彦左の正眼!

世の中、すっきり一刀両断!で始めたこのブログ・・・・、でも・・・ 世の中、やってられねぇときには、うまいものでも喰うしかねぇか〜! ってぇことは・・・このブログに永田町の記事が多いときにゃあ、政治が活きている、少ねぇときは逆に語るも下らねぇ状態だってことかい? なぁ、一心太助よ!! さみしい時代になったなぁ

February 2023

コキコキドライブ旅 「君が行く新たな道を照らすよう千億の星に頼んでおいた」万葉の里・味真野苑の恋バナもエッ!と驚く

昨日、今朝と朝ドラ「舞いあがれ」を観ていて、「エッ! エッ!」と驚くことといったらなかった。

1月放送の第73回、幼なじみの貴司君が主人公・舞の新たな人生をはげますため五島列島の小島から贈った絵ハガキに添えられていたのが、

「君が行く 新たな道を 照らすよう 千億の星に 頼んでおいた」

という短歌であった。

心に深く沁み入る歌で、さすが歌人の桑原亮子さんが紡ぐ物語はひと味もふた味もちがうと感心していた。

ところが、ここにきて舞と貴司君の臆病すぎる恋心がようやく互いの心の“底ひ”から溢れだしてくる、その背中を押す重要な役割を果たしたのが、この短歌であった。

そして、これがいわゆる本歌取りであったと昨朝、明かされたとき、冒頭の「エッ!エッ!」をわたしは連発したのだ。

平城京・朱雀門
平城京の朱雀門

その本歌こそ、狭野弟上娘子(サノオトガミヲトメ)が流刑の憂き目にあった夫、中臣朝臣宅守(ナカトミノアソンヤカモリ)を想い、詠んだ相聞歌23首のうちの一首、

「君がゆく 道の長手を 繰り畳(たた)ね 焼き滅ぼさむ 天(あめ)の火もがも」

(あなたのゆく長い道のりを手繰り重ねて焼き滅ぼしてくれるような天の火がないものか)

であった。

狭野弟上娘子 君がゆく
狭野弟上娘子の「君がゆく・・・」の歌碑

わたしが「エッ!」と驚いたのは、この2週間ほど、ブログ・「コキコキドライブの旅」で立ち寄った「万葉の里・味真野苑」をアップしようと、万葉集・巻15に収載された「中臣朝臣宅守(ナカトミノアソンヤカモリ)と狭野弟上娘子(サノオトガミヲトメ)が贈答せる歌63首」を詠み、

⓪万葉集・小学館日本古典文学全集 - コピー
万葉集巻15
またその背景にかかわる「続日本紀」の聖武天皇の時代を読み込んでいた最中であったからである。

万葉の里・味真野苑 万葉館と狭野弟上娘子歌碑
味真野苑・万葉館前に建つ狭野弟上娘子の歌碑(味真野に宿れる君が・・・)

味真野は二人の相聞歌のまさに舞台であり、「万葉の里・味真野苑」はその哀しい恋物語をテーマとしてつくられた庭園であった。

万葉の里・味真野苑
万葉の里・味真野苑

そして、狭野弟上娘子が詠った23首におよぶ相聞歌のなかで、もっとも魅力的な歌が「君が行く・・・」の短歌であった。

万葉の里・味真野 紅葉する苑内
紅葉の味真野苑
愛する夫を流刑地へ行かせぬように味真野までの道を折りたたみ天の猛火で焼き燼して欲しい、まさに女の情念が迸(ほとばし)り出る強烈なインパクトを与える凄まじい恋慕の歌であった。
大極殿内 高御座
平城京大極殿内の高御座

その歌を口ずさんでいた最中の、朝ドラへの登場である。

しかも舞と貴司の恋物語のキー・コンテンツであったとは・・・。

驚いたのは当然である。

貴司君の短歌の本歌が弟上娘子のこの狂おしいほどの情念の歌だとは思いもつかなかったし、素人にわかるはずもなかった。

あの俵万智さんも一本とられたといった風のツイートをしていたのだから、当然である。

それにしても、味真野の「比翼の丘」に建つ弟上娘子の歌碑が、

「君がゆく 道の長手を 繰り畳(たた)ね 焼き滅ぼさむ 天の火もがも」

であったのは、この歌が一番、心に訴えてくる秀歌であったからであろう。

宅守歌碑から狭野弟上娘子の歌碑を見る
比翼の丘に建つ狭野弟上娘子の歌碑 写真中央

それに比し、もう一方の比翼の丘に建つ宅守の歌はといえば、

「塵泥(ちりひじ)の 数にもあらぬ 我故に 思いわぶらむ 妹(いも)が かなしさ」

(塵泥の数にも入らないわたしゆえに落胆しているであろう、あなたのいとしさよ)

という、どこか卑屈でどう詠んでも胸を打たれるといった悲痛の想いが伝わってこない。

比翼の丘に建つ中臣宅守の歌
中臣宅守の歌碑(塵泥(ちりひじ)の・・・)
宅守の相聞歌は40首も収録されているが、どれも形式的といおうか型に嵌まったもので、正直、宅守の血の通った情感が感じ取れないものばかりである。

逆に、

「さすだけの 大宮人は 今もかも 人なぶりのみ 好みたるらむ」

(宮廷の人たちは今でもなお人を辱めることばかり好んでいることだろうか)

とか、

なりひら竹の林に宅守の短歌
なりひら竹の林に宅守の短歌の駒札

「世の中の常の理(ことわり) かくさまに なり来にけらし すゑし種から」

(世間の常の掟でこんな風になってきたのだろう自ら蒔いた種がもとで)

といった言い訳がましい歌や世間体を気にするばかりで、妻の胸をつぶすような悲嘆を慮(おもんばか)る気持ちなど、とんと伝わってこない。

さらにこの二つの歌からは、流罪となった原因がどうも人前では憚られるような行為であったことが窺われるのである。

この二人の相聞歌は古来、万葉の恋バナとして万人の心をうってきたとされるが、何かこの配流事件の裏には恋バナなどとは対極にあるどす黒い背景があるような気がしてならないのである。

そこで背景について調べていたのがこの二週間のことであった、というわけである。

そんなひねくれた老人とは別世界に住む貴司君(桑原亮子女史)の短歌は抑えてきた舞への想いがしずかに流れ出してくるようで美しい歌だと思った。

「君が行く 新たな道を 照らすよう 千億の星に 頼んでおいた」

そして、今朝詠まれた、

「目を凝らす、見えない星を見るように一生かけて君を知りたい」

さすが貴司君!!

人知れず潮が満ちてくるようなそんな情愛が沁みとおってくる素敵な歌である。

こんな言葉をかけられたら、女性はもう何も言わずにただそっと抱かれるだけ・・・

・・・・・・

上段の池に植わる連理の松
味真野苑・上段の池に連理の松が植わる

味真野の苑内には夫婦の愛、恋人たちの愛をあらわす「比翼の鳥・連理の枝」にちなみ、上段の池に「連理の松」が、またそこから流れ出る小川をはさみ宅守と弟上娘子の歌碑が建つ「比翼の丘」が配されている。

宅守と狭野弟上娘子の歌碑の建つ比翼の丘
比翼の丘に宅守と狭野弟上娘子の歌碑が建つ

花筐(はながたみ)像 継体天皇と照日の前像
ハートで飾られた継体天皇と照日前の銅像

カップルでお近くへ観光に行かれた際には、ぜひ、万葉の里へ立ち寄り、能・「花筐(はながたみ)」の継体天皇と照日前の銅像を拝し、そして比翼の丘に立ち、二人の愛を確かなものにされることを願ってやまない。

コキコキドライブ旅 7日目その三 「世界の中心で、愛をさけぶ」味真野

日本書紀・継体紀に、継嗣がないまま武烈天皇が崩御され、大伴金村大連等重臣たちによる僉議の結果、皇統をつなぐため応神天皇5世の孫、男大迹(オオド)王を26代天皇とする経緯が記述されている。

忽谷(しゃくだに)石で造られた継体天皇の石像 足羽公園
足羽山頂上に建つ継体天皇像

そのなかで「三国(ミクニ)」へ節旗(シルシ)を持ち御車を準備して男大迹王を迎えにいく下りがある。

現在の三国は九頭竜川の河口あたりの地名であるが、当時は越の国の坂井、足羽、丹生の三郡をあわせたものが「三国」にあたり、いまの坂井市、福井市、越前市までをふくむかなり広範囲をいっていたという。

九頭竜川河口と三国港
九頭竜川河口 この先が三国港

つまり古の重要な交通手段であった九頭竜川とその水系の足羽(アスワ)川、日野川という越の国の三大河川の流域一帯を男大迹王が支配していたといえる。

このエリア一帯に継体天皇の伝誦が数多く残っていることからそのことは明らかである。

古にいうその「三国」の南部、九頭竜川の扇状地の谷口にあった母の里、高向(坂井市)から山塊を二つ、

高向神社
九頭竜川の東、高向の地に鎮座する高向神社

足羽川扇状地に建つ男大迹王創建の足羽神社から山塊一つ越えた

足羽神社 拝殿
足羽山中腹に足羽神社

日野川東部流域に味真野がある。

味真野神社 鳥居前から
味真野の地に建つ味真野神社

男大迹王の寓居跡、また中世の豪族鞍谷氏の館跡とされる場所には味真野神社が建っている。

味真野神社鳥居横に継体天皇御宮跡の石碑が建つ
継体天皇御宮跡・鞍谷御所跡の石碑

そのため神社の三方に土塁が今もはっきり確認される。

中世の鞍谷御所を囲んだ土塁が残る
神社の三方を土塁がめぐる

神社の伝承によると、往古、北西1kmほどのところに鎮座していた式内社・須波阿須疑(スワアスギ)神社のご祭神三座が分かれ、その一柱が伊弉諾神社として現在地に本宮として建立されたという。

味真野神社鳥居と参道
味真野神社鳥居と参道

それが味真野神社の前身で、その後近隣神社の合祀を重ね、この地の地名をとって味真野神社と改称されたという。

白布で覆われた味真野神社社殿
雪囲いで囲われた味真野神社社殿

この一帯は越前国の国府があったとされるが、三大河川やその支流が網の目のようにめぐり、古来、交通軍事の要衝であったことは確かである。

さて室町時代初期、「風姿花伝」を著し能楽を大成させた世阿弥の作品に「花筐(ハナガタミ)」という演目がある。

世阿弥直筆の花鏡から採った”能”の字を刻む石碑
能楽発祥の地、京都・新熊野神社に建つ世阿弥揮毫の「能」の字

遠い昔、初めて国立能楽堂で観た演目が「花筐」であった。

花筐・継体天皇・照日前像
花筐・継体天皇と照日前の像

思い出と云えば、シテの照日前(テルヒノマエ)の動きがあまりにも悠暢で眠気をこらえるのに苦労したことばかり。これこそが味真野時代に寵愛した照日前と継体天皇との恋物語であったとは、此度の旅でそのことを知り、驚いた。

花筐(はながたみ)像 継体天皇と照日の前像
愛のしるし

社殿前にはそのことを知らせるかのように、「謡曲花筐発祥の地」の苔生してはいるがりっぱな石碑が建っていた。

謡曲花筐発祥の地 石碑
社殿前に立つ謡曲花筐発祥の地・石碑

継体紀を去ること八百年、室町時代に至っても味真野が継体天皇ゆかりの土地であったことが巷間に広く知れ渡っていたことになる。

「花筐」のワキヅレ(都からの使者)のセリフに「越前の国味真野と申す所にござ候」、「味真野の皇子におん譲りあるべし」と、味真野の地名がしっかりと登場しているのだから。

そんな地に建つ味真野神社は雪囲いなのか無粋にも社殿が覆われ、その姿を拝見することは叶わなかったが、その境内に拡がる光景は一見の価値があった。

雪囲いされた味真野神社社殿
味真野神社社殿

若き日の男大迹王と照日前の恋、そして、大和へ行ってしまった男大迹王を慕うあまり狂女となった照日前との邂逅・・・

そんな熱烈な恋情をあらわすかのようにハートの意匠が至る所に施されていた。

;ハートはいくつ?
ハート印はいくつあるか?

継体天皇と照日前の銅像前の情熱的な真っ赤な花輪はもちろんのこと、両脇の花も・・・また、地面に描かれた大きなハートマーク・・・

ハート形がいっぱい
ハートの向こうに継体帝と照日前

花壇もハート形。

ハートだらけの味真野神社
花壇もハート形

そして、休憩用の木製の腰掛椅子もハート、それに石造りのベンチの脚の型抜きもハート・・・

石造ベンチにもハート
ベンチにもハートマークが

いやはや、ここは古希、古希のカップルには少々、熱気が強すぎた。

恋人の聖地といわれ場所は各地にあるが、これほどまでに恥じらいなく「世界の中心で、愛をさけぶ」を体現している場所をわたしは知らない。

味真野神社ハートの境内
世界の中心で愛をさけぶ!!

次に細君の実家である高松にいくときには、映画「セカチュウ」のロケ地となった庵治町へいってみよう・・・と・・・年甲斐もなく心の中で呟いたところだ。

昨日は節分、鬼は外! 福は内! 今日は立春!!

ついこの前に正月を祝ったばかり・・・

⓪だるま 正月市
初詣の達磨さん

そして・・・昨日は・・・はや、節分。

わが家はいつの頃からか、節分の豆まきの豆が「福はうち」と「鬼はそと」用の二種類が用意されるようになった。

豆まき 袋入りが福和は
二種類の豆まきの豆

枡に入っているのが、外に鬼を追い出すため勢いよく撒ける豆。

袋入りの豆が床に投げても豆が散乱せず、回収が楽な豆。しかも、フードロス反対!!というほど大げさではないが、蒔いたあとにすぐに口に入れることができる・・・ってなことで、細君がいつも準備してくれている。

昨夜は久しぶりにグループホームから帰ってきてくれた娘も一緒に、暗くなった庭へむかって「鬼はそと!!」、そして、リビングの床へ豆袋を「福はうち!!」と、少し大きめの聲でさけんだ。

きっと今年はコロナもさらに弱毒化、沈静化し、3年ぶりの平穏な年がもどってくるはず。そう祈ろう。

昨日は娘の帰宅とあって、朝から細君は巻き寿司つくりに勤しんでいた。

遅い朝、階段をおりる途中から甘酸っぱいお酢の匂いがしてきた。

恵方巻なんて・・・そんな商業主義に騙されてはだめだといって、スーパーの恵方巻など無視してきたこの数年・・・

でも手作りの巻き寿司は別もの!

恵方巻
手作りの巻き寿司はおいしい

やはり、おいひ〜い、のだ。

娘の好物のお刺身もならんでの節分のごちそう・・・

節分 御馳走
角上のお刺身に、赤ワインも・・・

娘の巻き寿司を一個、わけてもらった。これじゃ、痩せるはずはない・・・

ワインも二杯、いただいた。

そんなこんなで、心地よい睡りから目覚めると・・・今日は立春!!

庭の梅も沢山の蕾をつけ、幾輪も花を開花させている。

立春の日 庭の梅
白梅が青空に映える

まだまだ寒い日がつづきそうだが、春の跫音は確実にちかづいてきている。

そして・・・あとひと月でもうひな祭りだ。

正月飾りがしまわれたあとの床の間に、当世、流行らぬ大きな雛飾りがもうあらわれた・・・いや、失礼・・・

この次はひな祭り 雛飾り
床の間をはみだす雛飾り

そろそろこの七段飾りも飾るのは一大作業で、細君もあとどれくらいつづけられるかと、淋しいことをいっているのだが・・・

そんな思いをよそに、壇上におすまししているお雛様を眺めると、いつものことながら心がうきうきする・・・一挙に座敷が華やいだ・・・

まさに立春! 春の濛気がもう庭の土のあちこちから立ち昇ってきている・・・

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