前日の湖東三山(西明寺・金剛輪寺・百済寺)の秘仏本尊御開帳を巡ったあと、京都国立博物館で4月22日から6月15日まで開催されている“南山城の古寺巡礼・祈りと癒しの地”展を拝観した。
どちらも貴重な機会であり、時間がある方はぜひご覧になられたらよい。ちなみに湖東三山の秘仏公開は6月1日までである。
南山城は京都府の南部、木津川流域の辺りを指す旧国名である。その地は古代から水運に利用された交通の大動脈であったため、縄文時代よりたくさんの人々が住みついた場所であった。
その証拠に縄文遺跡や古墳時代前期の椿井大塚山古墳など多くの考古学的な遺跡が残されている。
また、奈良時代の740年に聖武天皇の勅によりこの南山城の地(現在の木津川市賀茂地区)に遷都が行われた。いわゆる恭仁(くに)京であるが、この地に都があったのはわずか2年の短期間であるが、その後も平安、鎌倉と仏教寺が、多数、創建されており、現代に多くの文化財を伝えている。
南山城は“古仏の宝庫”なのだという。それも十一面観音信仰が色濃く残る古寺の集積地だと説明された。
一堂に集められた南山城の主な古寺は以下の通りである。
相楽郡笠置町 笠置寺
木津川市加茂町 海住山(かいじゅうせん)寺・浄瑠璃寺・岩船(がんせん)寺・現光寺
木津川市山城町 蟹満(かにまん)寺・神童(じんどう)寺
京田辺市 観音寺・寿宝(じゅほう)寺・酬恩(しゅうおう)庵(一休寺)
綴喜郡宇治田原町 禅定寺
“南山城の古寺巡礼”展では、そうした古仏のほかに、京都国立博物館の今回の文化財調査を通じて初めて明らかにされた仏像・工芸品・書跡・絵画なども併せて展示されており、仏教美術に深い関心のおありになる方は必見である。
交通が不便な南山城にある一寺、一寺を訪ね歩くと大変な時間と労力がかかるのを、今回は京都国立博物館へ足を運びさえすれば、そのすばらしい古仏が一堂に会し、われわれを待っていてくれる。
わたしたちは約3時間かけて美しい仏像や貴重な仏宝を堪能した。これほどの文化財をわずか3時間で見ることが出来たのである。
そして、「なかでもとくに気に入ったのが、観音寺の国宝・十一面観音立像である。天平時代を代表する美しい仏様である。」と、当初、このブログに記載したが、南山城の巡礼を実際になさっておられる”まさこ”様から、ご指摘があり、今回、この観音様は出展されていませんでした。
赤面の至りですが、その誤解の弁明はコメントの返信で詳述しましたが、次は実際に京田辺市普賢寺下にある観音寺へ参拝し、直接この美しい観音様にお目にかかってこようと思います。
ということでございまして、出展されていない仏様にも場合によっては、お目に掛かれるこの“南山城の古寺巡礼展”は6月15日まで、あとわずかである。