その日最後の予定地、「鎌倉殿の13人」ゆかりの願成就院が、定休日の北條寺につづき、こちらは拝観受付が午後3時半までとのことで、われわれが4時過ぎに山門をくぐったときには国宝の阿弥陀如来坐像の安置された大御堂や宝物館は閉鎖され、境内の北条時政公の墓所のみをお詣りするにとどまった。

当夜はそこから10分ほどの伊豆長岡温泉の「香湯楼(こうゆろう)井川」を予約していた。

⓪井川・エントランス
香湯楼井川の玄関
HPから探し出したのだが、立地と宿泊料のお手頃感を第一に選考基準として選んだ。

加えて「香湯楼井川」に関しては、百年の歴史を誇る宿で「五感で楽しむゆらぎ」を謳うお洒落なHPから勝手に重厚ななかにも洗練された外観イメージを膨らませて選んだのも事実である。

その井川に到着してみると、いわゆるホテルかちょっとしたマンションのような外観で、正直、失望の感は否めなかった。

エントランス
モダンな椅子やオブジェが置かれたエントランス 
また中へ入ると、薄暗い空間にレセプションと洒落たラウンジが広がっていた。

百年の歴史の重厚さというのではなく、その対極にある現代アート造りのようなエントランスである。

アロマがひとつのコンセプトなので、空間をこのように落ち着いた薄暗い照明とほのかに薫るお香によって演出しているのだろう。

エントランス・ラウンジ
落ち着いたラウンジ
割り切って考えれば、こうしたリニューアルとアロマといったサービスがいまの若い人々にはふさわしいのかもしれないと思い直した。

チェックインをすませ、5Fのハリウッドツインルームへと向かう。

5F ハリウッド・ツインルーム40
40屬旅さのハリウッドツイン
広い畳敷きの部屋に大きなツインベッドが置かれていた。

ゆったりとした部屋で気持ちが良い。

井川・部屋から
5階から長岡温泉郷をみる
レセプションで貸切露天風呂を進められたので、夕食前に温泉を愉しむことにした。

この露天風呂は想像を超えて随分お洒落にできていた。

ドリンクでくつろげる貸切風呂
お洒落な貸切露天風呂
間取りはと説明するのも妙ではあるが、ここの脱衣所というのがいわゆる「次の間」といった感じで、板敷きの室内に白い二人掛けのソファが置かれ、広い窓越しに檜造りの木枠で縁取りされた露天風呂が見える。

井川 貸切露天風呂
お湯は熱くでも肌にやさしい・・・
ソファの前には氷の入ったボトルクーラーのなかに瓶ビールとミネラルウォーターが用意されていた。

まずは伊豆長岡温泉の源泉につかることにした。

さすがに「美人の湯」と称される井川の湯は肌にやさしく気持ちが良かった。

その証拠に、細君もちょびっと女っぷりがあがったと、報告しておこう。

こうした坪庭を眺めながらの露天というのも気持ちが落ち着きなかなか乙なものだと感じ入った。

そして湯浴みののちに冷えたドリンクでのどを潤したが、少々難を言えば貸切時間が一時間ということで、湯上りのボ〜ッとした時間があわただしく足りなかったのがもったいなかった。

雰囲気作りはなかなか秀逸であったので、もう一つ二つ、貸切露天風呂の数を増やして、もう少し利用時間を増やしてくれたら、香湯楼井川の大きな「売り」になると思った。


そして、いよいよ夕食である。

当夜のメニューは次の通りである。

食前酒 山桃酒

夏の彩り前菜 アサリのオイル煮・彩り野菜・鮭・バゲット

夏の彩り前菜 アサリのオイル煮・彩り野菜・鮭・バゲット
オードブル
コンソメ餡の茶わん蒸し

コンソメ餡の茶わん蒸し
茶わん蒸し
刺身4種 鮪・鯛・カンパチ・桜エビ

⓪刺身 鮪・鯛・カンパチ・桜エビ
地元の刺身
キンメダイの香草焼き

キンメダイの香草焼き
金目鯛の香草焼き
寿司 鰻棒寿司・パプリカ・井川ロール

寿司 鰻棒寿司・パプリカ・井川ロール
変わり種のお鮨
ビーフシチューパイ包

ビーフシチューパイ包
中身はビーフシチュー
トマト・チーズのハーブガーデン鍋

トマト・チーズのハーブガーデン鍋
これはヘルシー鍋
ハーブ塩鰹茶漬け

ハーブ塩鰹茶漬けのトッピング  ハーブ塩鰹茶漬けのトッピング
これをご飯にのせてお湯をかける
写真からわかるように野菜やハーブを多用したヘルシーメニューで、色使いなどちょっとお洒落感も演出して若い女性方が喜ぶ料理なのではと感じた。

さらにデザートが別途ラウンジに用意されており、これは食べ放題ということでこれも女性陣には好評のようであった。

デザートはラウンンジで食べ放題
だいぶ品数も減っていたラウンジに用意されたデザート
若いカップルがこれもよいあれも食べてみたいとじゃれあっている姿をみていると、年寄りも「そうそんな時代が自分たちにもあったなぁ」と自然と顔がほころんでくる。

そして旅は仲間内だけで愉しむのではなく、周りの人たちが喜び楽しむさまを眺めることで、その幸せ感が伝染してくる、そんな心豊かな気持ちになるのがいいのだなぁとあらためて実感させられた香湯楼井川のひと時であった。

その夜は広いベッドに潜りこむや二人とも瞬時にして完落ちしたのはいうまでもない。