東京国立博物館
東京国立博物館

平成2562日(日)まで、東京国立博物館平成館にて、“国宝・大神社展”が開かれている。

大神社展開催中の平成館
大神社展が開かれている平成館

当展は2013年が伊勢神宮の62回目の式年遷宮にあたるのを機に企画されたもので、全国の神社からこれまで門外不出であった秘宝など国宝・重文160点を含め、総展示品目数244におよぶ、空前絶後の神社パワー全開の大展覧会である。

大神社展

“神社オタク”を自認する不肖わたくしは、こうした大展覧会の存在を実はまったく知らずにいたのでありました。 


それが、412日、13日と、たまたま思い立って千葉の香取神宮と茨城の鹿島神宮を訪ねたのであります。それもひとり旅で・・・。


そして一日目に訪れた香取神宮で、宝物館に展示されていた国宝・“海獣葡萄鏡”の説明に、「国宝大神社展貸出中 本品は複製品」とあるのを発見した次第なのである。

海獣葡萄鏡・複製品
複製品の海獣葡萄鏡

もちろん気落ちしたのだが、同時に翌日の鹿島神宮の“直刀(布都御魂剣・フツノミタマノツルギ)”もまさか・・・と訪ねたところ、やはり、同展へ貸出中であり、複製品を拝む格好となった。


鹿島神宮では国宝・直刀がないため、宝物館拝観量を通常300円のところを200円にオマケしてくれ、受付の男性がわざわざ付き添って展示品の説明を丁寧にしてくれたのだが、やはり実物から発揮される神宝パワーはなく、これはどうしても上野へ行かねばならぬと、昨日、今度は家内同行のうえ、この“国宝・大神社展”へ参上した次第である。

平成館館内
平成館館内

平日にも拘わらず館内の展示ケースにはかなりの人が数珠つなぎで並び、熱心に展示物を覗きこみ、説明板に目を凝らしていた。


われわれも音声ガイドを借り、ひとつひとつ丁寧に拝観して廻ったところ、優に2時間半は時間を要しただろうか、見終わった頃には、もう足は棒のようになっていた。


ただ、お目当ての“海獣葡萄鏡”や取っ手の長さで271cmもある“直刀”の実物を目にし、それぞれの大きさに驚き、本物が発する霊験パワーを浴びて、満足したところである。


さらにわたしが愛読している古事記の春瑜(シュンユ)書写(重文)日本書紀の巻第一上神代上(重文)を実際に目にした時、この国のはじまりの物語に熱い想いを馳せたところである。


そして、極めつけが、奈良県天理市の石上(イソノカミ)神宮が提供した“国宝・七支刀”である。この国宝はさすがに見ることは叶わぬと思っていたので、これを目にした時には正直、身内が震えるような心地で、時間をかけてじっくりと堪能した。

奈良県石上神宮・七支刀
七支刀・国立博物館販売のポストカードより

この七支刀は、日本書紀の巻第九神功皇后摂政52年秋9月に、「(百済の使節の)久氐(クテイ)等が千熊長彦に従ってやってきた。そのとき、七枝刀(ナナサヤノタチ)一口、七子鏡(ナナコノカガミ)一面、および種々の重宝を献(タテマツ)る」とある、その実物と云われているものである。


また滋賀県若松神社の”一角獣の狛犬”も失われたユダヤの10支族との絡みで非常に興味あるお宝であった。 

滋賀県若松神社 獅子・一角狛犬
滋賀県若松神社の”阿形の獅子・吽形の一角の狛犬”・国立博物館販売ポストカードより

さらに3月のお水取りで奈良を訪ねた際に参拝した春日大社の国宝・黒漆平文飾劒(クロウルシ・ヒョウモンノ・カザリタチ)など多数の古神宝なども素晴らしいものであった。


“大神社展”、62日まであと3週間余。七支刀は大神社展前期の展示(56日まで)のみであったものを、当神宮の好意により12日までその展示が延長されており、その恩恵にわれわれも与ったわけだが、この稀有な機会を逃さずに、是非、上野へ足を運んでいただきたいと、神社オタクは強く願うものである。何しろ、これだけの全国の神宝を一度に見ることができるなんて、今後、そうざらにはないのだから。