったりです♪”と書かれている料理があるではないか。子牛の胸腺肉をパン粉をつけて焼いた“リード・ヴォーのサラダ ハチミツソース”という難しい名の料理もついつい勢いで頼んでしまった。

リード・ヴォーのサラダ ハチミツソース
“リード・ヴォーのサラダ ハチミツソース”・これ、なかなかおいしかったですよ・・・

ダイエットに尽力中?のわれわれがメインディッシュ三品とは・・・、この責任は井上シェフにある。あの愉快な会話で胃袋も俄然、リラックス、何でもござれ!ってな具合となってしまったのだから・・・


そして愉しいお話とほんとうにおいしいお料理で胃袋はもちろん、脳内もα波で満腹という、望外のディナーとなった。


この2年寝かした生ハムも残りこれだけ・・・

もう一度、早めに“アンファミーユ”へ足を運ぼう。あの絶品の生ハムを口に放り込みに・・・。フランス語のアンファミーユとは、”家族のように”という意味、まさにアットホームなお店へまたご挨拶に行かなければ・・・