フジテレビは2月22日付けで「子会社解散のお知らせ」を発表した。その内容は以下の通りである。
「当社は、平成19年2月22日開催の取締役会において下記のとおり当社の子会社(持分法適用)である株式会社フジテレビ出版を解散することを決議した」
その解散の理由として「当該子会社は、フジテレビで放送した番組の活字、出版メディアへの展開を目的として設立された会社でしたが、業務の効率化を図るとともに、当社が自ら積極的に関わることとしたため、解散することに致しました」と述べている。
清算結了予定は平成19年8月末とされ、当社業績の影響として「当該子会社の解散が当社個別業績及び連結業績に及ぼす影響は軽微であります」とされている。
フジテレビ出版は直近の平成17年度決算は売上高1億5700万円、経常利益6300万円の黒字決算である。過去三年間の決算の累計数字で見ても、売上高5億4000万円、経常利益2億6200万円、利益率48.5%という驚くほどの高収益会社である。
数字を見る限り小体といえども高収益企業であり、解散理由が「業務の効率化」と「当社(フジ本体)が積極的に関わることにした」であれば、解散ではなく吸収すればよい話である。高収益で税金も払っていた100%子会社である。吸収合併するのに何の問題も存在しない。この会社の存在を消去せねばならぬ理由がわからない。
そこで気になるのが、フジテレビ広報部発行の広報誌「パブペパNo.03-25」(2003年1月24日発行)の「『発掘あるある大事典』から新シリーズ『あるある式レシピ』本が2月3日に発売」という表題記事の内容である。(「フジテレビ知っ得情報」より)
「これまでのあるある本は、書籍では5巻、ムックでは3巻発売しておりますが、累計214万部を突破した大好評のベストセラーです。食生活の乱れ、不規則な食事など、生活環境が悪くなっていく今、自分で自分の健康を守ることが大切。
そこで、【ダイエット】【美肌】【サラサラ血】【肝機能アップ】【整腸作用】【脳の活性】【免疫力】など、これまで紹介した選りすぐりの健康に役立つ料理レシピが満載!手放せない1冊になること間違いなし!『あるある』が考える「身体の機能が強い」「身体を外敵から守る力が強い」「きれいな身体になれる」を3大ポイントとして、身体にいいレシピ集がついに完成です」などと書かれている。
その最後に「あるある式レシピ」は「定価:本体1429円+税 発行:フジテレビ出版 発売:扶桑社」と、「フジテレビ出版」が出版社として明記されていたのである。
現在発行されている「あるある式レシピ」本は関西テレビ放送が出版社となっており、これもどのような経緯があったのか不可解である。ただフジテレビ広報誌の「フジテレビ知っ得情報」(http://www.fujitv.co.jp/jp/pub_info/pub/03-25.html)を実際に目にすれば、当時、出版社をフジテレビ出版と記載するほどの肩入れをし、「あるある」が関西テレビでもなくましてや日本テレワークでもない、フジ本体が自社制作しているかのような気持ちでいたことがよくわかる。フジテレビが「あるある」において第三者であったとは思えない状況が過去においてあったことは隠すことのできぬ事実なのではなかろうか。
こうしたことを思い巡らすと、今回の唐突な出版社の解散は出版物を検証されたら何かフジテレビにとって不都合なことでも出て来るのかとも勘繰りたくもなるのである。まことに不可解なことである。