7月31日、まだニッコウキスゲも少しは残っているだろうと家内が言う。
天気も良し。早速、車山肩の“ころぼっくる”へと向かう。
昨年は久方ぶりのニッコウキスゲの満開だったが、今年はそこまではないとニュースで聴いていたので、時季もずれていることもあって期待せずにいつもの“ころぼっくる”のココアを楽しみに車山肩へとドライブ。
途中、富士見台に寄って、ニッコウキスゲを気持ち楽しむ。
やはり、時季も遅れたし、昨年までの花がつかなかったとのことで、まぁ、こんな程度と二人、納得。
でも、やはり霧ヶ峰のニッコウキスゲは高原の夏の到来を告げるにふさわしい鮮やかな花である。
今年は6月の佐渡へ渡り、大野亀のトビシマカンゾウの群生も鑑賞できた。ニッコウキスゲとトビシマカンゾウ、一日花という儚くも逞しい美しさに心躍らせた年でもあった。
この日、コロボックルのテラスは夏休みをたのしむ家族でいっぱいであった。
そこで、われわれはまずは腹ごしらえと山小屋のなかのテーブルに陣取る。
名物の厚切りトーストとココアをいただく。トーストにわたしはハチミツ、家内はシナモンとお好みのオプションである。
お腹がいっぱいになったころ、ちょうどわたしの指定席があいた。
早速、そちらへ席を移動する。何ものも遮るもののない目の前に広がる車山湿原。
生命力をみなぎらせた青々とした夏草が一面に繁茂する湿原、そして、草原がなんとも心地よい。
このテラスの突端のテーブルに坐って、ゆっくりと草原に目を這わせる。
ゆっくりと瞼を閉じる。
すると、草原からわたって来るそよ風が私の胸へ跳びこんで、肺を浄めては背中へとすっと抜けてゆく。
閉じていた目を開け、上方に視線を投げやる。
そこにはなだらかな喋々深山の稜線が心を和ませてくれる。まるくておだやかなわたしの大好きな稜線である。
上空に雲が流れる。当日は雲量が多く、すかっと青空と云う訳にはいかなかったが、この開放感はたまらない。
鶯の啼き声が静謐の高原に響き渡る・・・・・
高原に光が満ちる。雲間から真夏の太陽が顔を出したのだ。
夏空の青が深みを増した。その群青に真っ白な夏雲が映えてきた。
今年も“ころぼっくる”の夏がやって来たのだ。高原の涼しさを運ぶそよ風を胸いっぱいに吸い込み、大きく背伸びをした。
2014年の信州の夏、まさにいまが旬である。






































