東本願寺(おひがしさん)の御影堂門を出て烏丸通を京都駅へと南下し、東本願寺の東南角、烏丸七条交差点をわたった右手に京菓子司・松屋製菓がある。
「名物おはぎ松屋」と書かれた暖簾がかかる店頭には、「名代おはぎ」と記されたショーケースが置かれている。
そのときの時刻は、新幹線のぞみの出発時刻まであと1時間の正午前。
駅弁を買ってお昼にするつもりだが、この「巨大おはぎ」、いや、「巨大あんこ」はあまりにも魅力的である。
京の暑さにやられたのか、ついふらふらと店内に入ってしまった。
「330円です」
「お箸、入れますか?」
「お願いします」
と、商いの遣り取りはよどみない鴨川の流れのように終わった。
そしてわたしの手元には巨大おはぎの入った正方形の紙箱がぶら下がっていた。
その間、ほんの数分の真夏の出来事であった。
後に調べたら、おはぎの重さはおよそ250gはあるというではないか。
大きいはずである。
だが、ランチには品数も量も多い特製幕の内弁当を購入してしまった。
おはぎにまでわたしの食慾はゆきつかない。
よって自宅までブラリブラリと袋が振り乱された結果、紙箱のふたを開けたときの無残な姿のおはぎの写真はない。
真横から見ると、餡子の盛り上がりといおうか、豪気な餡子のおふるまいが何とも言えず、甘党には堪えられぬ様子なのである。
写真を撮ってから遅いおやつということで、一日早く京都を発っていた細君にもおはぎの容姿を調えてくれた功績としてチョピッとお裾分けをしてあげた。
そういうことなら、二個入りを買ってくればよかったと思ったものだ。
餡子好きには堪らぬ「京風のお澄ましをせぬ、松屋の巨大おはぎ」、騙されたと思って、ぜひ、食されよ!!