京都でアートな夜を、カクテルバー“K6”(2013.1.29)
中京区二条通木屋町東入ル東生洲町481 ヴァルズビル2F
075-255-5009
われわれ夫婦は、今年の一月以来、久しぶりにK6を訪れた。

割烹“まつおか”(東山区・075-531-0233)で“旅は道連れ”となったお嬢さん・Aさんをお誘いして、京都の夜をもう少し堪能しようと向かった。
店内に入ると、いつもの左手のカウンターに席は用意されていた。
名バーテンダーの澤真吾さんにAさんのご紹介をすませると、さっそく、オーダー。
家内が注文したのが、え〜っと、名前が・・・、何しろ下の写真です。爽やか系の軽いカクテルだったかなぁ・・・。
そして、わたしがまず2011年6月に大震災を悼んで澤さんにつくっていただいた“鎮魂”をお願いした。
深遠で厳粛な雰囲気を醸し出す不思議なカクテル・・・“鎮魂” 。いろんな思いのこもった一杯である。
この透明でどこかさみしげなブルー・・・。
そして、当夜、K6デヴューのAさんに、京都の一人旅の想い出に、ひとつ貴女のカクテルをオーダーしなさいと慫慂(しょうよう)した。
京都のひとり旅で何がもっとも印象に残ったのか、それをイメージして澤さんにオーダーしなさいと云うと、しばらく間をおいて「上賀茂、下鴨神社で雨にあったが、雨に煙った緑の繁みのなかに鮮やかに映える朱の色が瞼に焼き付いている」という。
そこで、“神秘的な朱色の世界”というお題で、新作のカクテルをお願いした。若いお嬢さんが京都の上賀茂神社、下鴨神社をひとり彷徨し、いつしか紡ぎ出されていった素敵な物語・・・
澤さんがじっくりと彼女の話に耳を傾け、それから顔を伏せ、しばし熟考する。
手がグラスへ向かい、そしてリキュールのボトルへと伸びる・・・
バーカウンターに嵌め込まれたライトの上に、新作のカクテルがそっと置かれる。
“ヴェルミオン・ロマン”(フランス語)こと、”朱色の物語”の誕生である。命名はAさんと相談し、行ったものです。澤さん、これから、これでお願いします。
写真の出来がいまひとつで、その瞬間の感動をうまくお伝えすることが出来ぬのが残念であるが、見事な作品である。
もちろん、Aさんも大感激で、自らのためだけに創られた“ヴェルミオン・ロマン”に、そっと口唇をつけていた。
最後に、この一月のお題で生まれた飛龍をほうふつとさせる名作・“天橋立”をいただき、素晴らしい出逢いのあった京都の思い出深いひと夜も終焉の時を迎えたのである。
タクシーで帰るAさんを見送り(家内は何かあったらと、タクシーのナンバーを確認しておりましたなぁ)、われわれ二人は人気もなくなった木屋町通りを下り、押小路へと入り、ホテルへと仲良く歩いて帰って行ったのでありました。
そして、Aさんとはひと月後に松本の“レストラン澤田”で再会することとなるのである。それはまた別の機会に、アップしましょう。