神々のふるさと、対馬巡礼の旅 ―― 1
神々のふるさと、対馬巡礼の旅 ―― 13(能理刀(ノリト)神社)神々のふるさと、対馬巡礼の旅 ―― 番外編(神功皇后は実在した!―2)
神々のふるさと、対馬巡礼の旅 ―― 補足(参考・引用文献について) 



入江に向かい建つ鳥居の奥に拝殿

 

 胡禄御子神社は対馬を去る日の最後に訪れた神社となった。胡禄神社を目指し、間違って辿り着いたのが、胡禄御子神社であった。事前に調べた資料は役に立たなかったが、こうして「対州神社誌」を再度、めくり確認すると、ここが延喜式・式内社の「胡禄神社」に比定されるとの「大帳」の記載もあり、江戸時代(18世紀の末)において既に、「胡禄御子」と「胡禄」神社の区別が分からなくなっていたことを知った。

 


胡禄御子神社の扁額

 

 住吉三神と阿曇磯良という海神を祭神とする神社であれば、荒海に面した鳥居を有す、琴崎大明神即ち胡禄神社の方が、同じく磯良伝承を残す曽根崎神社と酷似した立地となっていて、ふさわしいとの思いは強いが、そちらには飛行機の時間の関係で行くことはできなかった。

 



鳥居がならぶ奥に簡素な拝殿が


簡素な拝殿

 

 そこで、ここでは胡禄御子(コロクミコ)神社について記載することにする。

 







夏草に坐す阿吽の高麗犬

 


(胡禄御子神社概要)

    住所:上対馬町琴字琴崎3

    社号:がうの浦(対州神社誌)・郷崎大明神(大小)・郷崎神社(大帳)・胡禄御子神社

    祭神:海神(大小神社帳)、表筒男・中筒男・底筒男磯武良(大帳)、表筒男命・中筒男命・底筒男命・磯武良

    由緒

古帳の神人三十一人人在り、神社は神功皇后が祀り賜わる也。郷崎は甲崎の訛ったものである。その甲浦が濁ると国家に凶事があると云われている。延喜式神名帳に載る胡禄神社は是也(大帳)

神功皇后祭り玉ふ所也と云ふ。(明細帳)

 


 



拝殿内

拝殿内に大江神社という別の神社名が・・・

 

 飛行機の時間が迫るなか、目印もない当社に辿り着くのは至難であった。近くまで来て集落の橋の上で談笑する数名のご婦人方に「胡禄神社」を訊ねてもはっきりしなかった。「この海岸縁の路を行くと神社がある」とのことで辿り着いたのが、この「胡禄御子神社」であった。帰京後、対州神社誌を読み直し、当社が胡禄神社に比定されてもいる事実を知り、これも何かの縁であると感じたところである。