「ワールドカップオーストラリアのゴールへの執念」

 

 612日に行なわれたワールドカップ日本対オーストラリア戦は1−3で、日本の大敗で終わった。前半26分、中村俊輔のクロスが直接、オーストラリアのゴールを割った。後半39分から日本に信じられぬ混乱が生じる。ロスタイムを含めたたった9分間で、3失点を喫した。

 

その後半39分、オーストラリアのロングスローは日本のペナルティーエリア内に届いた。それまで、何本もの強烈なオーストラリアのシュートを超美技でしのいできたGK川口能活が飛び出した。パンチングが不充分なままゴールががら空きになった。その一瞬の隙をつき、ティム・ケイヒルが日本ゴールへ同点のシュートを蹴り込んだ。ボールはDF陣の伸ばす足先をかわし、せせら笑うようにしてゴールネットのほうに転がり込んでいった。

 

ペナルティエリア内の混乱のなかで、何が起きたのか良く分からなかった。観客はおろか、日本選手も何が起きたのかわからなかったのではないか。それほどいドタバタした印象を受けた。その5分後にまたティム・ケイヒルにゴール正面から左ゴールポストを直撃する強烈なシュートを撃たれた。逆転された!そして、ロスタイムに入り、DF茂庭照幸にかわりFW大黒将志を送り込み、前掛かりになった日本陣営の手薄の防御陣を楽々とクリアし、ジョン・アロイジが止めの3点目を入れた。

 

シュート本数はオーストラリア20本に対し、日本が6本。コーナーキックもオーストラリアの5本に対し、3本、そして、ファウルはオーストラリアが、22に対し、日本は半分の11。数値は明らかにこの試合の本質を示している。

 

オーストラリアが旺盛な攻撃精神で攻め続け、ファウルもものともせずに前へ前へ、ゴールだけを目指して愚直に進んでいった光景が目に浮かんでくるようだ。その貪欲なまでの攻撃精神、ゴールへの執念を思うとき、日本はあまりにひ弱に見えた。先の数値が正にそれを如実に表している。サッカーといわず、勝負は結果がすべてである。勝者が正義なのである。MFの中田英寿が試合後のインタビューで放った「結果が全て」のひと言は、冷厳な勝負の世界に生きる人間の言葉である。エキュスキューズはきかない。

 

あと残り2試合! 選手達には愚直に、貪欲に、一直線に、ただ相手のゴールネットのみを見詰めて勝負狂いをして欲しい。そうしたら、ひょっとしたら勝負の女神が奇跡という現代では忘れ去られたドラマを日本人に見せてくれるのかも知れない。