「あす賭博関連で数ヶ所に警察の捜索が入るようです。すでに知っていたらすみません。ガセ情報だったらすみません。あと他言無用で願います。NHKから聞いたとバレたら大変な問題ですので」(NHK発表)

 

 これは、NHK報道局スポーツ部の男性記者が、野球とばくに係る家宅捜索が行われる当日(7月7日)の午前零時頃に、時津風親方に送信した携帯メールの内容である。記者はその情報を、6日に両国国技館で取材中、他社の記者から聞いたのだと、NHKの内部調査では答えているという。

 

 NHK記者のこの行為は、報道に携わる人間としてあってはならぬことであり、言語道断と云うしかない。

 

 ここでは、それは一応、置いといて、言いたいのは、前から釈然としないことなのだが、世間の耳目を集める事件での捜査当局の動き、あり方についてである。

 

 例えば、この前の厚労省の村木厚子元局長(現内閣府政策統括官・2010.9.21無罪確定)のケースで見ると、2009615日に厚労省等への一斉家宅捜索があった。その際だが、いつものようにNHKのテレビ映像は、厚労省へ向かい入口へと入ってゆく地検特捜部の面々を映し出す。いかにもこれから巨悪を暴きに行くのだと、思い入れたっぷりの映像である。

 

 これって、前から不思議に思っていた人も多いと思うのだけれども、家宅捜索って、捜査上の極めて重要な機密情報だよね。その部外者の者は誰も知らないはずの家宅捜索の、それも真正面からの映像が、堂々とNHKの放送で流される。

 

 「特捜が動いた!」、「スワッ!」と、記者クラブの連中が走り出したとしても、極秘に行なわれる家宅捜索の場所に、検察より先にテレビ局の人が到着し、ご丁寧にカメラの放列を敷いて待機するなど、普通じゃ考えられなくない? 一回や二回であれば、それこそ特ダネ映像になるのだろうけど・・・。

 

大きな事件になればなるほど、粛々と特捜が隊列を組み、捜査対象のビルへ入ってゆく映像が、それも脚立を立てたベストアングルからの映像が、流される。いつもそうだ。

 

これって、事前に報道機関が知っていなければ、出来ない芸当だよね。

 

とくに、これまでのNHKはこの手の事件では、そうした映像で後れをとったことはないのではなかろうか。

 

そう考えて来ると、今回の大相撲とばく事件の家宅捜索も、NHKは事前に知っていて、その情報が内部の記者に漏れたと考えるのが、自然だと思えるんだよね。だって、家宅捜索を何日に行うなんて情報は、記者の間では重要情報に決まっているのだから。他社の記者にそんな貴重な情報を教えるはずがない。

 

NHKもインサイダー事件などで、コンプライアンスの徹底など内部管理体制の整備徹底に尽力していると云っているのだから、今回の顛末も、正直に視聴者に話をしなけりゃね。

 

そして、これが一番大事な問題なんだけれど、家宅捜索の情報を聞いた奴が悪いんじゃなくて、その機密情報を最初に漏らした奴が、一番悪いに決まっていることは、云わなくたって自明だよね。

 

そう、検察なり、警察という捜査当局が流さなければ、誰もその事実を知ることはできないんだから。

 

今回の大阪地検特捜部のFD改ざん事件も言語道断で怖ろしい事件なんだけれど、これまでの前田恒彦元主任検事や大坪弘道前大阪地検特捜部長、佐賀元明前副部長の最高検察庁による取り調べについてだけど、これも変なんだよね。

 

だって、密室で行われているはずの取り調べの内容が、タイミングよく詳しく、報道機関から流れて来る。これって、最高検察庁の取り調べに関わっている人が、しゃべっているってことだよね。じゃなければ、各報道機関は同じ内容の報道になるはずないもんね。み〜んな、同じだよね、内容が・・・。これって、目的は情報操作?

 

そもそも、検察庁が取り調べ中の情報を漏らすって、厳密にいえば、公務員の守秘義務違反だし、それ以上に、大阪地検特捜部が自ら描いたシナリオに沿って捜査を誘導してきて冤罪を造り上げた構図そのものだよね。

 

何か、検察も報道機関も、村木さんの時に犯した過ちを、性懲りもなくまた、繰り返しているとしか思えないんだよなぁ〜。この冤罪造りの馴れ合い、自分だけが正義だという思い上がり・・・。仕様がないのかね、権力の体質ってやはり変わらないのかねぇ〜。自らを省みることなどするはずがないのが、権力ってもんだからなぁ・・・。あ〜ぁ・・・