秋の京割烹「やました」、行って参りました=京都グルメ(2009.11.23)

昨年の新緑の5月以来、久方ぶりの弥生の「割烹やました」である。


春めいた暖簾がかかる割烹やました
春の装い、割烹やました

当日は長年の懸案であった二条城へ、半世紀ぶりの拝観を果たしたあと、「割烹やました」で京の弥生の味覚を堪能した。

二条城二の丸庭園
二条城の二の丸庭園

前回は医者からアルコールを控えるようにいわれていた最中だったので、せっかくの「やました」の料理を味わい尽くすといった気分でなかったのか、どうも乗りが悪かったなという記憶しか残っていない。

昨年5月の味気ないコロナ対応のカウンター
わたしの乗りが今一だったかな・・・去年

現に、ブログにも鰻の蒲焼の写真を掲載したのみで、常の食への執念が感じ取れない。

それもあってか此度は5時半で予約をとった。

いざ!やましたへ
押小路の突き当りに「割烹やました」

しかも大将の正面の席をお願いし、料理談義に花でも咲かせようと意気込んだところだ。

席に腰を落とすや否や、細君がいつものようにカウンターに盛られた食材に視線をめぐらす。

本日は大ぶりの肉厚な椎茸、そして蛤、赤貝・・・なかでもわが家のひな祭りのお吸い物に入っていた“角上魚類”の蛤とくらべて、どうしてこんなに大きな蛤がと、呆れ果てるほどの大きさである。

そして毛ガニ・・・

わたしの口のなかはすでに生唾で大洪水・・・

さて最初に赤貝のお造りで「桃の滴」を一献・・・

赤貝のお造り
赤貝のお造り

その間に細君が蛤をいろんな食べ方をしてみたいと、大将におねだり・・・

そこで出てきたのが、ひとつは蛤の炒め物。

ハマグリの炒め物
イタリアン!!蛤の炒め物

炒めた蛤、トマトの酸味とアスパラの香りが絶妙の取り合せである。「リストランテやました」、半端ない!!

もうひとつが蛤の天ぷら・・・これには肉厚の例の椎茸もついていた。

ハマグリの天ぷら
蛤の天ぷら!!

ひと口食べて・・・へぇ〜とわたし・・・

天ぷら大好き人間の細君はというと・・・この肉厚なむき身でないと天ぷらにはできないなと、わが家の蛤をおそらく思い浮かべていたのだろう、頬をゆるませていた。

そしてわたしはこの日が今年最後となる“てっさ”だというので、“ふぐ刺し”をいただく。

やましたの分厚いてっさが好き
やましたのふぐ刺し
やましたの“てっさ”は薄造りにせず、あえて肉厚に切ったもので、噛み応えのあるフグの旨味が滲み出てくる代物である。

かつてこの「やました」の調理で、初めて“ふぐ刺”の旨さを知らされた。

次にお野菜というか、春の初物づくしで、初筍と新ワカメの若筍煮をいただく。

⓪初物の筍と新ワカメの若筍煮
初物づくし 若筍煮
いつものことながらいたって上品な味である。
初物づくしの若筍煮
やわらかくて旨い!!

細君はここらでもうお腹はいっぱいになったというが、ノドグロの塩焼きなんぞどうかと誘い水を向けると・・・いとも簡単に・・・陥落・・・

⓪脂がのったノドグロ塩焼き
ノドグロ・・おいしかった

脂がのった・・・言うも言われぬ美味しさ・・・

そしていよいよ細君が本日は腹仕舞いということで、明日の朝にと・・・鯖寿司を包んでもらうよう頼んでいた。

その様子を感知したわたしは・・・これで久方ぶりの「やました」を撤収というのでは、東男が廃(すた)るというもので・・・大将に腹はいっぱいになったが、酒の摘みになる変わったものをすこしとお願いした。

そして出てきたのが次なる珍味オンパレード・・・

びっくりと言おうか、世の中、ほんとうに珍味なるものがあるのだと、この夜、食の奥深さに唸らされたものである。

ナマコの子・バチコの元
なまこの卵巣・・・いやぁ・・・珍味!!

まず、バチコの材料というかこれを日干しにしてバチコにするという、「なまこの卵巣」が供された。

バチコそれ自体が珍味であるのに・・・これはまさにレアな・・・天下の珍味であった。

さらに「のれそれ」なる珍妙な名前の代物・・・

のれそれ・穴子の子
のれそれ 白魚より大きい

白魚の踊り食いではないが、それより大ぶりな透明な・・・穴子の子だというではないか。

咽喉越しはすっきり、スルリとした食感で、これまた食べ応えのある珍味であった。

次に・・・これって何だったか? う〜ん・・・名前が思い出せない・・・でも、珍味!!

この珍味、何だっけ?
えっと・・・?

最後に「いぶりがっこ?」

いぶりがっこ?
食材は?

・・・食後にあっさりレモンをかけた一品。

口内はすっきり爽やか、なかなかな珍味のオーダーではあった。

そして忘れちゃいけないのが、それなる珍味にあわせる酒をと用意してくれたのが、とっておきの伏見の限定品でアルコール度も12%の発泡酒。

伏見の限定品 アルコール度12%の発泡酒
極上のシャンパン・・・日本酒です

名前を控えなかったので・・・お相伴した細君も名前を思い出せなかった・・・

まさに上質のシャンパンであり、一本、買って帰りたいと申し出たが、本数がないのだと、さすがの大将も首を縦には降らなかった。

かくして、胃袋をドンチャンさせた弥生の「やました」の夜はふけていったのである。

押小路橋まで見送ってくれた大将とあれこれ話は尽きなかったが、互いの健康を誓い合い、夏の再訪を約してお別れをした。

やはり・・・「やました」はいつも最高の気分にさせてくれる京都の名店ではある。