友枝昭世の第13回厳島観月能「紅葉狩」の夜
(2009.10)
広島県廿日市市宮島町1-1
日本三景のひとつであり、1996年にはユネスコの世界文化遺産に登録された厳島神社を訪ねた。海中に立つ朱塗りの大鳥居や海上につきだして巡らされた回廊、平清盛をはじめとする平家一門の厚い庇護を受けた神社として、この厳島神社はあまりにも有名である。初春の一日、速谷神社を参拝したのち、知人が車で宮島へのフェリー乗り場まで送っていただいた。
厳島に渡る前にJR宮島口駅とフェリー乗り場まで(徒歩3分位)の途中にある「うえの」という穴子御飯のおいしいお店で穴子弁当を購入した。知人が前もって予約を入れてくれていたので、待つことなく穴子弁当を購入できた。店の前には行列ができるほどの人気店であるとのこと。その日も店内は満席であった。
穴子御飯の老舗「うえの」 フェリーみやじま丸 近づく海中の大鳥居
フェリーはものの数分で島に着いてしまう。もう少し海上からの厳島神社を見ていたい気もした。フェリー乗り場から海沿いにきれいに整備された可愛いらしい松原をぬけて神社へ向かった。別ルートとして御土産屋街をぬけてゆく道があるが、帰りにそのルートを通るのがよい。というのは、その道すがら海の向こうに厳島神社の朱色の回廊や大鳥居が遠望され、その透明な海の色ともあいまって、美しさがひとしおであるからである。
海沿いに回廊を望む 透きとおる海面 火焼前(桟橋)の遠景
厳島神社は推古紀元年(593年)に創建された。ご祭神は海の神様である宗像三女神(市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命)である。
松原をすぎて東回廊から神社へ入ってゆく。目の前に展開する鍵状に曲がる朱塗りの回廊に足を踏み入れるや、平安時代の絵巻物の世界に入り込んだ錯覚を覚える。観光客の驚嘆の声がそれを実感させる。源平時代はもっと静謐(セイヒツ)の時間が流れていたはずではあるが・・・。
東回廊を歩く観光客 引き潮で残念な回廊を望む 客神社(平清盛建立)
本殿正面より 国宝高舞台より大鳥居 日本三大大鳥居
満潮時、能舞台は海上に 室町様式の能舞台 1407年建立の五重塔
五重塔遠景 白梅と五重塔 境内に隣接の大願寺
ゆっくりと回廊をまわるうちに、周りの観光客の声もどこか遠くへと遠のいていっていることに気づく。琵琶法師の爪弾く琵琶の音色がどこからともなく聴こえてくるようだ・・・。平家一族の栄華と没落・・・。いつの世もそうした盛者必衰という世の道理は変わらないのだなと、いつしかつぶやいている自分がそこにいた。
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