広島平和記念資料館を訪ねる=原子力平和利用の国民的議論を(2011.3.31)
長崎原爆資料館を半世紀ぶりに訪ねて(2010.9.5)


少女たちの日記帳「ヒロシマ 昭和2046日〜86日」

広島原爆ドーム
広島原爆ドーム
 64年前の今日、午前815分。米軍のエノラ・ゲイ号は広島に人類初の原爆を投下した。当時の広島市の人口35万人の4割に当たる14万人が死亡した。


 私は長崎生まれで、長崎原爆資料館を見ているが、掌が溶け込んだグニャグニャになったガラス瓶の展示品を忘れることはできない。その記憶はもう40数年も前になるが、その時心に受けた衝撃は、今でも胸中の襞の奥底につらい疼きとして残っている。


 今夜、NHKで「ヒロシマ・少女たちの日記帳」を観た。主人公の石堂郁江さんは当時、広島県立広島第一高等女学校の一年生で、一組の副級長をしていたという。「この伝統ある広島第一県女に入学することを許されます。ます覚悟を新たにして学業にはげみ、
心身を鍛え・・・」と、つい4か月前に生徒日誌に記した少女は、その日、授業休講中の疎開作業の途中で被爆し、無辜の命を奪われた

 少女たちの生徒日誌をもとに淡々として描かれた広島原爆の日は、私に平和の意味を真剣に考え直す機会を与えてくれた。


86日原爆投下」の文字が画面中央に流れるだけの番組の終わり方だったが、それが余計に夢にあふれたこの少女たちの尊い命が理不尽にも一瞬にして消え失せた悲惨さを心に沁み入るように伝えてくれた。私はただ黙ってテレビのスイッチを切り、頬を伝う涙を流すにまかせた。

 


 つい先日、米国で「1945年8月6日と9日の広島、長崎への原爆投下について、米国民の61%が『正しい判断だった』と考え、22%が『誤っていた』とみなしていることが4日、米キニピアック大学(コネティカット州)の世論調査研究所の調査結果でわかった」(8/5中日新聞)とのアンケート結果がニュースで報じられた。


一方で、オバマ大統領は4月5日にプラハで「核兵器を使った唯一の国として行動する道義的責任がある核兵器のない平和と安全保障を追求する核兵器のない世界を目指して具体的な方策を取る」などに言及した、いわゆる「プラハ演説」を高らかに行なった。


先の米国民のアンケート結果とオバマ大統領の「プラハ演説」との乖離はあまりにも大きく、その無責任さ加減にあきれて言葉もない。


原爆の悲惨さを実際に目にしたことのない米国民。無知なるが故の米国民の非道の是認。石堂郁江さんが何を思い死んでいったかに鎮かに思いを致したとき、私は米国民の鈍感な傲慢さをとてもじゃないが許すことはできないと歯ぎしりするように思ったのである。