元気(パワー)をもらう神社旅行
辰宮 太一
ジェイティビィパブリッシング
2009-06-30


塩野神社は独鈷山(とっこざん)の北の山麓に位置し、中禅寺から100mほどの至近に、人影もまれな森厳な社叢のなか、ひっそりと鎮座している。

道筋に案内板

当社は、『日本三代実録(901年編纂)』に貞観15年(873)、「信濃国塩野の神」に “正六位上”の位階を贈ったとの記述を残すほど古くて由緒ある延喜式内社である。

式内郷社塩野神社の標石  塩野神社境内図
杉木立入口に立つ標石             境内図

社伝によれば、白鳳元年(661)4月に出雲大社から独鈷山頂上近くにある鷲岩の上に、分霊、勧請されたとあり、後世、この塩野の人里へ遷座されたのだという。

塩野神社前より独鈷山
塩野神社前から独鈷山を望む

従って、その祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)、大己貴尊(おおなむちのみこと=大国主神)と少彦名尊(すくなひこなのみこと)の三柱の出雲系の神々である。


空高くそびえる杉並木の細い参道を抜けると、社務所や枯れた神木の根を囲む祠が建つちょっとした広場に出る。ここを馬場となし、祭事として流鏑馬神事が行われるという。

杉木立
杉木立の先に一の鳥居が見える
境内社・十二社飛来姫命
鳥居前の広場 境内社・十二社飛来姫命

そして、その奥、正面に鳥居が立つ。鳥居を抜けると沢を跨ぎ、神橋が架かっている。

太鼓橋の下を流れる細川
太鼓橋の下を流れる細川

独鈷山を水源とする幾多の湧き水が当社境内の沢に流れ込んでいるが、その沢水が本流たる塩野川に合流し、塩田平をうるおしてきた。同社が、古来、水の神として信仰を集めた由縁がそこにある。

太鼓橋と正面に拝殿
神橋の向こうに楼造りの拝殿

その聖なる沢を跨いでゆるやかな弧を描き太鼓橋が架かっている。神橋を渡ると正面に二階建ての一風変わった社殿が建つ。

楼造り拝殿
楼造りの拝殿・勅使殿の扁額を掲げる

正確には“楼造り”といわれる建築様式で、寺院では有名なところで法隆寺の経蔵・鐘楼や唐招提寺の鼓楼があげられるが、神社ではとても珍しいものである。

塩野神社拝殿と本殿
前が拝殿、奥が本殿

社殿は江戸時代の建築物で、楼造りの拝殿が寛保三年(1743)の再建、その奥の一間社流造りの本殿は寛延三年(1750)のものといわれている。


この拝殿の右前方、木立のなかに石祠の載る磐座の一群がある。その一画には“霧不断の香”でもたき込められたように神気が漂い、どこか凛ととした荘厳さが感じられた。

磐座1 磐座2
苔むす磐座の数々
磐座3 磐座4
樹林に鎮まる磐座
石の祠 磐座5
石祠が載っています

雨があがった時分などに参拝できれば、樹間に揺れる葉先に宿る滴の耀きや木漏れ日のゆらぎのなかで、沢に流れるせせらぎの音が木魂し、俗世の慾や身の穢れもいっさい落とされて、その爽快感はさぞかし言語に尽くせぬ最高の気分になるのではないかと思った。


お一人で、または愛する人と一緒に、この聖なる地を訪れてはいかがであろうか。ミステリアス・スピリッツを総身に浴びることのできるパワースポットである。