彦左の正眼!

世の中、すっきり一刀両断!で始めたこのブログ・・・・、でも・・・ 世の中、やってられねぇときには、うまいものでも喰うしかねぇか〜! ってぇことは・・・このブログに永田町の記事が多いときにゃあ、政治が活きている、少ねぇときは逆に語るも下らねぇ状態だってことかい? なぁ、一心太助よ!! さみしい時代になったなぁ

December 2020

2020年冬至 それでも、ゆず湯とかぼちゃ!!

とんでもない災禍の年がまずは終わりを告げようとしている。「まずは」と殊更に述べたのは、2020年という一年間はようやくおしまいとなるが、来たる2021年はのっけからコロナウイルスの脅威がおおいかぶさったままで明けて、どこまでこの苦難の道が続いてゆくのかがわからぬという意味合いである。

片倉城址公園の桜
片倉城址公園の桜
「明けましてもおめでたくない」、そんな息が詰まるような時間の流れのなかでも、春になれば桜前線が南から北へと列島を駆けあがっていったし、秋になると紅葉が北から南へ染め下り、山から里へと錦の帯を拡げて見せた。

四国遍路 焼山寺の秋
四国88か所 焼山寺の秋
そんな2020年という不本意な年にも、復活の日はまようことなく決然としてやってきた。


2020年12月21日、冬至の日。


わたしは例年通り、ゆず湯にずっぽり首までつかり、南瓜を大口開けてムシャムシャ食い尽くしてやった。

冬至のカボチャ
細君は夕刻になって柚子を買おうと近所のスーパーにいったのだが、たった4個しか残っていなかったという。悪辣極まりないコロナをぶっ飛ばそうと今年は盛大に柚子を放り込んでと目論んでいたが、他人様も考えることは同じなのか、わが家のゆず湯は数足らずでやや貧相なものとなってしまった。

2020年冬至 ゆず湯
でも物は考え様である。スーパーの柚子がなくなるほどに数多の家庭で柚子の香ばしい薫りを湯屋の窓から解き放ち、列島全体をすっぽり覆いつくしてやったのだと想うと、それはそれで痛快事であり、コロナの悪霊もきっと進軍の足音をひそめざるを得なかったに違いない。

大徳寺黄梅院と興臨院のモミジの饗宴(2020.11.19)

紅葉狩りの京都、三日目は当初、真如堂を訪ねる予定であったが、タクシーの運転手が人込みを見るよりしずかに広縁にすわってモミジがゆっくり鑑賞できるお薦めのところがあるという。

大徳寺黄梅院の門内の紅葉
大徳寺黄梅院の前庭
秋の特別公開がされている大徳寺の黄梅院のモミジが見事だというのである。写真撮影は禁止だが、すばらしいところなので、ぜひ、行くべしと云うではないか。そこで車は急遽、方向転換、紫野の大徳寺へと向かった。

大徳寺総門   大徳寺 境内図
大徳寺の総門          大徳寺境内図
大徳寺の総門へ着くと、入ってすぐに黄梅院があった。織田信長、豊臣秀吉、小早川隆景、蒲生氏郷、千利休といった戦国時代の錚々たる人物ゆかりの塔頭だという。
大徳寺黄梅院
黄梅院塔頭の山門
撮影禁止のため門内の一区画のみの写真にとどまるが、
大徳寺黄梅院 秋の特別公開
モスグリーンの苔を這わした前庭の頭上に錦のモミジが織りなす景観を目にしただけで境内の紅葉の華やかさを想像させて心は躍った。

大徳寺黄梅院 梵鐘にもみじ
黄梅院前庭 梵鐘ともみじ
千利休の造営とされる、野趣あふれた“直中庭”(じきちゅうてい)をぬけて方丈の広縁へ向かう。そこに広がる「破頭庭」をめぐる築地塀の外側、西方に楓の巨木がそびえたっている。わたしたちは誰もいない広縁に腰を落とし、日向ぼっこをしながらその豊穣の葉叢が織りなす紅や黄のもみじのグラデーションを心ゆくまで愉しんだ。

秋天にもみじ 大徳寺黄梅院
秋天の青に紅色 黄梅院前庭
吹きわたる風のそよぎと秋の陽光のいたずらで、真っ青な秋空を背景に黄金色と紅色(くれないいろ)の小世界はめまぐるしく映像をコマおくりして観る者の目を飽きさせることがなかった。これはいくら言葉を尽くしても、観るに如かずとしかいいようのないアートである。

庫裡と紅葉 大徳寺黄梅院
黄梅院庫裡を覆うモミジ
さてこの絢爛の色モミジを鑑賞したあと、同じく特別公開中の近くの興臨院へと向かう。
大徳寺興臨院 秋の特別公開
大徳寺・興臨院 秋の特別公開
こちらは写真撮影可ということで、腕を撫して院内へ足を踏み入れた。
大徳寺興臨院 門内前庭
興臨院門内前庭
こちらも特別公開するだけあって見事な紅葉である。方丈前の枯山水は簡素で楓の木も庭の片隅にひっそりとたたずんでいる。白と紅と青の世界が清々しい。

興臨院 中根金作修復の枯山水庭園
方丈の南に枯山水の白沙の庭
ところが方丈の北側へ回廊を回り込むと、一転、南庭の画然たる色合いとは異なり、紅や黄色に緑の水彩絵の具を刷いたようで、その綾なす色模様に一瞬にして魅入られる。
大徳寺興臨院 モミジ
方丈北庭の陰翳
秋の光芒は南庭に雪崩れるようにして注ぎこみ、白沙の乱反射に双眸を細める。
興臨院 南庭
ところが一旦方丈の北庭へ廻り込むや、一面、苔色の地衣類に覆われた湿潤な土壌に楓の木々が枝葉をのばす。大きな軒先に遮られた秋の日差しは、ひかえめな陰影を随えて色モミジを照らす。
秋の風情 興臨院北庭
秋天のもとの溌剌とした色もみじとは一味違う、しっとりとした秋の風情である。

誰もいない海 日和佐・大浜海岸

阿波の薬王寺のお遍路の途中、晩秋の誰もいない海で憩う。

晩秋の大浜海岸
海亀が産卵のため上陸してくる海岸として有名な日和佐の大浜海岸である。

日和佐の海
その日は秋の日差しも心地よく、浜辺を吹きわたる風が古希をむかえる老夫婦の乾いた頬を和毛で刷くように柔らかくなでてゆく。

日和佐 大浜海岸
遠くに時折子供の歓声が聞こえてくるが、打ち寄せる波音にすぐにのみこまれてはあとに潮騒の音色だけが残響としてのこるだけである。



ウミガメを待つ海辺
とてもしずかで妙に人懐かしくなる晩秋の海辺の情景である。

秋の海 グラデーション
もうすぐ新しい年がこの浜辺にも新たな足跡をきざみにやってくる。


京都・嵐山の松籟庵(ショウライアン)で評判の湯葉コースでランチ

亀山公園(嵐山公園亀山地区)のなかに位置する松籟庵(ショウライアン)で昼食をいただいた。松籟庵の建物は近衛文麿元首相の別邸と呼ばれ、現在は豆腐の懐石料理で有名な料理屋となっている。

松籟庵の玄関
場所が公有地の公園内とあって、タクシーで行けるのは嵐山吉兆までで、そこから桂川(保津川)沿いに川縁の小径を上流へとそぞろ歩いていくことになる。

保津川沿いにつづく遊歩道
松籟庵までは距離にして500mほど、ほんの6、7分の散策となるが、時季は紅葉の季節である。
保津川下りの舟の船着場
遊歩道の途中、保津川下りの船着場や茶屋があり、11月とは思えぬ暖かさとも相まって旅人気分は全開となった。自然に行き交う人々とマスク越しに「こんにちは」とあいさつを交わすことになる。

松籟庵の案内板を掲げる茶屋
松籟庵の看板を掲げる小さな茶屋はまとまった時間がとれないときには、軽食のサービスもあるので店内の席から嵐山の風情を楽しみながらランチをとるのも一興だと感じた。京都通の嵐山隠れスポットとでもいってもよいか。

保津川と嵐山ともみじ
茶屋を過ぎてしばらく進むと、保津川に張り出した楓の葉叢から保津川下りの舟や遊覧船が顔をのぞかせて、のどかな嵐山の秋景色が満喫できる。

もみじ越しにボートや遊覧船がみえる
そんななか、突然、船頭が嵐山に響き渡る大声を発した。鴨の一群が我先に餌をまく船頭めがけて飛来する。大道芸ならぬアクロバティックな大河芸に鴨の羽音のなか船客が一斉に、そう全員が腹の底から快哉を叫ぶ。コロナ感染騒動の状況下、わたしはそんな光景に今年はじめて出合ったなぁと、思いっきり愉快な気分になった。

保津川下り 船頭が鴨を呼び寄せてみせる
さて、遊歩道の突き当りにぶつかると、右手に折れて自然石の石段がのぼっている。

保津川遊歩道の突き当りから松籟庵への石段
そこを上った先、左手に松籟庵の看板が立つ。
松籟庵看板 小径を入っていく
その看板を左に折れ細い砂利道をゆくと十段ほどの石段を下りたところに玄関がある。

砂利道を下った先石段を
当日は予約客でいっぱいで玄関で断られているお客もいたが、幸い当方は事前予約をしていたので、安心して案内を請うた。導かれた席は保津川と紅葉を間近にみながら食事ができる窓際の一等席である。

奥の窓際の席でいただきました
予約したコースは最近メニューに加えられた評判の“松籟の湯葉コース”(税別4600)

昼食のメニュー 松籟湯葉コース(税別4600円)
以下写真でご紹介するが、盛り付けが美しく整っているだけではなく、味付けも上品に仕上がっていた。

ボリュームたっぷりの八寸
ボリュームのある八寸
表現が少々失礼にはなるが、観光地でよく出会う形ばかりを懐石風に似せたまがい物とは異なり、気の利いたミニ懐石料理であるといってよい。

先付け(雪塩添え豆腐・梅酒)
先付け(雪塩添え豆腐)
次に料理の品をいくつか紹介しておく。どれもとてもおいしかったので。
樋湯葉の揚げ物  揚げ出し豆腐
樋湯葉の揚げ物           揚げ出し豆腐
当日のメニューのなかで創作料理と謳われているものは書画家で女将の小林芙蓉氏の作品をテーマにつくりあげた一品だそうだ。

女将の秋の紅葉を題材にした作品
料理のテーマとなった小林芙蓉女将の作品
豊穣の秋と紅葉をイメージしたものだろう、味覚のみでなく視覚でも料理を味わい尽くせるアーティスティックなひと皿であった。

収穫の秋 朴葉にのせた創作の一品
秋の創作の一品
かくのごとく和建築の室内を飾る見事な書が懸かる部屋で、窓外にもみじと保津川を眺めながら、次々繰り出される洒脱な料理に舌つづみを打つ。

窓越しに保津川と紅葉
なるほど松籟庵には大人の心をくすぐる贅沢な時間が用意されているのだと感心したところである。

湯葉のしゃぶしゃぶ   湯葉のしゃぶしゃぶ鍋
湯葉のしゃぶしゃぶ
これから嵐山を訪ねる際には、時間に余裕をもってぜひこの松籟庵で食事をとられることをお勧めしたい。

松籟庵の書
そして、お腹がいっぱいになったのちには、公園内の展望台にまで足を運んでほしい。後日、ブログにアップする予定だが、対岸の山腹に大悲閣千光寺を見晴らし、眼下に保津川下りの舟を見下ろし、タイミングがよければ渓谷を走るトロッコ列車の姿をみることができる絶景スポットなのである。
嵐山・大悲閣千光寺   嵐山・星野リゾートを見下ろす
渡月橋から見るありきたりの景観とは趣を異にする嵐山の景勝にふれて、あなたは嵐山のちょっとした通になったと感じること請け合いである。

常寂光寺 黄葉が紅葉に色変わり(2020.11.18)

楓のなかに常寂光寺仁王門
常寂光寺仁王門
嵯峨野の落柿舎を正面に望むところに瀟洒なお店がある。京あられの老舗、小倉山荘という。
晩秋の嵯峨野落柿舎
小倉山荘から落柿舎をみる
そのHPに「一期一会」という山本雄吉社長の対談集が連載されている。そのなかに万葉の時代には“もみじ”は中秋の萩を詠い「黄葉」と表記されていたものが、藤原定家が新古今和歌集や小倉百人一首の編纂を通じて、晩秋の楓の「紅葉」へと読み替えて、“もみじ”をもののあわれを感じる晩秋の色彩へと変じさせたとの興味深い話が紹介されていた。     

京あられのお店 小倉山荘  小倉山荘 あられお土産(冬おぐら山春秋&山椒あられ)

京あられ老舗の小倉山荘 おぐら山春秋・山椒あられ
日本の秋を彩る代表的な色を黄から紅へと転じてみせたのが藤原定家だというのである。万葉集には180首の“もみじ”の歌が載るが、その表記は「黄葉」あるいは「毛美知」となっている。「紅葉」の文字を使っているのはたったの1首なのだそうだ。

常寂光寺 紅葉に隠れる仁王門
山門から仁王門へ
小倉山荘から百メートルほど歩いた小倉山山麓に常寂光寺はある。
常寂光寺 仁王門に紅葉
紅葉のなか仁王門
紅葉と白壁のコントラストの美しい仁王門から石段をまっすぐにのぼった高台に本堂が建つ。
常寂光寺 本堂と紅葉
本堂
さらに妙見堂との間の山路をのぼっていくとひっそりと立つ小さな石碑にぶつかる。定家が小倉百人一首を編んだ“時雨亭跡”と刻まれている。

ひっそりと立つ時雨亭跡石碑 常寂光寺
時雨亭跡の石碑
時雨亭跡は近くの二尊院や厭離庵もその名があがるが、小倉百人一首が完成した八百年前、すでに嵯峨野一帯が楓の紅葉で有名であったことがうかがわれる。

二尊院・時雨亭跡から嵯峨野の紅葉を俯瞰   厭離庵の紅葉
二尊院時雨亭跡から嵯峨野を見下ろす  厭離庵の黄葉(共に2017.11.30撮影)
常寂光寺の境内にはひしめきあうように楓の木が植わっている。紅色の世界が広がる境内で、鐘撞堂近くに一本の鴨脚(いちょう)の大樹がそびえたつ。
常寂光寺 黄葉と紅葉の競演
万葉と平安の競演
その一画だけは黄色の小世界が息づいているようで、萩が鴨脚の木に代わってはいるものの、万葉の黄葉と平安の紅葉が相寄り添うて時代の色彩を競い合っているようにも見えた。


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