彦左の正眼!

世の中、すっきり一刀両断!で始めたこのブログ・・・・、でも・・・ 世の中、やってられねぇときには、うまいものでも喰うしかねぇか〜! ってぇことは・・・このブログに永田町の記事が多いときにゃあ、政治が活きている、少ねぇときは逆に語るも下らねぇ状態だってことかい? なぁ、一心太助よ!! さみしい時代になったなぁ

January 2012

「綸言(りんげん)汗のごとし」と対極にある議事録作成をしない民主党政権の背任

もう言うぞ!民主党の言う公務員給与削減と人事院勧告のまやかし(2012.1.31)

東日本大震災関連で新たに設置されたり、震災対応を指導した政府会議15組織において、議事概要および議事録共に作成されていないのが3組織、議事録が作成されていない組織は10組織、議事概要が作成されていない組織は6(内2は一部作成)、議事概要、議事録共に作成していた会議はわずかに3組織という、にわかには信じられぬ報告がこの27日に岡田克也副総理によってなされた。


20114月に「公文書等の管理に関する法律(略称:公文書管理法)」が施行されたが、同法はそもそも年金記録記載漏れ問題を受けて、法令番号200971日法律66号として施行2年前に立法化されたものである。20075月に起こった年金記録記載問題でずさんな社保庁の業務体制を当時野党であった民主党が厳しく追求するなかで、法案化された因縁の法律である。


そして成立した「公文書管理法」の第一章総則(目的)の第一条では、


「この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする」と謳っている。


さらに、同法第二章「行政文書の管理」の第一節「文書の作成」第4条において、


「行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。

 法令の制定又は改廃及びその経緯

 前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯

 複数の行政機関による申合せ又は他の行政機関若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定及びその経緯


等々が定められている。


この法律をざっと見るだけでも東日本大震災および福島第一原発事故に係る15の政府会議が記録作成を必要とすることは日を見るよりも明らかである。


冒頭の議事録を作成していないという事実は、同法の目的すなわち国民の知る権利を踏みにじり、法律をないがしろにするものであり、国民に対する背任行為ともいうべきものである。


同法の目的に謳う「民主主義の根幹を支える」べき、政治の意思決定の経緯が一切記録されていないことに、正直、驚きを禁じ得ないとともに、民主党政権が民主的な国家運営を担う本質的資格すら有していないのだと、憤りの気持ちをもって断じざるを得ない。


特に菅首相が本部長を務めた「原子力災害対策本部」と「緊急災害対策本部」は、東日本大震災ならびにそれに伴う福島第一原発事故に対応する最高司令部である。そこで議論・検討され対応指示に至った経緯が一切、議事録たる文書として残されていないということは致命的な問題であり、今後、当時の最高指導者であった同議員の行為を厳しく糾弾してゆかねばならない。


当時、各種政府会議において担当大臣がどう発言し、内閣特別顧問や内閣官房参与らはどう専門的アドバイスをし、菅首相がパニック状態のなかで何を指示し(怒鳴り)、決断したかを当時そこに居合わせた当事者および事務関係者に客観的第三者機関がじっくりと多面的ヒアリング調査を行ない、会議の実態を掘り起こし、国民の知的財産たる文書として記録に残されねばならない。


そもそもこうした国家的危機において、その議論の内容、命令に至った経緯が誰がそれを語ったかを含めて正確に残しておくのは、この国の歴史を引き継いでゆく者として、かつ国民の生命と財産を守る政治の当然の義務であり、責任である。


菅前首相は原発事故の対応について「後世の歴史がちゃんと私の判断を評価してくれる」と胸を張るが、評価に際し、その基となる記録がないのでは、話にならない。


大震災の大混乱の中で、菅首相が言った言わない、東電が言った言わないと、情報が錯綜し、何が真実か分からぬ状態で国民が不安のどん底に陥れられた。


そうしたことがなぜ起こったのかを検証しようにも、議事録がないとなると、これは永遠に水かけ論となり、今後の教訓、改善の決め手にもならない。そして事故対応の在り方の適否や、それに基づく政治責任の追及も曖昧にさせられる危険が大きい。


菅前首相が退任後、新聞やテレビで震災対応や原発事故対応について、一方的に語る報道がなされたが、大手メディアも議事録もないなかで、よくぞこうした言い訳だけを垂れ流したものと、その見識を疑わざるを得ない


首相の思いつき発言や大臣の失言問題が民主党政権では多発しているが、その底流には、自分の発言が文書に残されていないという気楽さ、緊張感のなさがあるように思えてならない。


国政を担う首相、大臣が自分の発した言葉を恥じらいも矜持もなく簡単に訂正、謝罪する様は、「綸言(リンゲン)汗のごとし」という治世の本質的姿勢において、民主党という公党自体が決定的にそれが欠如し、国政運営の能力を欠く政党であると残念だが結論づけるしかないのである。

もう言うぞ!民主党の言う公務員給与削減と人事院勧告のまやかし

「綸言(りんげん)汗のごとし」と対極にある議事録作成をしない民主党政権の背任(2012.1.31)

1
25日、民主、自民、公明3党が一般職の非現業国家公務員(以下、国家公務員給与という)の削減について、大筋で合意した。その内容といえば、2011年度の人事院勧告(平均023%減)に基づく給与引き下げを実施したうえで、今後2年間は平均78%を上乗せし削減するというものである。


逆に言えば、20124月から20143月までの2年間は平均803%の削減はするが、20144月からは給与削減上乗せ分の78%を解消し、人事院勧告の023%の削減に戻すという一種のマヤカシに近い。


2011年度の人事院勧告は、2012年の一般職の非現業国家公務員の平均年収を、6385万円(2011年実績)から637万円へ年間でわずかに15千円削減(マイナス023%)とした。月例給ベースでは396,824円(前年度マイナス899円、比率でマイナス0.23%)となる。その平均年齢は423歳である。


つまり今後2年間の201213年度の人事院勧告がプラス・マイナスゼロの現状並みと仮定した場合、20144月からは2011年度の人事院勧告の平均年収637万円(2012年人事院勧告ベース)に復するというのである。国民を馬鹿にするのいい加減にして欲しい。


その一方で民間給与の実態はどうかということであるが、厚労省が毎年行っている「国民生活基礎調査の概況」の平成22年版によると、平成21年(2009年)の一世帯当りの平均所得金額は、5496万円となっている。ただ、その平均所得は65歳以上の高齢者世帯(3079万円)、母子世帯(2626万円)および民間より高額となっている公務員世帯も含まれているため、いわゆる純粋な民間の勤労一世帯当りの平均所得はこれよりかなり少ない金額となる。


また一世帯当り所得は配偶者等の所得(パート収入・正社員給与)も含んだ数字であり、公務員給与と比較するに当っては、世帯主個人のみの所得と比較する必要がある。


そこで、国税庁が毎年調査をしている「民間給与実態統計調査」(2011.9公表)の2010年実績の数字を参考に表示すると、民間の年間平均給与(給料・手当+賞与)は4120万円(男性5074万円・女性2693万円)となっている。平均年齢は447歳と公務員給与の平均年齢の423歳より24歳高齢となっている。


これは1人〜9人の零細事業所から5000人以上の大企業まで8層ごとに、ある摘出率により抽出した268万人の標本給与所得者を調査対象としたものである。


人事院勧告で比較される民間給与の実地調査はその対象数が「約43万人」と、国税庁調査のサンプル数の「約27万人」を超えるものの、国税庁は事業所の規模を1人以上から大企業までの全てを網羅するのに対し、人事院勧告は「企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所」と、企業数の多くを占める零細企業の給与実態がまったく反映されない仕組みとなっている。


このことは従来からよく指摘されてきたことだが、具体的にどのような影響が勧告の数字に表れているのかを説明したものはわたしは目にしていない。そこで、ここで国税庁調査の数字を使い、影響を分析してみる。


国税庁調査では、2010年の給与所得者数総合計5,415万人(100%)のうち、「1-9名の事業所の給与所得者数総数972万人(180%)」、「10-29名の事業所の給与所得者数総数777万人(143%)」 、「30-99名の事業所の給与所得者数総数881万人(163%)」とある。30人未満の事業所規模の合計だけで323%と13を占めている。


また中小企業庁の公表する「小規模企業の従業員数」は総従業員数4013万人の23%の約929万人とされている。ここにいう小規模企業の定義は製造業・その他で従業員20人以下、商業・サービス業5人以下の企業となっている。その小規模企業に就業する勤労者だけで全勤労者の23%を占めている。


以上の二つの統計調査からだけでも、人事院勧告のベースとなる「企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所」に雇用される対象勤労者は、おそらく6割程度(零細企業従業員は少なくとも3割以上4割強と推定)の給与水準の高い部類の勤労者を民間給与のサンプルの母集団としていることになる。


そして国税庁の「民間給与実態統計調査」で、さらにその詳細内訳をみると、年間給与額は事業所規模10人未満は3357万円(平均年齢503歳)、10-29人事業所規模で3991万円(同462歳)、30-99人事業所規模は3870万円(同441歳)と、いわゆる零細企業の給与水準が実際にも、全民間給与平均の4120万円より低いことがわかる。


因みに100-499人が4156万円(同429歳)、500-999人が4634万円(同41.9歳)、1000-4999人が4804万円(同419歳)、5000人以上が4895万円(同422歳)であり、零細企業の給与が低いことは明らかである。


さらに、零細企業従業員の平均所得に対応する平均年齢が、従業員500人以上の大企業の従業員より10歳ほど高齢であることも、民間企業の間でも、企業規模別の給与格差が表面的な平均給与の差以上に、実態は、より大きなものであることも理解しておく必要がある。


そうした民間企業給与の実態を知ったうえで、公務員給与の人事院勧告を眺めると、給与決定の仕組みが経済の実態に適っていないと言わざるを得ない。そうした計算式で長年やっていれば、給与の官民格差が生じてゆくのは当然であり、零細企業によりしわ寄せのゆく現在の厳しい経済情勢に鑑みれば、消費税率アップ云々の前に、公務員給与水準の在り方そのものが議論されて然るべきと考える。


そう考えて来ると、現在、民主党が用意している2015年までに消費税率を現在の5%から10%へ引き上げる増税法案は、もちろん増税は将来にわたるものであり、公務員給与を2年間だけ一時的に78%に削減することで、自らも痛みを分かち合うのだと云うのは、先述したそもそもの官民格差(官637万円:民412万円)の是正を行なったうえにさらに「痛み」をどういう形で具体化するのかが、当然、求められるべきである。


ましてや2年間の一時的給与削減を理由に、労使交渉で給与を決められる労働協約締結権を付与することなど詐欺的なマヤカシであり、公務員制度改革関連法案の本質をわれわれ国民はもっと詳しく知っておくべきである。


民主党が支持母体である自治労連という身内に本気で痛みを強いさせることが出来るのだろうか。この給与の2年間削減だけで労働基本権の一つを与えようとしていることを見るだけで、とても難しいと断じざるを得ない。


民主党の本質が口先政党ということがわかった今、国会議員の定数削減、公務員給与の2割削減がなされぬ限り、国民にだけ痛みをしわ寄せする消費税増税は決して有り得ぬことを、野田政権はよくよく分かった上で、今国会の運営を進めてもらいたい。


強引に消費税増税案と労働協約締結権付与の公務員制度関連法案を通すつもりであるのなら、その前に国民にその信を問う、解散、総選挙を行なうのが、民主主義の王道である。何しろ、これだけ国民との約束と声高に叫んだマニフェストをことごとく反故にしてゆく政治に国民はほとほと嫌気がさし、不信の塊になっているのだから。

“高遠まんじゅう”の大葉包み天麩羅=満留恵(まるえ)

伊那市高遠町西高遠1662

TEL0265-94-2118


満留恵
高遠饅頭・満留恵

高遠城址は桜の名所としてつとに有名であるが、もうひとつ、甘党の人間にとって忘れてならぬのが、こし餡のたっぷり入った“高遠まん頭”である。

高遠饅頭
文青堂製造の高遠饅頭

たかが饅頭などと言うなかれ。

薄皮にこのこし餡の多さ
こんなに餡がいっぱい・・・、うれしいね!

“高遠まん頭”は安土桃山時代から当地に伝わってきた高遠城主御用達の由緒ある御用菓子なのである。その昔は小豆と小麦粉で作った“おやき”が起源なのだそうだが、今では“おやき”はそれなり、“高遠まん頭”はそれなりに上品な御菓子として分化している。参勤交代の時には時の将軍に献上されたといわれるほどの極上品である。うん?・・・なんで、こんなにわたしが盛り上がらなきゃいけないんだ? 饅頭のことで・・・


いやいや、たかが饅頭、されど饅頭なのだから、しようがない。だって大好きだからしようがないんだよね。  

高遠ご城下通り
高遠のご城下通り

そこで、その“高遠まん頭”だが、製造元兼販売としては「文青堂」「あかはね」「老舗亀まん」「千登勢」「大西屋」さんなどが有名なんだそうだが、その日はちょうどご城下通り商店街が定休日の日に当り、わずかに開店していた“満留恵(まるえ)”という私設美術館「不折館」を併設するお洒落な感じの和菓子屋さんでその御用菓子を購入することになった次第。

明治8年創業の饅頭屋・亀まん
饅頭の老舗・亀まん
高遠まん頭・あかはね
ここも高遠饅頭で有名な”あかはね”

ところがそれが実に大正解だったのだから、世の中、何が幸いするのか分からぬという言葉をそれこそ実体験したのだから、やはり、饅頭はイイ!!

満留恵の店内
プチ・ギャラリーのような店内

というのは、そこのご主人である伊藤美奈子さんが高遠饅頭のおいしい食べ方をご教授下さったのである。“満留恵(まるえ)”は文青堂製造の饅頭を販売しているのだが、伊藤さんのお宅ではよく、高遠饅頭を大葉で包み、揚げて食べるのだと教えてくれたのだ。

大葉包みの揚げ饅頭
大葉で包み揚げた高遠饅頭

あげまんじゅうと訊くと思い浮かぶのが、浅草仲店通りにある“九重”のあげまんじゅうだが、大葉で包むというのがちょっと新鮮で、興味がわいた。

高遠饅頭を半分に切ります
次に半分になった饅頭を大葉でくるみます
くるんだ高遠饅頭を溶かした薄力粉につけます
天ぷらの衣がつきます
ジュ〜ッと揚げます
揚げ饅頭の出来上がりです!

そこで、作り方といってもそう大したことではないようなのだが、何せ作っていただくのは家内であるからして、当然、家内によくそのレシピを覚えてもらわねばならぬ。


帰宅後、作る手順を横で撮らせてもらったが、「うん、さすが手際はよいね」などと、一応、礼儀を尽くしたのちに、いただくことになった。


青紫蘇の香りが油のにおいを爽やかにさせ、こし餡が口内に広がった時、餡の味がまろやかになっていて、ほっこりとした幸せ感が充溢するのには、正直、驚いた。単純に高遠饅頭を食べるのもそれはそれで上品でおいしいのだが、この高遠揚げ饅頭は、饅頭の“通”としては是非、トライしておくべき新たな味覚である。

大葉とこし餡のコラボ揚げ
大葉とこし餡のコラボ揚げ

世の甘党の諸君、“大葉包み高遠揚げ饅頭”をご賞味あれ。この写真でよく分からぬ場合は、“満留恵”のご主人、やさしい美奈子さんに訊かれるとよい。


そして次に高遠を訪ねる際には、揚げ饅頭の報告をしに“満留恵”に寄り、“不折館”を覗かしてもらおうと思っている。


先日は浅学にして高遠の生んだ洋画家であり、書家である中村不折(ふせつ)のことを知ることもなく、店内に掛かる不折独特の書をじっくりと見ることもしなかった。

店内に掛る中村不折の書
明治・大正・昭和にかけ活躍した中村不折の書

“高遠饅頭”や“おたふく豆”にだけ目を奪われ、その購入に余念がない、ただ食い気だけの無粋を窮めたことを実に恥ずかしく思う。

空豆を甘く煮たおたふく豆
おたふく豆も上品な甘さで逸品です

だけど・・・、大きな空豆を上品な甘さで煮たあの“おたふく豆”(写真を撮るのを失念した)のおいしさは、やはり、教養などをずっと上回る魅力であったことは、本当のところ今も変わっていないことも、情けないながら事実である・・・


まぁ、次回はそう肩肘張らずに、「吾輩は猫である」の挿絵画家でもあり、新宿“中村屋”のロゴ文字を書いた書家である中村不折の作品にも触れる知性も兼ね備えた小さな旅にしたいと、考えているところである。

満留恵近くのご城下通りに建つ”不折”揮毫の碑

あぁ、そうそう、諏訪の清酒“真澄”の文字も不折の書になるそうだ。いやいや、お世話になっているのに、この不義理。反省! 反省!

 

 

 

 

 

 

 

 

江戸時代から続く伝統食“高遠そば”・入野屋(いりのや)=信州グルメ

長野県伊那市高遠町西高遠1632

TEL 0265-94-2018

営業時間 11001430 17001900

休み 不定休

高遠そば・入野屋
入野屋入口

“高遠そば”は「つゆ」に特色を持ち、一味も二味も違う蕎麦が楽しめる。この”高遠そば”を秋から春にかけての期間限定で食べれる入野屋は、日露戦争が終わった翌年の明治39年創業の老舗である。

その独特のつけ汁とは、辛味大根をおろした絞り汁に囲炉裏で焼いた味噌を溶き入れた「辛つゆ」と呼ばれるものである。

店内

高遠の藩主であった保科正之(三代将軍家光の異母弟)は蕎麦好きで有名であったという。涼しい気候と水はけがよく(保水力がない)やせた土地の高遠は一般的な農業には適さぬ地域であった。しかしその欠点が蕎麦の栽培には逆に好条件となり、蕎麦栽培が奨励されることとなった。

高遠そば

ただ保科正之が高遠藩主であった(1631-1636)江戸初期の頃は、つけ汁の主たる調味料である醤油がまだ一般的調味料として使用されることはなかった。しかも貴重であった醤油も“たまり醤油”といわれるものが主流で、現在の濃い口醤油や薄口醤油が考案されたのは1640年代から1660年代と言われている。 


そういうことで、その頃この高遠で蕎麦をおいしく食べるために工夫されたのが、辛味大根のおろし汁と味噌でつくった“辛つゆ”というわけである。   

焼き味噌とネギ

辛味大根をおろした絞り汁

辛つゆ
辛つゆ

この食べ方が当時、どれだけ珍重されたかは、保科正之が転封された会津の地において現在もその辛つゆ蕎麦が食文化として残っていることでもよくわかる。実際に、江戸時代の宿場町が残る会津・大内宿の“三澤屋”などが大根おろし汁の蕎麦を“高遠そば”と呼んで食べさせている。とくに三澤屋は長ネギを箸代わりに使って蕎麦を食べさせることで有名となっている。

 そして驚くことに、”高遠そば”という呼び名はそもそも会津地方でそう呼ばれていたもので、今から約20年ほど前に高遠のライオンズクラブの方々が会津を訪れた際に初めて知ったのだそうだ。だから”高遠そば”という名称は350年の時を経て、その発祥地の高遠で”辛つゆ”で食べていた蕎麦に冠されるようになったという奇しき因縁をもつ名前なのである。

 それまでの高遠では、蕎麦は”そば”で、辛味大根のおろし汁を使ったつゆを”辛つゆ”と呼んでいただけで、食文化や言葉の伝播(でんぱ)を考える意味でも、非常に面白い、興味ある話である。

大内宿
会津・大内宿(2010.11.4撮影)
高遠そばを食べさせる大黒屋
大内宿の高遠そば・三澤屋
長ネギで高遠そばを食べさせるので有名な三澤屋


 当日(1116日)、高遠では秋の味覚である“天然きのこおろし”ともちろんお目当ての“高遠そば”を注文した。きのこおろしは、家内と仲良くシェアをした。結構、一人では量が多いので、注文される場合は腹具合と相談された方が賢明である。

 この”天然きのこおろし”という食べ方も実は会津地方に伝播しており、それを会津では「きのこのたかどおろす」と呼び親しんでいる。遠く高遠から伝わった辛味大根(会津では”あざき大根”と呼ぶ)のことを日常的には、「たかど」と呼んでいるそうである。高遠と会津には庶民の食文化の継承を通じて、「たかど」が「高遠」の意味だったことなど、深い深い関係があったことを知らされたのである。

天然きのこおろし
焼き味噌と辛味大根をおろした絞り汁
結構な量の焼き味噌

写真で分かるように、焼き味噌とネギがかなりの量が出て来る。これを「全部、絞り汁に入れて混ぜて食べてください」と店員さんに言われたので、指示通りにつけ汁を作り、おそるおそる蕎麦をつけて口へ運んだ。 

「美味である」

「珍味である」

「痛快である」

そして・・・、Good Taste!であった。  

入野屋さん、ごちそうさまでした・・・

天然きのこおろしも、同様に秋の味覚満載で、見事であった。ちょっと遅めの時間帯だったが、おかげで家内と二人だけのディスカバー・ランチをEnjoyできた穏やかな秋のひと時(アップが遅くなり過ぎて、スンマセン!!)であった。

お手軽懐石料理・うさぎ屋=国立・谷保グルメ

186-0003国立市富士見台1-26-5

TEL042-580-3622




うさぎ屋正面
うさぎ屋入口

国立にお洒落な懐石料理のお店がある。名は「うさぎ屋」という。1999年の兎年に出来たお店なので、「うさぎ屋」とネーミングしたという肩の凝らぬ店である。

うさぎ屋西側から

場所は国立の谷保駅から約400m、谷保(やぼ)天満宮から約600m、国立駅から2kmの閑静な住宅街のなかにある。

母屋玄関へ石畳

当日(11月3日)は、母の法事のあと国立までちょっと足を延ばした。家内が最近 “女子会”と呼称するようになった友人たちとのランチ・パーティーで二、三度利用したことのあるお店で、住職を同行して行ってもまぁ問題はなかろうということで、わたしも初めて利用させてもらった。

憩い処
玄関内左手の緋毛氈の憩い処

店の造作は洒落たというより、“女子会”好みの可愛らしい感じのする懐石料理店である。玄関を入ってすぐ左が憩い処、右手にはうさぎの絵馬や人形、陶器の類が吊るし雛のように飾られている。

右手に可愛らしい兎の飾りものが・・・

その内側にオープン・スペースのテーブル席がある。中央に樹齢千年といわれるアフリカの樹、“ブビカン”の一枚板のカウンターテーブルがあり、懐石料理をいただくのにちょっとお洒落心が込められたインテリアとなっている。

個室
一階奥の6人用の個室・掘り炬燵になっている

個室は奥に二つあり、二階にも小さなものがひとつあるという。さらに離れの方には大人数(16名)で利用できる個室が一つある。

離れへの石畳
離れ入口

当日は谷保天満宮への七五三参拝の流れの予約でいっぱいだったため、ゆったりとした離れが利用できず、一階の奥の6人用の個室を、テーブルを付け足して8人で利用する形となった。掘り炬燵形式となっており、足元も温かく、使い勝手はよい。

先づけ
先づけ

当日の料理はお昼の懐石コース4500円を前もって注文していた。先付けから順番に料理がお膳に運ばれてくるが、盛り付けにちょっとした工夫をこらした程度だが、料理の彩りといい、季節感があって、お昼の懐石としては手頃で好ましいと感じた。

八寸盛り
八寸盛り(4名分)
蕪蒸し
ひろうす(飛竜頭)
鯛のお造り

それぞれの味付けは基本的に薄味であり、塩分控えめのわたしにはおいしく感じられた。

岩魚の甘露煮
黒糖のわらび餅

この記事を書くにあたって、最近話題の“食べログ”の口コミを読んでみたが、人それぞれだと感じた次第である。こうしたグルメ記事は、その人の嗜好が最も際立つ部類のものだとわたしは考えており、ちょっと名前の知れた店でも、おいしくない、値段の割にはちょっと、といった店などは紹介することはしないと決めている。サービス面が悪かったり、有名店ということで横柄な態度の接客をするお店なども、味はまあまあでも記事に載せることはしない。

それはどうしてもそうした場合、そのお店の欠点やマイナス面を中心とした記事の内容にならざるを得ず、“このお店、ほっこりして、おいしいよ”というわたしのグルメ紹介のお節介な主旨と大きく反するからである。

  さらに人の味覚はまさに十人十色、千差万別であり、おいしいか否かは、その人の味の嗜好やその時の体調、心理状態などでも異なってくるものだから、私が紹介するのはわたしが“おいしい”と感じ、その幸せを少しでも分かち合えたらこっちもうれしいなぁといった程度のものだからである。要は、一度、試しに行って見られてはいかがと、まぁ、余計なお節介というものなのである。

うさぎ屋ロゴの箸袋

そういうことで何はともあれ、国立や谷保天満宮を訪れる機会があれば、お手軽懐石の“うさぎ屋”さんに、一度、足を運ばれてみてはいかが!と、まぁ、お節介をしてみたかったまでである。なお、季節によるとは思うが、事前に予約は入れておいた方が無難であることは申し添えておこう。

2012年も七草粥で無病息災を祈りました

七草粥を食べて無病息災を願いました(2011.1.8)
七草粥(2010.1.8)

春の七草、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、仏の座、すずな、すずしろ、すらすらと言えました。
 

七草粥

因みに秋の七草は、おみなえし、おばな、ききょう、なでしこ、ふじばかま、くず、はぎ、の7種です。秋に七草粥って食べないねと不用意に口をすべらしたところ、間髪いれずに「食用ではないので、粥で食べることはしません」と、家内に突っ込まれました。


でも、葛(くず)は食べられるよねと言い返したところ、「七種そろって七草粥でしょ」と、また切り返されました。 

水餃子鍋

今年は七草粥より、土鍋に大きく盛られた水餃子鍋の方が目立ち、こんなことで正月に痛めつけた胃袋が果たして休まるのだろうかと小さな疑念がちらりと頭をかすめましたが、また何か言って切り返されるのも癪なので、「おいしいね」とひと言つぶやき、七草粥を口に入れました。


厳しい冬を迎えてもまだ復旧もままならぬ東北の被災地の方々を思うと、そんな“おちゃらけ”が言える小さな幸せを本当にかみしめ、これからも家族仲良く生きてゆかなければと思っています。

 

 

食べログやらせ事件とサイト運営業者カカクコムの責任

価格比較サイト大手の(株)カカクコム(本社:東京都・資本金:78500万円・設立:199712)が運営するWEB SITE“食べログ”での「やらせ業者」によるランキング操作は、匿名性を不可欠要素とするネット社会において、起こるべくして起きた事件である。

そして、やらせ業者の問題に関心が偏り過ぎで、サイト運営業者の責任やトラブル対応の自覚欠如の問題があまり語られていないのは不満である。

わたしも行きつけの店がない場所でお店を探す時に、よく“食べログ”を閲覧する。その場合、わたしはお店の点数で決めるというより、口コミの数の多寡やその内容に注意して、そのお店を利用するか否かを選択する。

口コミがいわゆる“さくら”というケースも十分、考えられるからだ。巧妙な文章術を弄した場合はなかなかその真偽は見極めにくいが、褒めすぎて馬脚をあらわしているケースだとか、常連を誇示したくて書き込みをしているケースなども、一応、贔屓の引き倒し的な中立性の欠如から選択材料の意見からは除外している。

また、逆にやたらと攻撃的にお店の欠点をあげつらうケースもちょっと脇に置く。ライバル店の贔屓客やお店そのものが誰かを介して書かせているケースも考えられるからだ。

だったら、何を参考にするのかということだが、素直な感想というものには、文章にそれなりの軽さというか軽妙さがある。

さらに、品性とまでは言い過ぎだが下品でないという意味で、お店の評価が要領よくまとめられているものが、リアリティがあり、信頼性の高いものと感じている。

そうした程度でわたしは“食べログ”の点数、口コミを参考にしている。

ただ、今回の事件はやらせ業者側の問題だけが強調されているが、サイト運営事業者としてのカカクコムの責任についてはほとんど言及がなされていない点で不満である。

同社は20107月に佐賀市の飲食店経営者からいわゆる「食べログ訴訟」を起されている。

訴状内容は「食べログには3月、店のメニューの写真などが利用客から投稿、掲載されたが、店に連絡はなかった。それ以降、店の外装やメニューは変わったが内容は更新されず、客に誤解を与えるとして削除を4回要請したものの拒否された」というものである。

当初、カカクコムは「内容は投稿者が食事した当時の状況であり違法性はない。『最新の内容とは異なる場合がある』との注意書きもしている」と反論、全面的に争う姿勢を見せ、913日に佐賀地裁で第一回口頭弁論が開かれた。

しかし、20111月になり、両者は15日までに、カカクコムが店の情報を削除し、飲食店経営者が訴訟を取り下げることで合意、男性は訴えを取り下げ、口コミなどもサイトから削除された。この合意には金銭の支払いもなされたと言われているが、その額や詳しい内容については両者とも公表していないため不詳である。

現在。“食べログ”の月間利用者数は3201万人(201111月現在)で、登録されている飲食店も約67万店にのぼっているという。新聞最大手の読売新聞の発行部数が1000万部というのと比較しても、その影響は決して小さくなく、もはや公器ともいうべき情報媒体となっている。

そうした社会性や公共財としての自覚がカカクコムに欠如していることが、佐賀市の口コミ削除の拒絶対応や今回の事件のそもそも根源にあるのではないかと考える。

それを如実に語っているのが、この15日にカカクコムが公表した「本日の報道内容について」と題するプレスリリースのなかにある「不正業者発覚の経緯、発覚範囲 について」の内容である。

そこには、「飲食店より不正業者から食べログへの口コミ代行等の営業を受けたとの通報を、20111月頃にいただき、その際に業者が示した営業資料等に基づき独自調査を行い、不正業者の存在を把握しました。その数は昨年12月時点で延べ39社となっております」と書かれている。

この「やらせ業者」の問題は表面的には既に1年前に発覚していたにも拘わらず、一年もの間、実際には何の対応策も講じず、放置していたことになる。

そして、ここにきてバタバタと事態が急展開したのは、「月島もんじゃ振興会協同組合」の健全な競争を維持するための自衛的行動がそのきっかけとなった。あくまでも他力によるものである。

月島商店街
月島商店街

要は201112月、月島のもんじゃ焼き店約60店が加盟する「月島もんじゃ振興会協同組合」が、昨年の秋以降、行列をなすほどに急激に客足をのばした複数の加盟店の調査を行なった。その内2店舗がやらせ業者に“食べログへ”の書き込み依頼をしていたことを認めた。そこで同組合がやらせ業者との契約を解除するよう求め問題が大きくなったことで、カカクコムも地域興しの成功例として有名な“月島もんじゃ焼き”で事を大きくしてはとの判断が働いたとしか考えようがないのである。

カカクコムの利用規約には、「4.食べログの利用について」の項番(4)「口コミの著作権等」の[2]において、「お客様が食べログに口コミの投稿を行った時点で、当該口コミの国内外における複製、公衆送信、頒布、翻訳・翻案等、著作権法上の権利(当社から第三者に対する再使用許諾権を含みます。)を、お客様が当社に対して無償で利用することを許諾したものとしますと、口コミの著作権は当社に帰属するとある。

また、その項番[7]において「当社または第三者がお客様の口コミを利用したことによってお客様または第三者が受けた損害については、当社では一切の補償をいたしません。また、口コミを投稿した本人による当該口コミの利用等本規約が特に認めた場合を除き、お客様が食べログに掲載されている口コミを利用して利益を得た場合には、当社はその利益相当額の金員を請求できる権利を有するものとします」と損害が発生した時は投稿者、利益が出た場合はカカクコムと、まぁ、同社に都合のよいことばかりが書かれている。

口コミや写真投稿の著作権までを自社が有するというのであれば、そこから発生する損害賠償は自社が責任を持つという双務的契約でなければ、あまりに一方的過ぎて公平を失する。大組織対個人という視点でもおかしな契約といえる。

また、投稿者の登録に当っても現在のメールアドレス・郵便番号・性別・生年月日のみ登録というのではなく、属性等の項目を増やし相応の審査が求められるのではないか。その意味でも実名で登録させ、本人確認を免許書等ですることも必要ではなかろうか。

投稿はこれまでのようにニックネームでするとしても、実名がサイト運営者に把握されているということで、そこには不正を抑止し、さくら的書き込みやいわれない誹謗中傷行為もしにくい心理状態が働くのではないかと考える。

“食べログ”は思想信条の表現の場ではなく、あくまでも飲食情報を収集するサイトである。やらせ業者の暗躍を許すのであれば、このネット情報サイトは実名登録、ニックネーム投稿というので問題はないとわたしは考える。

「経済の大津波」の山岡賢次国家公安委員長・消費者行政担当相は政治家引退を!

山岡賢次国家公安委員長・消費者問題担当相は5日、内閣府職員への年頭訓示で「ユーロは破綻するんじゃないかと内心思っている。そうなると中国のバブルも破裂する可能性がある」と語った。


そのうえで、
「(そうした)経済の大きな津波がやってくるときに、政治が混乱していることが一番よくない。大変心配している」と現在置かれた国政状況を憂い、「そういう状態にきちっと耐えうる政治体制を、与野党問わず整えないといけないと危機感を強く持っている」と訓示を垂れたのだそうだ。

同氏は昨年129日の参議院において、悪質な手口で消費者をだますマルチ商法事業者を監督する立場にある消費者問題担当相が、20052008年の間にマルチ商法業者や同業界の政治団体から合計254万円の献金や資金提供を受けていたとして問責決議案が提出され、可決されている。

東日本大震災の復興に向けた具体的議論や欧州経済危機の波及阻止への対応策について時間が割かれるべき先の国会(第179回臨時会・10/10-12/9)において、山岡消費者問題担当相のマルチ商法業者や団体からの政治献金受領やマルチ関連業者集会でのスピーチ(2008/6)といった薄汚い疑惑に貴重な時間が割かれたことは、まだわれわれの記憶に新しい。

そして、その疑惑に対して真摯に国民に向き合うこともせず、不誠実極まりない答弁に終始し、無為に国会を空転させることを続けた。

問責決議案を可決された当事者、そんな人間がそもそも、「政治が混乱していることが一番よくない。大変心配している」などと年頭訓示を垂れることなど、笑止千万である。

今月下旬に召集される通常国会も、問責された山岡賢次消費者問題担当相と一川保夫防衛大臣の問題で冒頭から紛糾が確実に予想される状況である。

この国難の事態のなかで、「そういう状態にきちっと耐えうる政治体制を、与野党問わず整えないといけない」、「危機感を持っている」のであれば、薄汚い山岡賢次のような人物が政治の世界から引退、いや消滅することこそ、まずは最初に手をつけるべき懸案ではないのか。

本人が決断するだけで決着がつく、もっとも手っ取り早い立て直し策であることは言を俟たないのだから。

わが家のおせち料理

わが家のおせち料理を紹介しよう。

正月飾りの膳
取り皿を兼ねた祝い膳

わが家のおせちは三段重と取り皿を兼ねての祝い膳がついている。

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一の重
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二の重
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三の重
そして、これは家内が持ち込んだ文化であるが、わが家では元旦は関東風のお雑煮が供されるが、二日目以降は、白味噌仕立ての餡餅入り雑煮となる。
関東風雑煮
元旦の関東風雑煮
結婚当初の数年間は、二日目以降に来られるお客が餡餅入りの雑煮を食べて、目を白黒させるのを見るのが楽しみで、お正月のひとつの風物詩にもなった。
餡入り雑煮
二日目の白味噌仕立て餡入り雑煮
しかし、銀婚式(25年)、さらに真珠婚(30年)も過ぎ、珊瑚婚(35年)も間近となると、みなさん、もうわが家の餡入り雑煮に驚く人はいなくなり、元旦に来られる人の中に、掟破りの餡入り雑煮を所望する人まで出て来ているのが実態である。
白味噌の中に餡餅が
白味噌の中に餡入り丸餅が見える・・・
白味噌仕立ての餡入り雑煮は、四国は讃岐の名物というか、伝統的雑煮である。
結婚当初、「何だこれは!」と叫んでいたわたしも、正月二日のお雑煮がいつの間にか楽しみになっていることに気づき、われわれ夫婦のうえに長い月日が静かに流れて来たことを実感するのである。

あと、正月のお屠蘇(とそ)であるが、父が存命の頃は大晦日にお屠蘇を用意するのが父の仕事であった。まだ若かったわたしは、日本酒に砂糖に味醂・・・と何だかいろいろと調合し、その中に屠蘇散をつけるそんな父の姿を、まぁ、ご苦労なこったなんて横目で見るだけで、どちらかというと冷ややかに見ていた気がする。

2010_01072010年正月の光景0212
いまは味醂に屠蘇散をつけ込んだだけのお屠蘇・・・、反省してます・・・
父がいなくなり、今度は自分の役割となったが、一年目に日本酒、味醂、砂糖を適当に混ぜ、正月を迎え、家族に「これ、何?」と言われて以来、味醂に屠蘇散のパックを一日つけた簡便お屠蘇で正月を迎えるようになった。味は味醂の甘味が効いておいしいのだが、父の造った屠蘇散の香りがよくきいたお屠蘇とは明らかに別物である。

父の享年に自分の年が近づくにつれ、そろそろ本物のわが家のお屠蘇造りに励まねばならぬと考え始めている。

あけましておめでとうございます

鏡餅
2012年正月鏡餅

みなさま、明けましておめでとうございます。

明治神宮
明治神宮
2012年辰年がいよいよ明けました。

しめ飾り
昨年は東日本大震災という千年に一度という大災害に見舞われました。
被災地では多くの人々が、家族を、友を、家屋を、仕事を、夢を、平穏な日常を・・・と、一瞬のうちに多くのものを失い、絶望のどん底に陥れられました。

また、多くの日本人は自然をコントロールしようとしたこれまでの人間の傲慢さに気づかされました。
そして、地域とのつながり、家族の絆、人の思いやりなど、もう失っていたと思っていたそうした人間社会の根底を成す構成要素がいかに大切であり、人間の平穏な日常をおくるにあたって欠かすことのできぬものであったかを、骨の髄から知らされました。

人はひとりでは生きることができない。みんなの支えで生かされているのだということを学びました。

2012年はその気持ちが本物であるのかどうかが試される年だと思います。
正月2日の昼の月
正月2日の昼の月
新年にあたって、さて、どうこの一年を生きてゆくのか。そう劇的に生き方を変えることなど凡人のわたしなどには容易なことではありません。小さくてもいいから出来ることから始めるしかありません。

日々の生活をもう一度見つめ直し、ちょっとでもよい、社会のため、家族のため、友人のため、自然のためになるような時間を増やしてゆきたいと考えています。

この2012年という年がみなさまにとって、すこしでもよいから前へ進める年であってほしいと願っています。

みなさまに幸多からんことをお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
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