信州霧下そば庵 手打ち蕎麦「若月」
―――信州グルメ(一茶の里、信濃町)
★★★★
長野県上水内(かみみのち)郡信濃町柏原2487−3
(電話:026−255−4321)
営業時間:11:00〜14:30(そば売切れ次第閉店)
定休日:不定休
信州信濃町は俳句を愛する人々にとって小林一茶の里として有名である。その一茶の句に、故里の信濃町を詠った句がある。
そば所と 人はいふ也 赤蜻蛉
そう、信州信濃町の蕎麦は江戸時代の古地図に「そば切り新田」の名が記されているように、昔から蕎麦処として有名であったのである。
この黒姫山麓一帯は高地の冷涼な気候下にある。そして昼夜の温度差の激しい寒冷地でもあり、蕎麦を生産するのには適した土地である。加えて当地や戸隠など上信越県境の一帯は、蕎麦が生育する頃に「信濃霧」と呼ばれる霧に覆われることが多いという。その冷涼な気候で育った蕎麦は一段と香りが高く、ねばり気もありおいしいのだそうだ。そこで、この一帯で作られた蕎麦を特に「霧下そば」と呼び習わすようになったという。一茶の里で食す蕎麦は、呼び名からしていかにも風流である。
わたしは数ある「霧下そば」のお店のなかで、一茶記念館すぐそばの「若月」を訪れた。以前は店に隣接する工房で「そば打ち体験」もさせてくれていたそうだが、現在はやっていない。店は上信越自動車道の信濃町ICから車で約5分のところにある。ICを降りて国道18号線を長野方面へ向かい、柏原小学校入口の信号(柏原交差点信号のひとつ手前)を右折、県道36号線にはいっていくと案内板があるので、右に細い道を入ってゆくと砂利敷きの駐車場(15台)が見える。店構えは普通の住宅のようで、暖簾がかかっていないとわからないほどのものである。
わたしはざるそば(¥850)を注文した。ひんやりとした触感にしっとりとしたコシがあり、「霧下そば」の名に恥じない味であった。しかも量がしっかりとあり、食いしん坊にはお得感もあってよい。
「霧下そば」の店はほかに「樹香(電話:258−1090)」「おがわ(電話:255−3033)」「ふじさと(電話:255−2867)」「うえだ(電話:255−4264)」「たかさわ(電話:255−5076)」「仁の蔵(電話:255−6523)」「天望(電話:255−2900)」などがある。自分好みの「霧下そば」のお店を見つけるのも楽しみである。