BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会(川端和治委員長)6日、「TBS『みのもんたの朝ズバッ!』不二家関連の2番組に関する見解」をTBSおよび同社の放送審議会に通知するとともに、その内容を一般に公表した。

そのなかでBPOは「(内部告発が伝聞情報か否かは)視聴者がその告発の信用性を判断する上で決定的な重要性を持っている。従って、伝聞情報であることを明らかにしないまま放送したことは、『視聴者に著しい誤解を与え』る結果を生み、放送倫理上の問題となる」とし、「1月22日に放送された番組には重大な放送倫理上の問題があったことを厳しく指摘せざるを得ない」とした。

 

それを受けてTBSは同日付けで「本日の放送倫理・番組向上機構(BPO)「見解」を受けてのTBSコメント」を発表した。以下の【 】内はそのコメントの冒頭部分であるが、同社の不二家報道における本質的姿勢がそのまま表れていると思われるのでここに引用する。

 

【(BPOの公表した)「見解」では、内部告発者が確かに存在し、チョコレートについても「パッケージし直し」「再利用していた」という発言が存在していたこと、通報者の発言には放送に値する真実性があると判断したことにはそれなりの合理性があったこと、122日の放送の時点において、通報者の発言と告発内容を信じるに足るとの一定の心証を得、放送するという判断に至ったことには、それなりの根拠が存在したこと、などの点が評価されています。その意味で、本番組における放送に、いわゆる捏造がなかったことが確認されたものと考えております】

 

このコメントの冒頭でまず上記のことを述べ、「放送した『根拠が存在』したことが『評価された』」とするTBSというメディアは、放送倫理検証委員会が「見解」のなかで強く同社へ期待したこととはかなりかけ離れた理解をしようとしているとしか見えない。27,158字におよぶ「見解」を通しで熟読したうえでTBSコメントを読むと、委員会が繰り返し同社に問題点を指摘しその改善を求めていることと、同社の理解があまりにもかけ離れているように思えてならない。その姿勢に、「TBS放送基準」の項目8に謳う「報道番組は、すべての干渉を排し、事実を客観的かつ正確、公平に取り扱うとともに、(中略)ニュ−スと意見は、区別して取り扱う」に照らし、真実を伝えるメディアとしての誠実さをいささかも感じ取ることができないのである。

 

またTBSは同日夕刻のニュースで本件を報じたが、「『不注意な編集』や『断定的なコメント』など指摘され放送倫理上の落ち度はあったが、『捏造はなかった』」とする「捏造ではない」ことに力点を置いたものであった。これは同社コメントで「いわゆる捏造がなかったことが確認されたものと考えております」に沿うものでもあった。

 

さらに翌7日の「朝ズバッ!」で柴田秀一アナウンサーが一連の不二家報道について「あらためて視聴者におわびする」と謝罪し、夏季休暇中のみの氏に代わり「BPOの報告書をよく読んで反省すべき点を踏まえ、今後、よりよい朝ズバッを作ることに邁進していきたい」との同氏コメントを竹内香苗アナウンサーが代読した。

 

みの氏は123日の番組内で「古くなったチョコレートを集めてきて、それを溶かして、新しい製品に平気で作り替える会社は、もうはっきり言って、廃業してもらいたい」と断罪した。さらに1月31日には、不二家に「異物混入の苦情が年間1693件あった」と報じるなかで、「異物じゃなくて汚物だね、こうなると」とまで公共の電波のなかで言ってのけた。あまりにも有名となったこの断定・断罪的コメントの発言の真意をBPOは同氏に照会している。同氏より文書にて回答があり、そこには「激励の思いも込めたつもり」とあったと「見解」に記されている。その回答に対し「見解」は「繰り返しこの番組を視聴したが、その口調や表情から『激励の思い』を汲み取れる内容とはなっていなかった、と判断せざるを得ない」と述べている。一連の不二家報道問題への委員たちの憤懣やるかたない気持ちがこの一文に込められているように思えてならない。

 

みの氏は16日まで夏期休暇だと伝えられている。休暇明けの第一声をどう発するのか。1週間で最も多く生番組に出演する司会者」としてギネス世界記録に認定されたみの氏。公共の電波の世界で「最も忙しい司会者」は、当然のことであるがその発言には重い責任を負う。夏季休暇明けの発言に注目したい。

 

「BPO見解」は「次イわりに」で「放送人は放送で失ったものは、放送によって取り返すべきであり、放送で起きたことは、放送で解決すべきである」と強く訴えている。同氏はこの職業的原則に照らし、「放送人はその倫理において、また仕事において、内発的・自律的・自主的でなければならない」とする委員会の声にどう答えるのか。文書や代読で済ませる話でないことは、「ズバッ」といつも断罪するみの氏は先刻承知のことと思う。

 

 また「内部告発という微妙な情報を扱う場合にふさわしいかどうか大いに疑問のある制作環境を作り、許容してきたTBS経営陣にも問題がある」と指弾されたTBS経営陣にも同様に、放送人としての職業的原則に照らして、誠実で然るべき対応が望まれる。