今年の夏は歴史的な猛暑がつづく。都心のうだるような暑さから逃げ出し、信州へ向かった。中央高速道小淵沢
ICを降りて鉢巻道路に入り、数分車を走らせると「富士見高原ゆりの里」がある。ICからほんの10分ほどの至近距離である。そこにはビルの屋上やアスファルト道路から蒸気を吹き上げる都心とはまったく別世界の夏があった。

黄色いゆり

白樺樹林に咲き誇るユリ

ロマンスゆり園

 

 

 

 

 

       百合の香り        白樺樹林を埋め尽すユリ    ロマンスゆり園

20haの園内はロマンスゆり園、白樺ゆり園、展望ゆり園の三つに区分けされているが、自分の体調や足の状態により、入口に近いロマンスゆり園と白樺ゆり園だけを周ってもよいし、体調、気力十分であれば展望ゆり園まで徒歩で登って行ってもよい。

 

しかし、そこはご安心。冬場は富士見高原スキー場となる場所である。園内にはロマンスリフト(上り専用)と展望リフト(往復)が走っており、足の疲れを心配せずにリフトを利用して心ゆくまで園遊すればよい。

ゆりの茎に羽を休めるトンボ

天上のゆり園から蓼科山頂を

展望ゆり園から天空を望む

 

 

 

 

 

 

 羽を休める蜻蛉    ゆり園より蓼科山を      ゆり園より天空の雲を

 

盛夏のこの日、信州は晴天。陽射しは強いが、高原の風が肌に心地よい。園内に一歩足を踏み入れると、百合の花、特有の香りが満ちていた。しかし、広々とした高原を歩き出すと、その濃厚な芳香は高原をわたる風とはてしなく高い夏空にとけこんで、甘くやさしくわたしの鼻孔をくすぐってゆく。

 

展望リフトで山麓の高処に登ると、そこにはまた別世界の天上のゆりの園があった。下界には八ヶ岳のふもとの町や自然が一望に見渡せる。見上げるとゆりの園の果てに真っ青な夏空に白い雲が浮かんでいるのが見えた。両手を思いっきり広げて、胸一杯に甘くうすまったゆりの香りを吸い込んだ。