ダーウィンの進化論じゃあるまいし、あまりにも都民、選挙民を馬鹿にした話である。

 

4月の都知事選を前にして厳しい票読みが伝えられる3月の定例記者会見で、石原都知事は突然、「生活保護受給水準の低所得者を対象にした都独自の個人都民税減免」をぶち上げた。その時期は四選を目指すなか豪華出張など都政の私物化が批判され、決して状況が好ましくない頃の話であった。その減免策が唐突にでてきたときにも、選挙の票目当ての「バラまき」政策で「眉に唾」と思ったが、やはり見事なまでに詰めの甘い、思いつきの口から出まかせのスカスカの「デマカセ」であった。

 

「おぼれる者は藁(ワラ)をもつかむ」というが、3月の同氏は中身が空洞の藁のストローを都民に示し、藁の中身にはさも社会的弱者を救う策がしっかり詰まっているかのように、得意の饒舌さで語ったものである。

 

 選挙戦中はそれまで都民が目にしたことのない別人のような腰の低さで通したアナタ。そして、それまで疎かにしてきたと都民が考える「弱者に手を差し伸べる施策」にもしっかり力を入れると、あんなに熱っぽく、そして胡散臭く語っていたアナタ!

 

それから半年たったこの日(97日の定例記者会見)、やはり不実な人でしたね、アナタって人は。「税減免では、本当に困っている低所得者をピンポイントに支援するのは困難」として、「就労支援や手当支給などの施策充実の方が有効である」と、先の公約をいとも簡単に破棄してしまいました。

 

記者団の「公約違反では?」との、短くそして少し腰の引けた口調の質問に対して、アナタはそれを強引にさえぎって、「公約違反ではない」と恫喝し、「公約が進化したと捉えてもらいたい」と言ってのけた。そしてそれでも恐る恐る食い下がる記者に対して、「やらないと言ってるわけじゃない。(それに代わる)十分、効力のある政策をちゃんとやると言っているんだ」と一喝し、ねめつけた。いつもの自分に都合の悪い質問が出たときのワンパターンの見飽きた光景である。

 

 それなら3月の時点でしっかりと詰めた有効な政策を提示すればよかったではないか。公約に掲げたものを、このように二枚舌を使ったような結果となったことを「公約破棄」と表現した記者を、あるときは文学者の顔で蘊蓄(うんちく)を傾けるアナタは、本来、「うん、実にアッパレ!」と、誉めてやって見せてこそ、四選目の都政を担う大物知事、アナタがおそらく内心で自負している大政治家というものではないのか。

 

「公約破棄」・「公約違反」を「公約の進化」とごまかすアナタって、これまでだってアタシャ、信用してたわけじゃないけど、都民が選んだ人ですもの少しは心を入れ替えたのかなって思ってみたくもなるじゃありませんか。それがたった半年で・・・、「公約の進化」だって?

 

 それじゃ「公約」したことにまったく手を着けずに、店晒(たなざら)しにしていれば「公約」はどんどん進化していって、素晴らしいものになっていくってことですよね。オリンピック招致や東京マラソンなど下らぬことも何もしなければ、この東京はどんどんよくなるってことなんですよね。

 

 一応、小説家の顔も持つ人なんですから、「進化」って言葉を子供たちに誤って覚えさせるようなことだけは、本当にやめてもらえないでしょうか、ア・ナ・タ!