国会議事堂
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今回の自民党総裁選においてメディアは、石破茂前政調会長や石原伸晃幹事長、安倍晋三元総理など総裁候補に名乗りを上げた候補者ならびに予定者について、自民党内の鍔迫り合いや派閥内の確執など権力闘争的な話題については飛び付くようにして報道はするものの、各候補者の諸々の政策に対する考えなどが報じられることはほとんどない。


昨日(10日)、谷垣禎一総裁が再選出馬を断念することを表明し、ほぼ立候補のメンバーが絞られて来た自民党総裁選も、14日告示、26日投開票へ向けて、いよいよ佳境へと入ってゆく。


自民党が次の総選挙において政権奪回を果たすか否かはもちろん分からぬが、最近の世論調査などによると、26日に選ばれる自民党総裁が最も次の総理大臣に近い政治家であると考えておく必要がある。

自民党総裁室
自由民主党総裁室

そうであれば、その政治家がどの程度の政策通なのかをよくよく吟味、知悉したいところである。

つまり現在のミゼラブルなデフレ経済の脱却を速やかにはかり、行き過ぎた円高水準の高位安定化をいかに突き崩し、失われたわが国企業の国際競争力を回復し、しかもその一方で財政再建を果たすというナロウパスな経済財政政策を立案させ、実行に移すに足る経済への造詣は深いのか浅いのか、あるいは菅直人前首相の如く”乗数効果”すら理解せぬ”愚かなるど素人”なのか。

竹島や尖閣諸島など領土問題で外交力の脆弱化が甚だしいなか、ユーロ危機など混迷を深める国際政治・外交の舞台で堂々と物が申せる人物なのか。

沖縄の普天間基地移転問題で大きく毀損した日米間の信頼関係の修復の一方で、沖縄県民が猛烈に反対する安全性に疑義が呈されているオスプレイの普天間配備計画で米国へ筋道の通った配備計画の見直しを迫れるかなど、わが国安全保障の根幹である対米外交を任せるに足る見識、胆力があるのか。

さらに福島原発事故から即座に脱原発といった現在の民主党政府の短絡思考、国債の信用力低下につながる国際収支の悪化や電力コストの高騰による国内企業の競争力喪失、CO2問題などマクロ的視野において大きくバランスを失したエネルギー新政策の大幅な手直しなど、国民の反原発感情のなかでいかに将来の国民の幸せのために断行できるか、等々、各々の政策に精通しているか否か、われわれが確認したい点がたくさんある。


それらを確認する方策のひとつが、林芳正政務調査会会長代理
51歳・参議院議員3期)が出馬されることだと考えている。

同議員はまだ正式に立候補は表明していないのだが、立候補に前向きな姿勢を示していると聞く。

わたしはこの候補者、取り沙汰されている候補予定者のなかでは、林芳正議員こそが次期総裁、総選挙の結果次第ではこの国のリーダーになる人物として最もふさわしい政治家であると考えるのだが、同議員の知名度はまだまだ低く、メディアの取り上げ方も少ない。

わたしが林芳正議員に総裁選にぜひ出馬して欲しいという理由は、総裁候補者間でのディベートを行ない、各人の政策理念、その理念・目標、目標を達成するための具体的なプロセス、政策手段を詳らかにして欲しいと願っているからである。

そのためには、ディベートをする際に、頭脳明晰で冷静かつ緻密な対応が出来る政治家、つまり林芳正参議院議員がいて欲しい。

そうでないと、永田町特有の“言語明瞭、意味不明”な議論ならぬ一方的演説で、その議論、討論が実のない空疎な抽象論で終わってしまう懸念が極めて高く、いや確実にそうなるに決まっている。その結果、各人がこの国難に立ち向かってゆく具体的な政策を有するのか否かさえ見極めが出来ぬという事態が十分に予想される。

それでは困るのである。

総裁候補者間のディベートでは、求められる国家ビジョンを語らせ、それを実現してゆくための道筋、実現の手段たる具体的政策論を互いに整理して議論を戦わせてもらいたいのである。

その核になる人物としてこの林芳正議員に総裁選挙に出馬してもらい、議論の抽象化、拡散をぜひ止めてもらい、具体的政策が語られるように、ディベートを整理、誘導してもらいたいのである。

ここまで推奨する最大の理由は、参議院のこれまでの予算委員会や直近では社会保障と税の一体改革に関する特別委員会などでの質疑を通じて、同議員が理路整然と相手をやんわりと論駁してゆく姿をたびたび目にするにつけ、林芳正議員がしっかりとした学識、知識、見識に裏打ちされた確固たる国家観を有する政治家であることを確信するに至ったからである。

本来であれば、51歳の若き林芳正総裁、総理大臣をわたしは強く望んでいるのだが、参議院議員の総理就任が憲政史上まだ例がないとか、閣僚経験や党務経験が乏しい、所属派閥内をはじめ同議員を支援する議員が少ないのではといった点から、国民ならびにメディアの注目度は低く、総裁に選ばれる確率は現時点では限りなくゼロに近いと言ってよかろう。

しかし、この難問山積のわが国である。今回の自民党総裁選挙ではぜひ民主党とはまったく違った具体的な政策論を戦わせてもらいたいのである。

その要の人物としてわたしは、林芳正参議院議員を推奨したいということである。

ぜひ、推薦人を集められ、出馬されんことを切に願う。 


出馬が叶い、ディベートが行なわれれば、その他候補者の得手不得手、あるいはどなたかのような長老の顔色ばかり伺い、政策論などかつて聞いたこともない政治家などは具体的政策論が構築できないといったことも、そこで白日のもとに曝されることになり、党内の政治力学だけで総裁が選ばれることを少しは回避できるのではないかとお節介ではあるが思っているところである。