見逃すな東山魁夷展、518日(日)まで

生誕100年記念

 

東山魁夷展大看板

近代美術館外観

館内吊り看板

 

 

 

 

 

 

 東山魁夷展玄関看板 近代美術館外観  展覧入口吊り看板

 

 

 生誕100年を記念して、東京国立近代美術館で開催されている東山魁夷(19081999)展を観に行った。東山画伯の本制作101点、スケッチ・エチュード53点、総計154点もの作品が展示されている最近では稀で豪奢な展覧会であった。

 

キップ購入に列ぶ客

美術館表札

近代美術館モニュメント

 

 

 

 

 

 

 

 

 チケット購入に列ぶ客 美術館入口表札  前庭のモニュメント

 

 誰もがどこかで一度は見たことのある画伯の代表的絵画が、これほど一堂に会し、展示されたことはこれまでなかったのではないだろうか。それほどに今回の展覧会には度肝を抜かれた。そして二時間余の鑑賞を経て館内から出たときには、目はショボショボ、足は棒のようになったが、それは心地よい疲れにわたしには思われた。

 

 京都の円山公園のあの豪勢な枝垂桜と満月を描いた「花明り」、奥蓼科の御射鹿池(みしゃかいけ)をモデルとした森と白馬と湖というあまりにも有名な構図の「緑響く」。そして画伯の名を世に広めた八戸市種差(たねさし)海岸の真っ直ぐに伸びる「道」、出世作の「残照」などなど、魁夷の代表作が会場内を歩く先に次々と表われ出でて来る様は、何と表現してよいのか、押し寄せてくる波のような驚きと興奮の連続劇であり、本当に身も心もクタクタになるほどに疲れ、痺れ切った展覧会ではあった。

 

 そして展示の一番最後に、ドカーンという衝撃がわたしを待ち受けていた。階上(2階)に展示されていた唐招提寺の襖絵である。同寺より御影堂宸殿の間の襖絵(一部)をお借りしてきたということである。5月9日に同寺を訪問される中国の胡錦濤国家主席は、その名前の一字である「濤」をふくむ画題「濤声(とうせい)」(部分)(12面/16面)と水墨の「揚州薫風」(26面/26面)の襖絵をご覧できぬことになり、「日中友好」の盛上りに水を差さなければよいがなどと、ついつまらぬ心配などした。岩絵の具で打ち寄せる荒波を描いた一面の水浅葱(あさぎ)色の「濤声」の迫力と墨の濃淡だけで風の勢いを実感させる「揚州薫風」にはただただ、その筆力に圧倒されるばかりであった。

 

東京での開催は518日(日)まで、残りあと一週間ほどとなった。今からでも遅くない、是非、鑑賞に行かれることをお奨めする。木・金・土曜日は午後8時まで開館(通常5時)されているので、会社帰りに立ち寄ることが可能である。なお、512日(月)は休館日なのでご注意を!

また、次の巡回先は長野県信濃美術館東山魁夷館で712日(土)〜831日(日)のひと月半にわたって開催される。

芸術新潮 2008年 05月号 [雑誌]

東山魁夷の世界
 画題:花明り
東山魁夷 青の風景
 画題:夕星
 
 
もっと知りたい東山魁夷―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
 画題:道
 
東山魁夷への旅
 画題:緑響く