私たちが4年9か月をかけて逆順で廻った四国八十八ヵ所霊場巡りの満願成就を果たす第一番札所の霊山寺を訪れた日、令和3年3月30日は奇しくも大潮の日にあたっていた。

K願之証
霊山寺で拝受した四国遍路満願之証
しかも、当日はなんと正午前に残り三ヶ寺となったお遍路を終える予定となっていた。鳴門の最もダイナミックな渦潮を観ようとすれば、大潮の日でかつ満潮・干潮の前後1時間ほどのタイミングなのだという。

そして、その日、霊山寺で満願の証をいただいたのが午前10時30分。

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四国88ヶ所第一番霊場 霊山寺
霊山寺から鳴門の観潮船乗り場まではおよそ26km、車で30分弱の距離である。

¬通膣儻汽船 うずしお観潮船乗場
鳴門観光汽船 うずしお観潮船乗場
その日の干潮時間は13時10分、潮流最速の時刻は13時。その時間帯の観潮船に乗ることができれば、潮流の最も早い時に発生する鳴門の躍動感あふれる大渦潮を船上から体感できる。

絶好の観潮日和いやピンポイントの観潮ゾーンに嵌まっていたのである。これをお大師様のご利益と呼ばずして何に譬えられようか。

…流最速が13時 出港12時45分 修正済み
観潮船チケット売場
ということで、残り10ヶ寺となっていた阿波の霊場をめぐる二泊三日の遍路旅は、鳴門の渦潮の干潮時間から逆算して計画し、事前に12時45分出港のアクアエディなる小型水中観潮船のチケットを予約したのである。

大型の観潮船とは異なり、船底に設けられた座席が指定されており、渦潮を海中から観られる趣向となっていた。

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水中観潮船アクアエディ
乗船後、渦潮のメッカである鳴門大橋間近に着く頃、館内放送で船内に戻れと案内が流れる。
ヌ通膤ざの渦潮 小さい(淡路島福良港から 2019.10,15)
鳴門大橋
鳴門の大潮の渦潮
船内は夜光虫のような色相で彩られており、一挙に幻想の世界に引きずり込まれる。

アクアエディの船内 両脇の窓から海中の渦潮を観る
アクアエディの船内 左右窓から海中を観る
所定の座席にすわり、窓外にエメラルドグリーンの海中を見る。そして渦が海中に向かって錐を揉みこむように切り込んでゆく情景を期待したのだが、そこはそれ、そんなに甘くはない。70枚におよぶ写真を連写したなかに、この1枚だけを見つけ出した。
ヽっ罎ら見た渦潮
錐のように・・・渦が・・・
海中に向かって錐のように?渦を巻いていく、子供のそのまた子供のような可愛い渦潮が写っていた。わたしの努力の賜物だと思って鑑賞してほしい。

その水中観覧が終了して、今度こそ上部甲板から鳴門の渦潮を見下ろしにいった。

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鳴門大橋の真下の海面が泡立つ
上部甲板には乗船客の歓声がそこここに挙がる。大潮の日の干潮の時刻、潮流が最速となったまさに絶好のタイミングである。

4劃時最速時の大渦潮
おおぉ 渦巻きだぁ〜
鳴門大渦潮ショーの開演である。この写真を御覧じよ!

鳴門の大潮の渦潮
鳴門の大渦潮です!!
船上で感じる振動と音をお伝え出来ぬのが残念であるが、見事な渦を巻いているのが見て取れよう。

海面に段差
海に小さな段差が生まれる・・・
もう一枚、これも頑張って撮ったので、見てほしい。

η力の大渦潮
渦がそこここに・・・
それと、ビデオも撮ったのだが、最もすばらしいところはどうも録画ボタンがちゃんと押せていなかったようで、次点の動画を一応、アップしておくが、あまり期待しないでほしい。


そうこうするうちに、船会社もそこは商売である。観潮の時間はあっという間に終了し、鳴門の桟橋に向けて無情にも観潮船は回頭し、次の船客を載せるために渦潮の真っただ中からそれこそ脱兎のごとく桟橋目指して船速をあげてゆくではないか。遊覧回数を増やせば増やすほど儲けがあがることは自明である。

あと、10分海峡に止まっていたかった、失敗したビデオ撮影を今度こそ・・・それが正直な一船客の感想であったが、もはや詮無いことである、大渦潮をこの目に焼き付けられたことが一番。貴重な体験ができたことに感謝しよう。

C枯島より 暴れる鳴門海峡
実は鳴門海峡の観潮体験は3度目となるが一度目はもう数十年前になり、記憶も薄れているが、直近は20191015日の大潮の日、淡路島の福良港から出港して鳴門の渦潮を観覧している。

一年半前は他の訪問先の予定を優先したため、ピーク時の満潮時刻より1時間半ほど前の観潮船に乗らざるを得なかった。

それはちょっとしたタイミングのズレであったのだが、波はそれなりに暴れ、海面は泡立っている。しかし目指すきれいな渦巻きの姿を目にすることはかなわなかった。

満潮までもう少し渦が巻いていない(淡路島から 2019.10.15)
満潮前だと鳴門の渦潮もこんな程度であった
そして鳴門の渦潮”といってもあの鳴門巻きの紋様のような渦はいつでも見られるということではないのだということを愚かにも初めて知らされた。わたしは基本的にいつでも渦潮は見ることができるが、渦巻きの大小や迫力の違いくらいに考えていたので、その時の“なんだかなぁ・・・”といった宙ぶらりんな気持ちが鳴門の観潮を今度こそ全身で感じてみたいと願い、今般の観潮スケジュールを立てるに至ったのである。

鳴門の大潮の渦潮
そして、この度は、海面に出現する滝のような段差や複雑な潮流の動きが造り出す大渦潮、その造形の刹那をようやく目にできた。自然のいつもと変わらぬ営みのなかに時折見せつけられる凄味というか厳しさのようなものを感じさせられた、そんなひと時であった。

皆さまが鳴門の渦潮をご覧になる際には、大潮の日、しかも満潮・干潮の時刻を狙って旅の行程を立てられんことを是非とも願い、筆を置くこととする。