今宮神社社前のあぶり餅の老舗・一文字屋和輔の創業長保二年(西暦1000)は別格としても、創業四百年、三百年の伝統を有す京菓子の老舗がざらにある京都の街で、百年の歴史を有すといってもそれは新参者に近い。

右に一文字屋
今宮神社参道 右手があぶり餅・一文字屋和輔 左が”かざりや”
そんな新参者が北野天満宮の東門に突き当たる上七軒通の出口近くに店を構える老松(おいまつ)である。

‐綣係 老松
上七軒通に面する老松北野店
天満宮境内に末社・老松社が建つが、店名はそれに由来するという。

北野天満宮末社・老松社
北野天満宮末社・老松社
その老松北野店には12年前に一度訪れて以来、足を踏み入れていない。節季物の花びら餅など東京新宿の伊勢丹の老松で買えるようになったことがわざわざ京都の店へ伺うことがなくなった理由でもあった。

ただ此度は千本釈迦堂から平野神社への道すがらでもあり、上七軒通にある老松で何かおいしい菓子を物色したいとの魂胆もあり立ち寄った。

上七軒歌舞練場前から上七軒通りを
上七軒歌舞練場前から上七軒通を見る
職菓子御調進所(ゆうそくがしごちょうしんしょ)と墨書された懐かしい老松の暖簾をくぐると、「新参者であっても由緒正しき」を證する北野天満宮御用達、御婚礼諸儀御菓子調進所といった大きな表札が目に飛び込んでくる。

∀珪勝_杙厂攘燭箸翰冀I住
北野天満宮御用達など表札がかかる老松店内
静謐で清楚な店内の雰囲気は以前のままである。目に美しいショーウインドーの飾りつけも気持ちが落ち着き、気分がよい。

O珪勝‥稿皀轡隋璽Εぅ鵐鼻
すっきりした老松のショーウィンドウ
まずお土産に大好きな“流鏑馬(やぶさめ)”を求めた。丹波大納言の粒餡をしっとりとした生地で包んだどら焼き風の平鍋物である。下賀茂神社の流鏑馬神事の射手の綾傘の形を模した上品な京菓子である。

⇔鏑馬
わたしの大好きな流鏑馬
次に黒糖、三盆糖、しょう油の三種類の味をそろえた古能美(このみ)菓子を求めた。

ー蠢阿古能美菓子・後ろ山人艸菓橙塘珠
手前が古能美菓子 うしろが山人艸菓(さんじんそうか)
店員さんが奥にお包みに入っている束の間の間に、ショーウインドーはわれわれを魅惑する。そして、追加に追加に追加・・・と、注文が五月雨式に増えていく。

ο珪勝仝吐夙菓子
3種類の古能美菓子 左に菅公梅
ん肋得餅・菅公梅
麩焼煎餅・菅公梅
まず、洋風でおしゃれな菓子だと家内が篭絡された“山人艸菓(さんじんそうか)”の“橙糖珠(だいとうじゅ)”と“胡桃律(ごとうりつ)”の詰合せである。

山人艸菓 左:胡桃律 右:橙糖珠
山人艸菓 左:胡桃律 右:橙糖珠
〇確嚊膕(さんじんそうか)の橙糖珠(だいとうじゅ)
橙糖珠(だいとうじゅ)
わたしはホテルに帰っておやつにと、季節感ピッタシの“桜餅”と一風変わっていて目に留まった京菓子風月餅の“香菓餅”を注文した。

サ菓子風月餅
ホテルで食べた香菓餅
桜餅は関東と異なり、道明寺粉のモチモチを二枚の桜の葉で包んだいわゆる関西の桜餅である。

F麕腓虜の葉え包まれた老松・桜餅
関西の桜餅 中身は道明寺
香菓餅はドライフルーツ入りの白餡を粒餡で巻き、そぼろをまぶした創作和菓子である。

ホテルで早速いただいたが、両方とももちろん美味で、満ち足りた気分に包まれた。

最後に白状するが、老松でこれだけお菓子を買い溜めしたにもかかわらず、北野天満宮でちょっとお参りしてからと立ち寄ったところ、東門から入ったのが運の尽き、いや、僥倖であったというべきであろう。毎月25日の縁日のみに営業する長五郎餅の境内茶店に暖簾が出ていたのである。
毎月25日の縁日のみ開く、長五郎餅北野天満宮境内店  秀吉に命名された長五郎餅

これは菅公のお引き合わせに違いないと、ありがたくもつつましく二個入りを手に入れた。もちろんホテルで翌日のお目覚にいただいた。ふくよかなお餅であった。
こうやって改めて写真を見ると、まさにはしなくも爆買いをしてしまったとの感は否めない。