近親者や親せきの方が避難所で生活し続けている複数の人物から、あまりにせつなく痛ましいそして戦慄する話を耳にした。この21世紀の日本で言葉を失う悲劇が日々起こっているという。にわかには信じられない。

 青森と福島という離れた避難所で最近、夜な夜な老人が一人また一人と姿を消す事態が多発しているというのだ。とくに4月7日の宮城県沖でのM7.1(最大震度6強)、11日の福島、茨城両県でのM7(同震度6弱)の余震が起きてからはその戦慄する悲劇が増えているという。そしてその両方の避難所には何ら特別な関係があるわけではなく、青森、福島以外の他の避難所でも似たような悲劇が起きている可能性が高いという。

 その痛ましい悲劇とは?

 夜な夜な消えてゆく老人は、なんと近くの高所から飛び降りるなどして自ら命を断っていると云うではないか。そして飛び込む場所も決まっているのだとも聞いた。

 何ということだ・・・・

 3.11大震災からひと月が経ってまだ先の見えぬ不自由な避難所生活。そして7日深夜にこれでもかと襲ったM7.1の巨大余震。それまで張りつめていた心が一挙に折れてしまったとしても責めることはできない。

 さらに知人が云うには、実は翌日の8日から小学校の新学期が始まる予定であったそうだ。避難所内にも子供たちの浮き立つ心は伝染し、お年寄りたちは我が事のように楽しみにしていたという。それが深夜の大地震で新学期の開始は延期となった。登校の喜びに輝きを放つ子供たちの顔に復興への希望をつないでいたお年寄りにとって、ひと夜明けて輝きを失くした子供らの顔は今回の大震災の非情をあらためて思い知らせ、弱った心を打ちのめすのに十分だったに違いない。

 わたしにその情報を伝えた人物は避難所生活をする近親者や親せきから直接、話を聴いているので、「老人が姿を消し続けるのが日々増えている」のは事実であるという。被災地報道の陰に隠れた闇である。

 その多発する悲劇、闇について政府はもちろん大手メディアも全く報じていないし言及していない。これが風評であればと願う。早急にその実態を伝えてもらいたいと思う。