関西テレビ捏造に透ける知的財産権の軽さ

 

発掘!あるある大事典供彷柴ζ箪犬任隣埖せ件に関し20日午後、関西テレビ放送の岡林可典常務取締役(当時)が記者会見し、捏造内容を公表し、謝罪した。

 その5項目にわたる事実と異なる内容を読んでみて、番組自体を見ていないわたしは愕然となった。納豆のダイエット効果を紹介する番組内での実験データや米国の大学教授のコメントでの日本語訳の意図的捏造、さらに研究の引用先をワシントン大学からテンプル大学に意図的に変えるなど、その大胆かつ自由奔放な番組の捏造ぶりには開いた口がふさがらない。これだけ自侭(じまま)に目的に叶う番組制作が可能であれば、科学的に見せるデータ創造により番組は湧き出るようにして完成を見るのであろう。

 

 そこに視聴率を追い求めるコマーシャリズムの影は見えても、「事実を報道する」ジャーナリズムの原点はまったく見えてこない。逆に視聴率の高低が民放収入の大宗であるCM料に直結するという事実と考え合わせると、今回の行為は事業会社でいうところの粉飾に当たる経済犯罪行為になるのではないか。捏造番組により視聴率を上昇させ当該番組のCM時間当り単価を引き上げる、それはまさに詐欺行為であり、りっぱな経済犯罪である。番組の打ち切りや経営者の内部処分ですむ話ではない。また、同時に同社の筆頭株主である(株)フジテレビジョン(19.85%の株式保有)も頬かむりを決め込むことなどあってはならず、その経営責任が当然のごとく問われるべきである。

 

次に事実報道の観点からは、今後、放送法第3条2項の3に定められている「報道は事実をまげないですること」に抵触するか否かで当局等の事情聴取が進められ、厳しい処分が科されることになろう。

 

そしてさらに重要な視点として知的財産権という観点から本件を見てみたい。関西テレビつまり一般放送事業者は知的財産権に包含される著作隣接権者である。そして制作される番組は著作権法第98条〜100条の「放送事業者の権利」において50年間におよぶ期間、知的財産としてその権利が保護されている。その意味で報道機関は知的財産に最も敏感でありかつその意識徹底や啓蒙に最も熱心であらねばならぬ。その報道機関がワシントン大学のデニス教授の知的財産である研究成果を、無断でしかも番組構成に合わせる形でテンプル大学のアーサー・ショーツ教授が行った研究かのように紹介することなど断じて許されることではなく、その罪は格段に重いと言わざるを得ない。関西テレビや制作会社日本テレワークの知的財産権に対する意識の欠如とコンプライアンス体制の未整備には正直、呆れてしまう。

 

 他人の研究成果を無断で引用し、その引用先に言及しないなどとは、知的財産をクリエートするものにとって致命的な不始末であり、クリエーターとしては即刻退場、その世界から永久追放されるべき不祥事である。今回の事件に触れて、番組制作というクリエーティブな事業に携る人間たちが、自らの存在を否定するような「知的財産権」を無視する行為を目にし、そのあまりにも低レベルの意識にこの国のどうしようもない文化水準の低さを見るようでむなしさを隠せなかった。