郵便不正事件=大阪地検のトップ、やはり改竄の事実知っていた

 郵便料金の割引特例を利用する為、実体のない障害者団体「凛の会」が偽の証明書を発行させた事件で、それを指示したとして起訴された村木厚子厚労省元局長の裁判は、つい2週間ほど前の
910日、無罪判決が言い渡されたばかりである。

 

その無罪判決の内容を知るにおよび、大阪地検特捜部の杜撰な捜査のあり方に驚くとともに、検察の描くシナリオに無実の人間を強引に押し込める供述誘導乃至供述ねつ造自体、これは一種の犯罪ではないかと、憤っていたところである。

 

大阪高検はさすがに「新たな証拠はなく、無罪を覆すのは難しい」と、控訴断念の方針を固め、24日(控訴期限)までに最高検の了承を得、正式にその旨を表明する予定であった。

 

 その控訴期限が迫る21日、驚くべきニュースが飛び込んできた。事件の捜査主任であった前田恒彦検事(43)が、押収したフロッピー・ディスク(FD)の証明書作成の最終更新日時を「200461日午前12006秒」から「同年同月の8日午後91056秒」へと改竄したというのである。

 

 改竄理由はまだはっきりせぬが、FDの実際の更新日時では、検察の描いた事件のシナリオに不都合が生じるため、「凛の会」から発行依頼があったとする日付以降に改竄する必要があったのではないかというのである。

 

捜査側、それも泣く子も黙る地検特捜部において、そんなことがあってよいのか!

 

国家権力を恣(ホシイママ)にする検察庁が、自らの手で、無辜(ムコ)の国民を犯罪者に仕立てる。そのために、事実を捻じ曲げる工作をする。信じられないし、信じたくない。しかし、事実であれば、背筋の凍る、ぞっとする話である。

 

現段階では、前田検事は、「誤って書き換えてしまった」と弁明しているそうだが、6年前の更新日付をキィー操作を「誤って」書き換えてしまうことなどあり得ぬことは、ちょっとパソコンやワードを弄(イジ)っている人であれば、分かるはずである。

 

これは、国家権力による犯罪である。全能の神が罪を犯すというに等しい。

 

そして、それが前田検事一人でなく、もし、組織的に行なわれていたとしたら・・・。

 

 考えれば考えるほど怖ろしい。

 

村木厚子氏が本日の記者会見で述べられたように、それが事実とすれば「怖ろしい」ことだし、「(トカゲの尻尾切りをするように)個人の問題にするのではなく、(検察)組織として二度と起こらない仕組みを作ってほしい」と強調したのは、当然である。

 

 国民の目の前に事の真相を詳らかにし、何も隠していないと国民が十分に納得できるまで、最高検察庁は調査、いや、捜査の一部始終を、都度、丁寧に説明し、国民の理解を得るべきである。

 

 その上で、責任の取り方をどうするか、さらに最も重要なことだが、今後、同じことを起こさぬセキュリティー・システムをどう設けるかが、検察庁全体に課せられた重い十字架となっていることを知るべきである。

 

 また、本件については、村木氏の逮捕、起訴、公判、一審無罪、検察の控訴断念という一連の流れを、全体として、検証すべきである。それも、国民の前で目に見える形で行うべきである。

 

なぜ、無辜の国民を犯罪者に仕立て上げる捜査がなされたのか。その真相解明には、検察と云う国家権力の闇に迫ることが是非とも必要だが、それをやるのは、もはや、体たらくの政治家でもマスコミでもなく、「正義の確立」に対する国民の毅然たる態度であり、それを為さしめるため真相解明の声を国民が挙げ続けることである。