627日、そろそろ盛りのはずのレンゲツツジ観賞を目的に車山肩へ向かった。

  
コロボックルヒュッテと名物のホットココア

いつものコロボックルでホットココアをいただきながら、眼下に広がる霧ヶ峰湿原に咲くレンゲツツジの咲き具合をまずは観察。

コロボックルからレンゲツツジを
コロボックルヒュッテ・テラス下に広がる霧ケ峰湿原植生群・蓮華色の部分がレンゲツツジ

6月下旬の高原はまだ草木の盛りにはやや遠く、枯れ木や葉を落とした低木がそこここに目立つ。穏やかな色のレンゲツツジはそうした色合いの部分に群生している。そのためレンゲツツジの花は高原の初夏の色調のなかに埋もれるようで、遠目にハッとするような色彩感を与えない。

その自己主張を抑えたところがこのレンゲツツジという木の魅力とも言える。

当日は雲の流れが速く、青空が見えたかと思うと少し灰色がかった雲が頭上の空を覆うといった光が千変万化する状態にあった。

  
高原のレンゲツツジ・雲の動きで蓮華の色合いが変わる・・・

そんななか、コロボックルのテラスを降り、車山頂上へ向かうトレッキングコースを歩いて見ることにした。あちこちに点在して群生するレンゲツツジの花を間近に見ようと、このわたしが歩くのを厭わなかったのである。

トレッキングコースを歩む
車山頂上へと向かうトレッキングコース

その甲斐あって、やはり近くで見るとレンゲツツジのオレンジは上品な色をしており、見事である。


このあたりのレンゲツツジ

そして高原に爽やかな風が吹き通る時には、穏やかなレンゲツツジの花の色が目にも優しく、この上ない幸せを感じた。

車山肩に咲くレンゲツツジ
車山肩の高原に咲くレンゲツツジ(手前にレンゲツツジの枯れ枝)

高原に青空が広がったときには、自然に命が吹きこまれようにすべての色があざやかに輝きはじめる。

レンゲツツジと丘陵と空
レンゲツツジと丘陵と空・・・

枯れ枝でさえ空からいっせいに零れおちる光の粒子によって、自然の絶妙な景観を造り出す一員と化す。その光の織りなす変幻の技に何度も息を呑まされた。

コロボックル前・霧ヶ峰へ向かうトレッキングコース
コロボックル表の霧ケ峰方向へのトレッキングコース・ここをのぼって行きました

次に、われわれはコロボックルの表側へ向かい、霧ヶ峰へ向かうトレッキングコースを歩いた。こちらにはコバイケイソウが群生しており、レンゲツツジとの白と蓮華の色の競演が楽しみだったからである。 


しかし、今年はコバイケイソウの花が遅く、まだ高原は蓮華色で占められていた。目を凝らしてようやく一輪のコバイケイソウが咲いている?のを、残念ながら家内が見つけ、わたしがパチリしたのが下の写真です。

レンゲツツジのなかにコバイケイソウが一輪
この白いのはまだ開花前のガク

そしてこのコースはニッコウキスゲの群生地である。花が咲くにはまだ季節はひと月早いものの、もう蕾がつきはじめていた。


ニッコウキスゲは蕾がついていました。今年の開花はこの分だと7月中旬頭くらいか

最近は蕾を食べてしまう鹿の害のため、低電流を流す細い鉄線で草原が囲われ、美観的にはかなり無粋であるが、ここの生態を守るためには致し方のないところだ。

  
鹿の害を防ぐため低電流を流す鉄線で囲われた草原

今年、気がついたのだが、こちらの霧ヶ峰へ向かう草原はニッコウキスゲで、コロボックルのテラスの眼下に広がる草原がレンゲツツジとこれまで決め込んでいたが、レンゲツツジの樹齢がどうも古くなっているのか、車山頂上へ向かう方のトレッキングコースの一帯のレンゲツツジの花の色が少し薄く、生気を欠いているように感じた。

枝が枯れているレンゲツツジ
車山頂上へ向かう草原に咲くレンゲツツジ・葉をつけない枝が多く、蓮華色が浮き立たぬ

そしてこちらの霧ヶ峰方向の一帯のレンゲツツジが若いのだろう、葉も生い茂り、蓮華色も少し鮮やかで精気にあふれているように見えた。

盛りのレンゲツツジ
葉をいっぱいにつけたレンゲツツジ

そのなかで、今年はバードウォッチャーとして25年の経験を有すカメラマンの方にお会いして、素晴らしい経験をした。

山小屋とレンゲツツジ
山小屋とレンゲツツジ

この一帯に多い野鳥をその方が撮った写真と共に、その鳴き声とも併せご教示いただいたのである。

とくに家内は少女のように喜び、草原から聴こえる鳴き声を必死になって聴き分け、「そうですよ」とその方に褒められると、もう有頂天になって喜んでいた。


その時に、ズームを目一杯効かせて撮ったのが、下の一枚である。この鳥がノビタキというのだそうだ。25年歴の方のバズーカ砲のような望遠レンズで撮った写真で、この鳥がノビタキであることを詳しく教えていただいたので、間違いない。

ノビタキとレンゲツツジ
レンゲツツジにとまるノビタキです

次にちょっとこれは遠過ぎるのだが、ホオアカという頬に赤味のある小鳥なのですが・・・、これでは分かりませんよね。

ホオアカとレンゲツツジ
ホオアカが右側上部にとまっているのですが・・・、拡大して見てください

でも、正直、この鳥、ホオアカでした。何せ、その方のカメラの素晴らしい画像で確認したのだから。トホホ・・・、すみません!!

蓮華躑躅
勢いのあるレンゲツツジです

そんなこんなで今年のレンゲツツジ鑑賞の日も終わりとなりました。

今度は7月下旬辺りにニッコウキスゲがわたしたちの目を楽しませてくれるはずです。