蓼科行最終日、いつもの定番コース、ビーナスラインを駆けて車山肩で高原の夏をすこしだけ味わう。
天気によって立ち寄る富士見台展望台から八ヶ岳の雄大な裾野の先に富士山の山影をみる。
そして夏のビーナスアインの名物、高原の稜線のうえに雲が湧き、刻々と姿を変えてゆく。
その雄大な景色はいつ見ても爽快である。
入道雲がなぜか大好きなわたしはいつも細君に笑われながらも、飽きずにパチパチと懲りずに写真を撮る。
幼き頃に綿飴やソフトクリームや兎や見えた入道雲はこの令和の世になってもその姿は変わらない。
昨今はニッコウキスゲも鹿害でかつてのような山肌一面黄色というわけにいかず、その迫力は半減以下となっている。
それでも踏ん張ってニッコウキスゲここにありと“ひと花”咲かせているのが健気である。
そのニッコウキスゲの自己犠牲のお陰か、高原の夏を彩るハクサンフウロが緑のなかから可憐に顔をのぞかせる。
カワラナデシコもわたしもがんばっていますよと、五弁の花びらを精一杯ひろげてみせる。
そして七月下旬なのに、高原ではもうワレモコウが咲き、いつも精霊トンボが羽をやすめている。
この日はコロボックルのテラスがハイカーでいっぱいなため、定番のココアを諦めた。
コロボックルのココアは絶品なのだが・・・残念・・・
そしてビーナスラインをくだって白樺湖湖畔の“すずらんの湯”で温泉に浸かって早々に山のいえへと戻った。
中央高速の夕刻の渋滞をさけるため明日の午前中出立の帰京にそなえたのである。
その時、わたしは8月に入って老妻と二人でもう一度、のんびり来ようと考えていた・・・。