東京宝塚劇場に初めて足を踏み入れた。いやぁ、この歳になってなんですが、世の中、やはり百聞は一見に如かずで、食わず嫌いは駄目ということをトコトン知らされた一晩でした。宝塚の組の名前もよく知らぬ人間が、「ベルばら」を見に行くとは、時代も変われば変わるもんだと、自分ながら感心している。
今回は「外伝ベルサイユのばら―アンドレ編」ということで、昨年初演のものであった。これからの宝塚情報はすべて、後に自宅でWikipediaで調べたものである。何せ、役者、いや「生徒」の名前すらまったく知らぬ人間だったのだから。アンドレ役の真飛聖(まとぶ・せい)やアラン役の壮一帆(そう・かずほ)の絡むくさいセリフや気障な演技も、最初から宝塚はそういうものだと覚悟して観ると、実は結構ズッポリはまってしまうのに正直、自分で驚いている。マリーズ役の桜乃彩音(さくらの・あやね)も美しくてよい、なんて、なってしまう・・・。何しろこうあって欲しいと観客が思う筋立てが、その通りに用意されているのが、何といっても心地よい。その見る者を裏切らぬ安心感が、特に昨今の不安定な社会情勢のなかでは、とてつもなく貴重なものに思えてくるから不思議だ。
またレヴューも華やかだと聞かされてはいたが、当日の「EXCITER!!★」の舞台美術の派手さや衣装のド派手さもここまで究めれば、これまた演じる者と観客の約束事であるので、それはそれで十分な納得感があった。横の家内も娘も、大勢の観客と一緒になって手拍子を打っていたのだから(さすがに私は手拍子はグッと堪えたが・・・)。
いやぁ、暗い世の中にもこんなに華やかで明るい世界が存在したとは、本当にビックリである。永田町の先生方もぜひ一度、宝塚へ足を運んでいただき、観劇後に劇場を後にする庶民の「安心と納得」の表情とは、こういうものなのだということを見てもらいたい。そして、そうした顔に国民がなる「安心と納得」の政治を行なって欲しいと心から願う。
それはそうと、こうなると「外伝」ではなく「ベルサイユのばら」の本編を観たいと思うのは人情というものである。しかしスケジュールを調べてみて、2006年を最後にその後の公演がないことを知った。歌舞伎のように当り狂言はいつでもやるといったものではないと分かって、ガックリ!! 仕様がないから「BOOK・OFFで漫画本から始めるか」と、家内と話し合ったところである。
それにしても真飛聖って、なかなか、いいんじゃない?