割烹「やました」天下の珍味を堪能!(下)――京都グルメ

 

=本モロコ・ばちこ

 

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割烹「やました」天下の珍味を堪能!(上)


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 このたびの冬の割烹「やました」行きは実は意図せざる「珍味三昧の旅」となってしまったのである。いやぁ、リハビリ中の大将〜〜!に感謝!感謝!なのですぅ〜。

 

その思わせぶりな珍味とは、「本モロコ」と「ばちこ」のことなのです。そして実のところ、ふたつとも初めて口にしたものなのです。珍味というからして「腹の足しに」なぞと考える向きには不向き・・・? うん? 向きはいったいどっちだ?

 

 そんなくだらぬ駄洒落なぞ止めて早速、この珍味のグルメレビューに入るといたしゃ〜しょ〜。これから少々、いや長々と薀蓄(うんちく)を垂れやすが、もちろん東京へ帰ってから調べ上げたもので、当夜はただただ「珍味!」「珍味!」と騒いで、ホック、ホックと有り難く戴いたんだったっけかな・・・、京は伏見の「日の出盛」をクイクイ呑みながら・・・。

 

それではまずは、本モロコ(コイ科モロコ亜科タモロコ属)の塩焼きから、参りやしょう。

 

「本モロコ」は知る人ぞ知る京の冬の風物だそうで、1〜3月が子持ちの旬だそうです。だ・か・ら、「本モロコ」の旬にたまたま「やました」に行ったってことになるのかなぁ〜、このボクは・・・。

 

本モロコの焼き方は右近君です。まず、囲炉裏の三徳のような網渡し(焼き子)の上に本モロコを横に並べて片面づつゆっくり炭火でやきます。


モノロの網焼き



本モロコを横に寝かして
片面づつ
炭火で焼いてゆきます

 

 

 

 

 

両面が適度に焼けたころに、今度は網の目に本モロコの頭を刺し込み、要は逆立ちさせてしまいます。熱が全体にわたるようにその焼き具合をはかるその独特の焼き方にこちらは興味津々でした。

モロコ焼き姿

 

逆立ちにされ熱を全体に回す

この焼き方に感激!!

 

 

 

 

右近君


右近君が真剣な表情で
本モロコを焼いています。


両面を焼いた上で全体に炭火の
熱を回す、その微妙な焼き加減で、あのほっこり感が出てくるのでしょうね・・・

 



 そして小皿に載せられ、ふんわりとうすい狐色に焼き上がった本モロコを口にいれる。身も卵もほんわかと舌にやわらく、味も淡白で品がよい。だから王朝絵巻のお公家さんの口にもうまいことお入りやしたのではなんて・・・典雅な気分に・・・(いま、思うと)。

sishamo


  この典雅な日焼け姿、若いころ

憧れてませんでした?

 

天下の珍味本モロコを召し上がれ!!

 

 

 



 う〜ん・・・「生粋の淡水魚の王様」の異名は私の口を裏切らなかった(これも帰京後の感想というのが正しい。生粋の淡水魚だなんてその時知らなかったもので・・・、ク〜ッ!!)。

ワカサギや鮎、鰻などは淡水魚と言いながら実は海と川や湖を往復するのだけれど、この本モロコは琵琶湖の固有種で、硬い言葉でいうと「完全湖沼型淡水魚」と言って要は琵琶湖から出たことのない箱入り娘(息子)?なんだそうな・・・。そして1996年頃には漁獲量が最盛期の一割未満ほどまでに激減(ブラックバスなどの影響)、高級魚となってしまっただと。

 

だから、京都の料亭などだけでしか口にすることがなくなったんだとさ(そんなにすごかったんだ〜、「豚に真珠」ってこのアタイのこと? ダ・ヨ・ネ)。いやぁ、こんな珍味に巡り逢えたとは、余は幸せ者であった。

 

さてお次に控えしが、その名も「ばちこ」別名「干しくちこ」というもの。

なまこの何と卵巣を干したものを「ばちこ」または「干しくちこ」というのだそうだ。名前の由来は、卵巣を干す工程でその垂れ下がった姿が、三味線の撥(バチ)にそっくりというので、その名がついたんだと。写真で確認した製品も撥そっくりでしたよ、銀杏の葉型とでもいうのかなぁ・・・.


ばちこ(マルエ水産HP)

 

 

ばちこ(マルエ水産)

【「ネットショップぶちもん」のHPより】

 

三味線の撥に見えますよね・・・

 

 

 

 

 

なまこの卵巣を塩でまぶし、棹にぶら下げ乾燥させて丁寧に手造りされるんだそうですよ(もちろん、見たことありませ〜ん)。そして一枚の「ばちこ」を造るのには30匹から50匹分の卵巣が使われる(エ〜ッ!!)という、本当に手間のかかった珍味中の珍味と言えますね。

 

 さっと強火であぶって閉じた扇形の器に入れて出された濃い鼈甲色もあざやかな「ばちこ」!まずはゆっくりと口のなかで咀嚼。これって磯の香り? 舌の上にほのかに広がると〜いと〜いところの磯の香りだよね・・・。日本酒の「当て」にはその香りと食感が最高ですよ。

珍味

 

扇型器に入った ばちこ

 

 

 

 

 

 最初は、これってカラスミの千切り? 渋柿裂いた奴なんて思ったりして、無粋なことこの上なしのアタシでした。

ばちこ


この天下の珍味を渋柿裂いたなんて・・

 

 。゜(´Д`)゜。

 

トホホのアタシでやんした・・・。

 

すんまへん、Σ(´д`;)

 

ばちこ2

 

ほんに、おいしゅ〜ぅございました

 

(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ぃょぅ!

 

 

 

 
こんなアタイが天下の珍味を一夜にふたつも戴けるなんて、ほんにアタイは果報者で・し・た。今度は熱燗に「ばちこ」を入れて、磯の香を呑み干してみよう・・・。