湧水の郷、安曇野を歩く その1=NHK「おひさま」ロケ地・陽子の通学したあぜ道
「おひさま」ロケ地・安曇野を歩く その2=陽子(若尾文子)の「百白花」・大王わさび園水車のある風景
穂高温泉郷・安曇野、泊まってみたい宿=なごみ野

安曇野市穂高有明3613-42

電話:0263-81-5248



いま、NHKの朝の連続テレビ小説「おひさま」で注目の安曇野を二泊三日で訪ねた。 


水色の時「道祖神」
「水色の時」道祖神

当初、ひとつ宿での連泊を考えたが、ネットで調べるうちに気になる宿が二軒あった。そこで少し面倒ではあるが、穂高温泉内のほんの半里ほどしか離れていない宿を渡り歩くことになった。

その一日目の宿が、一日に五組しか宿泊客をとらぬ「にし屋別荘」という小さな宿である。


安曇野・にし屋別荘
にし屋別荘玄関へ
小さなお宿です
玄関を入ると「にし屋」の額縁が

この「にし屋別荘」は神戸出身のオーナー林田茂巳氏(63歳)が50代初めでサラリーマン生活に終止符を打ち、2000年に開業したもので、同氏の夢とこだわりが随所に詰まった「大人の空間」である。

 
にし屋別荘・益子の間ベッドルーム
古民家の温かみあふれるベッドルーム
ベッドの下に秘密の空間が
ベッドの下に隠れ家のような心躍る空間が
 各部屋に冠された名前が「伊万里」「織部」「備前」といった焼き物に因んでいるのもオーナーの「こだわり」のあらわれである。われわれ夫婦が通されたのは「益子」というロフト形式の部屋で、幼い頃に読んだ世界文学全集のなかに出て来るような浪漫に満ちた遊び心豊かな空間であった。
益子の間

以前はもうひとつ「唐津」という部屋があったが、現在は和室の食事の間に改装されており、和洋の異なる空間が「懐かしい時間」というコンセプトのもとに巧みに演出され、共存を許されている。われわれが食事をいただいたのがかつての「唐津」の間であった。


和室の食事の間
洋間の食事の間から

そこで供される食事も「八月のお献立」に印されているように丁寧に料理され、味付けも上品でおいしかった。
 

にし屋別荘献立
当夜の献立
こだわりの器に盛られた前菜・にし屋別荘
こだわりの器に盛られた前菜

 日頃、ついついお酒に走ってしまうわたしも、この夜は料理に舌鼓を打つのに忙しかった。
それでも最後に御飯が残ったのだが、ご主人が「お握りにしてお部屋でお夜食にいかがですか」と、持たせてくれるなど、その心尽くしのお持て成しにはいたって満足!
 

前菜
油皿・鰻白焼砥草揚げなど
岩魚の塩焼き
牛フィレ肉の炭火焼

そしておいしい料理を一段と引き立ててくれたのが、林田氏ご自慢の器の数々であったことは言うまでもない。


囲炉裏の間に飾られた趣味の大皿
御主人ご自慢のそば猪口コレクション
新潟の古民家を移築、天井が高い
新潟から移築した古民家によく似合う陶器の数々

食後は自室に戻り、ベッドルーム下に設えられたロフト式の居間で、マッサージチェアにもたれ、またソファーに横たわり、翌日の道祖神巡りのことなど取り止めのない話を語り合った。正直、旅先でこれほどくつろいだ時間が過ごせるとは思っていなかった。

BlogPaint
「屋根裏の世界」でくつろぐ
マッサージチェアもよく似合うロフト式のくつろぎの空間

そう・・・、「にし屋別荘」には幼年時代に幾度も夢見たあの心ときめく屋根裏の世界がひっそりと息づいていたのである。翌日に宿泊した「なごみ野」とはまた趣きの異なる手造りの空間と時間が味わえる温かい宿であった。

 

それと、温泉についてもひと言、言っとかなければいけない。にし屋別荘には宿泊客5組に対して中房温泉から引いた内湯と露天風呂あわせて3つの温泉がある。各々が家族貸切で入湯できるという贅沢なものであり、こうした仕組みもここを「別荘」と呼ぶにふさわしい由縁である。