日本のワールドカップが終わった。初のベスト8を期待したが、やはり、その壁は厚く、強固であった。
当初の日本チームに対する評価は散々であった。特に岡田監督に対する悪辣とも言える評価は凄まじかった。
各種メディアをはじめ、と言いながら、私も口汚なく、敗戦後には岡田監督や点の取れぬFW陣を罵倒した。
途中からは強化試合も見なくなった。
なんて冷たい人間、なんて軽重浮薄な輩かと自己嫌悪に陥る。
メディア批判などできた話ではない。

でも、人と一緒に悪口を叩き、悪態をつくのは、なんだかそうした心理状態の時って、自分の精神安定のためには、強力な効果があることを実感した。

怖い。ここにヒットラーのような天才的アジテイターがいれば、簡単に人民は、その炎のような熱い言葉に靡いてしまうのだろう。
非難の集中砲火を浴びていた岡田監督の顔を思い浮かべて、赤面した。
今は、天才的アジテイターが出現しなかったことを幸いと思う。
いつ、そうしたアジテイトに乗せられてもおかしくない社会状勢にこの日本はあるのだから。

ワールドカップの敗退の日に、自戒の気持ちをこめ、日本選手と岡田監督らスタッフの皆さんに、ご苦労様、ありがとう、そして、ごめんねと、小さい声で伝えたい。