19日午前10時半から理化学研究所は検証実験チームの相沢慎一リーダーや、STAP細胞論文の共著者だった丹羽仁史副リーダーらが出席の下、東京都内で記者会見を開き、すべてのSTAP細胞の再現実験を打ち切ると発表した。


4月から始まった丹羽仁史氏の検証チームによる再現実験と7月から始めた小保方晴子研究員本人による再現実験共に、これまでにSTAP細胞の再現ができず、これ以上の検証は無意味との判断から、本日、実験の取り止めを発表した。


ねつ造疑惑が噴出して4月に小保方晴子氏出席のもと記者会見が開催されたが、その席上、同氏は「これまで200回作製に成功した」、「作製には独特のレシピーがある、コツがある」、「名前は言えないが、第三者がSTAP細胞の作製に成功している」と強弁し、STAP細胞は存在するという点では徹底抗戦の構えであった。


その後、小保方氏のネーチャー論文作成の指導に当たった笹井芳樹CDB(発生・再生科学総合研究センター)副センター長が自殺するなど、学問の世界の話とは思えぬスキャンダラスな展開を見せてきた。


その本人による11月末とする再現実験の期限に到達、それを受けての本日の記者会見である。小保方研究員は体調不良のため同記者会見には欠席であった。


この再現実験取り止めにより今年1月からの一連のSTAP細胞騒動は一応の決着を見せたことになるが、何とも後味の悪い事件?であった。


そのひとつが小保方氏の言動から一度たりとも科学者としての精神、スピリッツを感じることができなかったことである。演繹、帰納であれ、客観的な現象からある結論を導くことは科学に限らず、ひとつの説を他人や社会に納得させるには必須の手続き、約束事である。


然るに、そうした思索回路を同氏の言動からまったく認めることが出来なかったことは、本当に残念である。


さらに、理研自体の組織としての問題である。問題と言う点ではこちらの方が重大であるし、ここに至ってもその疑念はひとつとして晴れてはいない。


すなわち、これほどやっても再現できなかったSTAP細胞を存在するとして作成された論文がなぜ、日本を代表する研究機関である理研で承認され、しかも世界的な学術雑誌であるネイチャーに掲載されたのか、ここに至った経緯、意思決定システムなどの説明がなんら成されていないことは、今後の日本の研究開発、科学の発展にとってもっとも大切な事柄であり、その点については文科省をはじめメディア、学会などでさらなる解析が必要とされる。